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僕の日記2  作者: Q輔
19/40

財布がない! 間が抜けてるのよあなた

 令和七年二月六日(木)


 財布がない!


 昼めしに近くの「すき家」で牛丼並み盛り味噌汁お新香セットをかっ込み、ふぃー喰った喰った、やっぱサラリーマンの昼飯はすき家だっちゅーの、とかなんとか言いながら伝票を持ってレジへ行き、支払う寸前で気が付いた。


 財布がないってばああ!


 あ、先に結論から申しますと、今日の話はね、僕が財布を盗まれた話ではなくて、テメエがさっきまで会社で財布に入った雑多な名刺を整理していたことをド忘れして、会社に財布をすっかり置き忘れたまま、すき家で牛丼を食べた後に財布がないないと騒ぐ残念な男の話です。


 あれれ? ポケットにない。テーブルにない。足元にも落ちてない。そりゃねーつーの。会社に置きっぱなしだからね。すみません。大変美味しくいただいておいて恐縮ですがお金がありません。店員さんに今すぐ誰かにお金を届けてもらうのでここで待たせて下さいと事情を説明する。


 とりあえず会社へ電話する。電話口には僕が苦手な部下が出た。


「ゴメン、○○君、僕、財布失くしちゃったみたいでさ」


「それはそれは。急ぎ警察へ行って下さい」


「それが、動けないんだよ。すき家で牛丼食べちゃった」


「無銭飲食ですか。地に堕ちましたね」


「悪いんだけどお金持って来てくんないかな。後で必ず返すから」


「無理です。ちょうど新発売のカップラーメンにお湯を入れたところです」


「だよね~。伸びちゃうよね~」


「少しお待ちください。廻りの社員に聞いてみます。おーい、みんな大変だ、部長がすき家で無銭飲食したらしい」「うそ」「マジ」「いつかやるとは思ってたけど」


 丸聞こえですよ、まったくもう。


 その後、一人の社員がお金を持って来てくれることになったものの、なかなか到着しないので、店員さん、だんだん怪訝な顔つき。レジの前で、金ないくせに喰うだけ喰って、つまようじシーシーしている僕、すんげー睨まれちゃって。入口の防犯メジャーで僕の伸長を目測しているとしか思えない雰囲気。カウンター越しに防犯ボール握りしめてる気配。こういう場合は、期待通り逃げたほうがいいんじゃないのか、と血迷い始めた矢先に、助け船到着。


 たしゅかったあああ。


 会社に帰ると、苦手な部下にこっぴどく叱られましたとさ。

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