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戦国転移「えっ、信長様。私が未来から来たって信じてもらえるんですか?」  作者: 崖淵


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清州同盟

美濃、現在の岐阜県にあたるこの土地は、先年までマムシこと斎藤道三が領有していた。

そんなマムシから信長は娘を嫁にもらっており、認められたのか後に信長に美濃を譲るとまで言われていた。

が、そのままであれば斎藤道三の跡を継ぐ予定の嫡男斎藤義龍は面白くなく、義龍は兵を挙げ道三を倒して美濃を領有していた。

尾張から今川勢力を一掃した信長様は、マムシの敵討ちと美濃の領有をめざして斎藤氏と対立することになる。

美濃近江を経て西進。目指すは京の都、上洛への道のりである。


一方、桶狭間の戦いの今川家の敗戦のどさくさに紛れて松平元康は松平家代々の居城である岡崎城に入城すると、今川義元の後継である今川氏真の態度や今川家の国内の乱れを見て判断し、ここに独立した。

そして松平元康は徳川家康と改名する。後の天下人徳川家康の誕生である。

徳川家の方針として三河統一後は東進、弱腰の今川家の領有する遠江を目指す事になるだろう。

そんな両家の目論見が一致した織田徳川は後顧の憂いを排すべく、同盟を結ぶこととなった。

建前上は対等な同盟ではあるが、桶狭間の戦いで今川家を破り尾張を統一した信長と、桶狭間の戦いのどさくさに紛れて独立した…見方によっては織田家の力で独立できて、これから三河を統一しようする松平家との力関係は五分ではない。

なので、同盟締結場所は織田信長居城清州城となり、そこに徳川家康は赴く事になった。


幼き頃、徳川家康は人質として清州城にいた事があり、そこで信長と遊んでいたことがあるので二人には個人的な繋がりがあった。

同盟はつつがなく締結され、その晩には祝宴が開かれ二人はかつての四方山話よもやまばなしに花を咲かせた。

そんな最中さなか


「竹千代もやっと一国一城の主か。

今後はそちが東に、儂が西に進む事になる。背中は任せたぞ」

*徳川家康の事(幼名)


「ははは、かしこまりました。ですがもう竹千代は止めて下され。

今は徳川家康と名乗っておりますので。」


「ははは、儂にとってはいつまでもそちは竹千代よ。

…ん、徳川家康?とく…とく…徳?」


清州会議の末席に連ねていた武政じぶんの事をちらっと見た。

思わず目線を逸らしてしまった。

信長様がニヤリと笑ったように見えた。


「ふーん、竹千代がねぇ…」


そしておもむろに徳川家康の全身を眺める。


「ど、どうかされましたか?」


信長様に突然嘗め回すようにじろじろと見られた徳川家康は、何か信長様の気分を害すような事を言ってしまったかと焦る。


「ふーん…」


それには答えず、変わらずジト目で見つめ続ける。

先ほどまで仲良さそうに飲んでいたはずの両殿たちの間で急に剣呑な雰囲気が醸し出されて、両家の…特に徳川家の家臣達が焦りだす。

扇をいじりながら無言で家康を眺める信長。


―――ピシャリ


信長は扇を閉じると突然ハハハハハと大きな声で笑いだし


「大儀であった。

これは両家にとって誠に良い同盟になろう。

竹千代、そちも励めよ?」


儂は休むと言って、信長様は席を立たれてしまった。

ぽかんとした雰囲気のまま、宴は終了になった。





後日、


「ほー、竹千代が天下人になるのか。」


「知りませんよ。」


「ほー、竹千代がねぇ…。

最後の三人目がバレてしまったんだから、もう二人目も白状してしまったらどうだ?」


「いや、だから私は何も言ってませんってば。」


とこんな遣り取りがしばらく続く。


「で、どうなんじゃ?この同盟は。徳なんちゃらが一方的に得する同盟になるのか?」


はぁ…

深く溜息を一つつくと


「徳なんちゃらは知りませんけど、徳川家康様とのこの同盟はどちらかというと信長様の方が得なんじゃないですかね。

徳川家はこれから三河の国内統一から遠江駿河を目論む事になっていますが、三河の統一にかなり苦戦したはずです。

三河は一向宗の影響がとても強いですし、一向宗もろとも平定する際には家臣もかなりそちらに流れましたし。」


「ふむ。まぁそうかもしれぬな。」


「そしてその時間をかけてしまっている間に、上杉謙信とある程度の折り合いをつけたり家中でひと悶着あったりした武田信玄が甲相駿三国同盟(甲斐武田、相模北條、駿河今川の三国同盟)を破棄し、駿河に攻め込みます。

駿河を奪い上洛を目指す武田家と遠江でそれを迎え撃つ徳川家という構図になり、やはり思ったように勢力拡大が出来ません」


「甲斐の虎が来るのか。」


「はい、一方で西に進む信長様の大きな戦いでは度々徳川軍が援軍として参戦していたようですので、織田家との同盟は三河を統一するのに無くてはならなかったと思いますが、トータルすると信長様が得したのではないかと思います。

戦国の世では珍しく長く続いた価値のある同盟だったというのがこの清州同盟の後世の評価ですね。」


「そうか、ふふ…竹千代め。命拾いしたのぅ。」


いや、だから私何も言ってませんってば!という叫びは信長様の耳には届いていないようだ。

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