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閑話ーコスプレナース、姫始め? その二

濡れ場は全てムーンライトに置いてます。


 何が悲しくて仕事着を披露することになったのか……。

 しかも、彼はベッドサイドで足を組んで座りながら、こちらの一挙一動を見つめている。


「あの〜。恥ずかしいんだけど?」

「晶、まさか職場でそんなエッチな下着つけてるんちゃうやろなあ……」


 今日の下着は赤の総レースだ。──確かに白衣にこれはまずい。

 男の人は赤が好き[たぶん]という、とてもアテにならない情報の下、俊ちゃんが気にいるか分からないけど帰宅したついでに履き替えたのだ。


「普段は透けないピンクか、白、ベージュですっ!」

「ふーん。あと、下は?」


 然も当然とばかりに足下も指される。まさか、ストッキングまで履けと言うのだろうか。

 ストッキングと言えば、前回俊ちゃんには散々な目に遭った。また破かれる訳には……。

 返答を渋っていると「古いのでいいから履いて?」と微笑んできた。だから、私はその不意打ちの笑顔に弱いんだって……!


 まるで洗脳されたように、私はタンスから使い古しの白ストッキングを取り出して履く。赤い下着に白のストッキング。これはアンバランスですごく変な感じ……。


「かーわいっ。晶、スカート似合うやん」


 上機嫌にそう言われても心境はかなり複雑である。私は大体ケーシーを着ている事が多いのだが、洗濯が間に合わない時はごく稀にワンピースも使用する。

 目を細めた俊ちゃんが、私を正面からきゅっと抱きしめる。身長差のせいで彼の胸の中に収まった。


「俊ちゃん、あのね……」

「なんや?」


 今日なら勇気もあるし、出来そうな気がする。だって俊ちゃんはこの年末の忙しい時期にわざわざ東京に来てくれた。そして料理も。これは何かお礼しなきゃ。


(折角、コレ着てるんだし?)


 一般論なのかは知らないが、男の人は確かナースコスプレが好きだとか、何処かに書いてたような気がする。

 かと言って、私達が仕事で使う制服は、あんなペラペラのピンクとかブルーとかではない。

 生地は厚いし、当たり前だが邪な目で見られないようにスケないよう工夫がされているものが多い。


 職業柄、というか自分の心境的にコスプレ用ナース服だけは買えない。しかし、今は年末の長期休暇のお陰で偶然、洗濯の為に持ち帰った白衣が家にある。

 はっきり言うと今がチャンス。これを逃したら次に家に白衣が来る日は夏休みだろうか。


「きょ、今日は私が……」

「何や? 語尾聞こえへんぞ」


 彼は私が何を考えているか知っている。だから少し挑戦的な瞳でこちらをニヤニヤ見つめているのだ。


「わ、私が、その……リ、リードするから、俊ちゃんは何もしないで」

「え? そうか。なら頼むわ」


 そんな、あっさり?

 俊ちゃんは私を抱きしめていた手をぱっと離し、再びベッドサイドに腰を下ろした。


「えっ? そんなあっさり……」

「自分で言うたんやろが。ほれ、どうしたらいいんや? 服でも脱いで寝てたらいいんか?」


 ニヤニヤ笑う俊ちゃんの瞳がエロい。脱がせたい気持ちはあるけど、モタモタして出来ない気がする。


「俊ちゃん、自分で脱いでもらっていい?」


 上半身裸になった彼の上を跨ぐ。引き締まった彼の身体を見下ろし、ごくりと生唾を飲み込んだ。


────────


「……はぁ」


 ついにやってしまった。しかも、仕事服でこんな。


 悔しいことに……すごく恥ずかしいけど、かなり気持ちよかったのは否めない。

 目の前にはご満悦の顔でニヤニヤしている俊ちゃん。


「ナースの晶、最高にエロかったわ〜。今度はオレも白衣持ってくるな」

「お医者さんごっこじゃないんだから、もうしないわよっ!」


 体液で汚れた白衣を洗濯する為にまとめていると、背後から裸の俊ちゃんに抱きすくめられた。


「良かったんやろ? あー、時間も0時回っとるやん。これで、姫始めやな?」

「ば、ば、バカっ!!」


 嬉しそうに時計を見る俊ちゃんの胸板を軽く小突く。

 ──そう言いつつも、俊ちゃんとの激しいエッチにいつも満足している私も私かな。

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