ぬぬぬーヌ
「布団でスマホを見る→眠たくなる→世界一眠たくなる→なんとかアラームをセットしてスマホを安全な場所に置く(寝相が悪いので、なるべく上の方に置く)→本寝に入る→なんか寝れない→またスマホを見る→眠たくなる→世界一眠たくなる→スマホを安全な場所に置く→アラームちゃんと鳴るようになってるかな→スマホ確認→置く→本寝に入る→なんか目が冴えてる→YouTubeでも見るか→ワハハ→ワハ...→ワ...(´-﹃-`)Zzz…→ベぬン!→鼻にスマホが当たった衝撃で目覚める→めちゃくちゃ上の方にスマホを置く→腕寒い→おしっこしたい→でも眠い→おねしょなんてしたことないし、朝まで持つやろ→なんか寝れん→しっこしたい→でも布団の外寒い→しっこ→眠い→寒い→しっこ→眠い→しっこ→しっこ→しっこ→しっこ→しっこ→しっこで何か商売出来ないかな→ペットボトルに入れて「緑茶です」って言って売るか?→いやこれ商売じゃなくて詐欺だな→あヤバい漏れるわこれ→すぐに立ち上がり先っちょをつまみながらトイレへ→無事排尿→布団の中でスマホを触る→メントスコーラの動画で小一時間爆笑する→別の動画で2時間爆笑する→爆笑しすぎて咳が止まらなくなる→笑い疲れて寝る→体内でメントスコーラをやる夢を見て爆発。というコマンドをひとつも間違えることなく入力することにより、あなたは死ぬことができるのですが」
「ちょっと待ッチョください、怒涛の矢印で何が何だかさっパリのエッフェル塔で⋯⋯」
「ま、そうですよね! 何でも質問してください! ゆっくり答えてあげマッチョ!」
「あげマッチョ!? 筋肉系ユーチューバーの方ですか?」
「筋肉系ユーチューバーではありません。あなたのノリに合わせただけです」
「じゃあ何系ユーチューバーなんですか?」
「ユーチューバーではなく、神です」
「神!? 神ってあの、アレ!? あの神のやつ!? ⋯⋯ですか?」
「驚いているようですね。無理に敬語を使わなくても大丈夫ですよ」
「いや無理してませんけど。ちょっとビックリしただけで、敬語ぐらい普通に使えますわ」
「なんだか今日は良かれと思って言ったことが尽く裏目に出てしまいマッチョ⋯⋯」
「マッチョはもうええて」
「はい。では質問を」
「質問っつってもなぁ⋯⋯あ、そういえばコマンドがどうとかって」
「はい。あなたはコマンドの入力により死亡させられました」
「させられました? たまたまその行動をして死んだんじゃないんですか?」
「たまたまその行動をして死んだんじゃないんですよ」
「うわウザっ」
「えっ」
「コマンドってなんか、格ゲーみたいですね」
「察しがいいですね。その通り、あなたはコントローラーの操作で動かされていたのです」
「どゆこと?」
「あなたの体には無数のチップが埋め込まれており、Wiiのリモコンで操作することが出来るのです」
「Wiiリモコンで!? いやでも俺、自分で考えて行動して生きてきましたけど!?」
「本当にそうですか? そう思うようにプログラムされているだけかもしれませんよ?」
「えっ怖⋯⋯マジで言ってます? 人間ってそうなの? みんな誰かのラジコンだったなんて⋯⋯」
「いや、あなただけですよ」
「俺だけ!?」
「そうです。世界で唯一のラジコン人間ですね。でも安心してください。1度死んだことで改造された部分はリセットされています。あなたは今、初めて自分の意思で動いて喋っているんですよ」
「そうだったのか⋯⋯。でも、なんで世界で唯一の改造人間を殺そうと思ったんですかね?」
「偶然あのコマンドを押してしまったのでしょう。開発者ですら知らなかったあのコマンドを。あなたを解放するために、神様がそう仕向けてくれたのかもしれませんね」
「神様はあなたでしょ?」
「私はただの神です。神様ではありません」
「え? 同じでしょ?」
「例えば、爺←これはなんと読みますか?」
「すごい、聞いてるだけなのに視覚にも訴えてくる」
「なんと読みますか」
「じい、ですね」
「じいとは何ですか?」
「おじいさんだと思います。ていうか『おじいさんだと思います』って言葉何なんだよ。人生で初めて言ったよ」
「入力されたこと無かったから?」
「周りでも聞いたことないですよ」
「では、爺様←これは?」
「じいさま、ですね」
「じいさまとは何ですか?」
「ちょっと良いとこのおじいさんで、立場のある人だと思います」
「そうでしょう? 神と神様もその関係です」
「そうなんだ。じゃあ神様の方が偉いんだ」
「そりゃあそう。そうすぎる。呼び捨てと様付けで呼び捨てのほうが偉いことないから」
「ほんとだ」
「他に質問ないですか」
「そうだ、死因が気になってたんだ。俺はなんで死んだんです?」
「メントスコーラの夢を見て爆発したんですよ」
「えっ? それってコマンドの1つじゃないんですか? そこまで入力すると何らかの理由で死ぬっていう」
「チャイマスネ! あなたはメントスコーラの夢で死にまシタ!」
「メントスコーラの夢で死なんでしょ。実際にやったならまだしも」
「人間は思い込みの生き物ですからね。夢でもなんでも実際にダメージを受けてしまうのです。あなたはメントスコーラの夢を見て、脳がそれを本物だと思い込んだ。そして脳は本物のメントスコーラの結果を身体に反映した。それが人間の防衛本能なのです」
「防衛本能で死ぬの意味分かんなくないですか」
「エラーっちゅーことですやね」
「ことですやね?」
「ことです」
「そうなんですね」
「他に質問ないですか? 第1話なんで説明ばっかでも大丈夫なんで」
「なにをこいてけつかる」
「はい?」
「何言ってんスか」
「いやだから、1話だから説明ばっかでも大丈夫って」
「耳が聞こえなかったんじゃなくて、意味が分からなかったの! もう1回同じこと言われても同じ!」
「同じこと言われても同じ⋯⋯?」
「ニュアンスで分かって!」
「まあ、アレです。メタ発言しました。ごめんなさい。忘れて」
「とんでもない人だな⋯⋯」
「神です」
「神だな⋯⋯」
「さ、質問どぞー」
「さっき俺死んだって言われましたけど、ここ天国なんですか?」
「天国ではありません。私の家です」
「家!?」
「これからあなたは転生するのです」
「て、転生!? 異世界転生ってやつですか!?」
「その通り! 話が早いですね!」
「すっげ⋯⋯てことは、俺もしかして勇者ですか」
「そうですね、一応。勇者になってもらう予定なんですけど」
「けど?」
「ちょっと今、キモい世界しか空いてないんですよね。ほか全部満車で⋯⋯」
「俺たち車なの? んでキモい世界って。ちょっとヒド過ぎませんかね」
「そうですね⋯⋯そんなキモくない世界、ちょいキモい世界、超キモい世界、キモすぎてすぐ死ぬ世界、液体が全部ゲボの世界、激痛が続く世界、ただただ苦しいだけの世界、暴力が支配する世界、坊さんが支払いする世界など、すべて満車のようで⋯⋯」
「キモい世界、まだマシな方なのね。もしかして転生者専用の駐車場があって、その混み具合の話してる?」
「キャホッ」
「えっ?」
「ごめんなさい、咳です」
「神様って咳するんだ」
「神様じゃなくて神です」
「すいません。んで神って咳するんですね」
「え? それ質問? 答えるまで聞いてくるってことは質問ってことですよね? 実際してるんだからするかどうかは明白なはずなんですけど、それでも質問してくるんですか? なんで?」
「はぁ⋯⋯。で、咳するんですか?」
「こんだけ言われても!? やっぱり操り人形のままのほうが良かったんじゃ⋯⋯」
「咳⋯⋯」
「するよ! しますよ! ハイハイハイ!」
「なんか元気っスね(笑)」
「てめえ殺すぞ」
「えっ、神様がそんな⋯⋯」
「神だっつってんだろうが!」
「怒りすぎは肌に良くないですよ」
「エビデンスを出せ! 神の肌に良くないというエビデンスを!」
「エビデンス? ぎふチャンのダンス?」
「エビダンスじゃないし、あれエビに見えるけどウサギですよ」
「じゃあなに? エビデンスって」
「根拠ですよ。怒るのが神の肌に良くないという根拠を示せと言っているんです」
「ああ根拠ね。日本語で言ってくれればそりゃ分かりますよ。なんで最初英語で言ったんですか? 外国人なんですか?」
「外国人だよ」
「マジで?」
「地球とそれ以外の全てを1人で見てるわけだからね。日本なんてほんの一部ですから。たまに出ちゃうのよ、エビが」
「神様と分担しないんですか?」
「しない」
「神様はなにやってるの?」
「ずっと温泉入ってる。もう9億年くらいずっと」
「大変ですね」
「マジ大変」
「マジ大変なんですね」
「マジマジ大変」
「マジマジで大変なんですね」
「マジマジマジ大変」
「1個ずつ増やすな!」
「うるさい! はよキモい世界行け!」
「気が進まないなぁ⋯⋯」
「じゃあ無理やり行かせてあげマッチョ」
「久しぶりのマッチョだ」
「必殺! ムキムキパンチ! ムキパンチ! 三四がなくてムシキング!」
「うあああ! めっちゃ殴られる〜!」
「殴ってませんよ」
「あ、ほんとだ。セリフ的に殴られてるのかと」
「おりゃ!」
「痛っ」
「何もしてませんよ」
「あ、ほんとだ。セリフ的に何かしらの暴行を受けたのかと」
「それでは、さようなら」
「急に!?」




