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ダンジョンで遊ぼう!! ~VRゲームの世界ですが、冒険者にいきなり襲われるのは嫌なので楽しくダンジョンを作りたいと思います~  作者: 愛原ひかな
第3章 この世界の妹ちゃん

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この世界の妹ちゃん


 こんなお話は、知っているかな?


 シクスオのウワサ、其の六――この世界の妹ちゃん。

 迷宮神殿オシリスにある、とあるダンジョンの噂。


 そのダンジョンの探索中、極稀に起こりえるらしい現象。

 貴方の妹です。と口ずさむ、迷子の女の子が目の前に現れるんだって。


 非常に人懐っこい性格をしていて、寂しいのが嫌い。


『お姉ちゃん、遊ぼう!』


 それを現実世界で、妹がいなくても言われるそうで……。

 ちなみにですが、貴方に直接的な危害を与える存在ではありません。


 ただ単に、ダンジョンで遊んでほしいのです。


 そんな妹なのですが、自分の名前を言うことが出来ません。

 自分自身の名前がわからないのです。


『わたしの名前ってなにかな?』


 だけど、ここで注意点があります。

 その子の本当の名前を貴方が知っていたとしても、決して本人に伝えてはいけません。

 伝えたら最後、シクスオの世界から出られなくなります。



 私の脳内に直接語りかけていたのは、見知らぬ少女の声だった。


「今のは……」


 手元に届いたメッセージの詳細を開けた瞬間から、それが聞こえてきたのである。

 そして、メールの画面の本文に同じことが文字として書かれている。


 でも、聞こえてきた声と明らかに違う部分がある。

 一番最後の文章だ。


『これは世界のサイハテから送ったものです。このメッセージは、くれぐれもなくさないようにお願いします』


「私に、そう言われても……」


 これをいきなり送りつけられても、正直なところ困るだけなのに。


 どうして、私なのかな?


 ニケというプレイヤーネームからして、現在行方不明とされているゲームマスターである可能性が否定できない。

 つまり、私がまたややこしい『何か』に巻き込まれてしまった感が否めない。

 相談しようにも、ノアとセレネは席を外している。


「それはそうと、どうして六番目だけなんでしょうか」


 私は少しばかり、調べたいと思うことが出来ていた。

 天界クラムベルンの構造だ。流石に作られた経緯までは知ることが出来ないが、何か異変が起こっているかもしれない。


 天翔る銀河の(アンドロメダ)創造天使(クリエイト)のスキルが適用されている今なら、外壁とか調べるのは容易い。


「えっと、これは……」


 天界クラムベルンの外壁を画面上に映し出した私は、息を呑む。

 このダンジョンのてっぺんから、六つの方向に大きな白い楔が張り巡らされていたのである。


 そのひとつは丁度真下に伸びているようで……どう考えても、私が作成したダンジョン『クレイキューブの地下迷宮』に繋がっていた。


「これは、休憩中だけど行くしかないかな……」


 私は自身の足下にワープゾーンを展開させて、クレイキューブの地下迷宮のクラフトルームに移動することにした。


「それで、噂がどこにあるかだけど」


 私のダンジョンのクラフトルームに移動し終えると、早速だけど探し始めることにした。

 この世界の妹ちゃん、ということなので、外見は背の低そうな美少女といったところなのかもしれない。

 マップを広げて、プレイヤーを総当たりで調べていく。


 だがしかし、該当するプレイヤーはいなかった。

 冒険者はトルマリナブロッサム討伐に向けての準備を進めている最中ということもあり、私のダンジョン内に残っている冒険者の数が、そんなにいなかったのだが……。


「そう簡単には見つからないのかも?」


 私はダンジョンに直接調べていこうと思い始めていた。


 問題はある? ない……?

 少しばかり考えた。

 このタイミングでの、私の探索にリスクがあるとしたら、このダンジョンに潜っている冒険者だけである。

 もし運悪く私に遭遇してしまった冒険者は、ご愁傷様です。ということにしておくか。


「では、行きますか」


 風神の和太鼓を片手に持った私は、クレイキューブの地下迷宮の地下六階層にワープする。

 ダンジョンの奥地から探索を始めるのは、冒険者に遭遇するリスクを下げることと、単純に噂がダンジョンの奥深くにあるかもしれないという直感からである。


 地下六階層は、これといって異常なし。

 地下五階層へ移動してみる。


 すると、のんびりダークスライムが徘徊していた。

 ダンジョンマスターである私には危害が一切ないので、無視して探索していく。


「うーん、いないね」


 すぐに出会うことはないと踏んでいたけど、一応ゆっくりと探索を進めていく。


 まだ出会わない。どこにいる?

 私は一旦、地下四階層への階段に近づいていくことにした。


 すると、急に。


「お姉ちゃん、遊ぼう!」


 すぐに振り向いた私は、思わずガッツポーズを取ろうとしてしまった。

 けど、ポーズを取るのは耐えた。


「えっと、誰かな?」


 見た目は黒の三角巾に白いドレス。赤紫の長い髪を靡かせていて、とても愛らしい顔つきの少女が、私と目を合わせていた。


 身長は私の半分くらい。

 つまり浮いている。


「貴方の妹です!」

「私の妹……?」

「はい、そうですよ!」


 その少女は軽やかなステップの素振りをして微笑んでいた。


 ニケからのメッセージに書いていた通り、シクスオのウワサの六番目とみられる言葉を聞くことができた。

 そして、念のために周囲を見渡して確認する。今のところ、ダークスライムの視線がこの少女に向くことはなかった。


 モンスターには見えていないのかな?

 ちょっとわからないけど、気になるから後で調べようかな。


「あの、お姉ちゃん」

「今度は何でしょうか?」

「実はわたし、名前がないのです。お姉ちゃん、わたしの名前はどこにあるかご存知です?」

「うーん、どうしようかな……」


 正直なところ、分かる術はなかった。

 ダンジョンマスターとしてステータスを覗きにいこうとしても、何も表示されないのである。


 でも、私のダンジョンにいるし名付けても良いかもしれない。

 ここで一番駄目なのは、おそらく設定されている本来の名前を言ってしまうことだ。

 そうだと仮定して、その最悪のパターンを引かずに済む方法があるとしたら。


「貴方のことは、ヤジョウちゃんって呼ぶことにします」


 私は、この子の名を決めた。

 この『ヤジョウ』というのは、私の現実世界での苗字である。


 八城と書いて、ヤジョウと読む。

 シクスオのゲームマスターが仮に本来の名前を設定していたとしても、流石に私の苗字までは知らないだろという思い込みから、そうさせて頂いた。



「ヤジョウ……?」


 困惑する少女は首を少し傾げた。


「貴方の本当の名前がわからないから、ニックネームをつけることにしました」

「ニックネーム……? うん、わかった!」


 意味を理解したのか、少女はとっても喜んでいた。


「ヤジョウ! わたしのニックネームはヤジョウ!」


 ダンジョンの通路ではしゃぎまわる様子は、まさに幼い妹のようだった。


 ひとまず最悪の流れは回避できた。それはさておき、この後どうしよう。

 まだ休憩時間がたっぷりあるとはいえ、天界クラムベルンに戻るべきかどうかだけど……。


お読みいただき、ありがとうございます!!

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