仮想空間XZの探索を再開する
●ムーンスノア
探索二日目は、前回の探索終了地点からの再開となっていた。
初日は特に成果なしだったこともあり、アタシは普段より気が荒れていそうだった。
それでも、皆が揃うと無言で森の道を進んでいく。
格闘を極めていそうなカンフーなミカドラ、野球帽をかぶった野球少年ポップベーブ、茶色いきのこのコスプレをしているシイタちゃん。
仮装パーティーでもしているのかと思えるくらいに温度差があるパーティーなのに、どうしてか会話が一切発生しない。
「……次のエリアかしらね」
ムーンスノアの視界には、大きな洞窟の入り口が映り込む。
森エリアを抜けた先にあったのは、炭鉱エリアとみられる場所。
ムーンスノアの率いるパーティーは、無言のままそこに入っていった。
炭鉱エリアは、思ったよりも暗い空間である。
ムーンスノアの名に合わない炎魔法で道を照らさなければ、まともに前に進むことが出来なかった。
「依頼の探し物、どこにあると思う?」
ムーンスノアは口を開いた。
おかしい。おかしくないけど、念のため振り返ってみる。
ミカドラと、ポップベーブがいる。
シイタちゃんがいない。
「あら、シイタちゃんはどうしたのかしら?」
「知らないわよ」
「わからぬ」
ミカドラとポップベーブは、互いに顔を合わせた。
それを見たムーンスノアはため息を漏らしたあと、より奥深くへ進もうと足を動かす。
シイタちゃんはパーティーから外れていない。
だけど、どうして二人しか姿が見えなかったのか。
「もしかしたら、敵がいるのか」
再度振り返ってみると、そこには誰もいなかった。
否。正確には、ミカドラとポップベーブが、床に仰向けになって転がっている。
不意打ちで倒されたのか?
依頼を放棄して帰ってしまったのか?
それとも――。
「そこにいるのね、誰かしら?」
ムーンスノアが尋ねると、炭鉱エリアの天井が一斉に光り出した。
一瞬にして視界が急激に良くなると、黒い天使の羽が空中にひらひらと舞っているのを目視した。
「ああ、これは。裏切り者ですわ」
ムーンスノアは見つめていた。
赤い短剣を持った、黒い羽根の天使を。
「この身は、お姉ちゃんの命令を聞くためだけに存在している」
●リリークラン
湖エリアの先は、塔エリアとなっていた。
湖エリアはどうやって超えたのかというと、最初から必要なかった。
ルアーボがスキルで生み出した蛇を使い、湖の中に沈めて深さを確認しようとしたのだが、蛇は沈まずに足場として存在していることを確認したからである。
わざわざ小船を探すまでもなかったのだ。
こうして無事に湖エリアを超えたリリークランとカラセナが率いる三名は、塔の中に入ることにした。
塔エリアは、巨大図書館のような構造となっており、無数の本が棚の中に収納されていた。
円形となっている外周に本棚、時計回りの螺旋階段で上方向へ永遠に登れそうになっているが、リリークランはスペードの記憶を探すために上ることを決意する。
ルアーボは階段を上るのを嫌がった。なので、先日手に入れた卵料理を手元に取り出して、いっぱい食べてもらうことにした。
カラセナとジャックゲイルはルアーボの見つつ、入り口付近の本を見て回るということで、今はリリークランひとりで螺旋階段を上り続けている状況となっていた。
「はぁ……。それにしても」
ムーンスノアの身は大丈夫なのかな?
フミエルは、うん。
カラセナは心配しなくても、とは言っているけど。
グループリーダーチャット、思ったよりちゃんと聞こえてくる。
良いことも、悪いことも、全部――。
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