第一章11話 ???? 決闘式③
「頑丈だなぁ……」
姫は床に頭から突き刺さったまま、ピクピクと痙攣している。
どうやら気絶しているようだ。
「まぁ、これも物理攻撃だから倒せるとは思ってないけど……
でも鎧の隙間は生身と一緒だよね。トドメ、さしちゃお。」
キングガリルの鋭い爪を揃え、姫へと振り下ろそうとした――その瞬間。
「お待ち下さい!!
この小娘がどうなってもいいんですか?」
いつの間にか姿を消していたガリルメイジが、
サクラの髪を掴み、首元へ爪を突き立てていた。
「あのさぁ……
それで交渉できると思ってんの?」
「えぇ、勿論ですとも。
私は貴方様がこの小娘と楽しそうに会話していたのを、こっそり聴いてしまったのですよ。
ハッタリをかましても無駄ですぞ。」
どうやら、キングガリルの部屋でサクラと話していた時、
聞き耳を立てられていたらしい。
「随分とこの小娘を気に入られたようで。
その為に謀反とは……馬鹿馬鹿しい。
こんなニンゲン如き下等種に情が湧くなど……まぁいいでしょう。
さぁ、姫から離れて下さい。」
ガリルメイジの爪が、サクラの首元へ深く食い込む。
「はぁ……だから甘いんだって。
それは脅しにも何にもならない。
殺したければ、お好きにどうぞ。」
そう言うと、姫の鎧の隙間へ思い切り爪を突き刺した。
びくん、と姫の身体が跳ね、そのまま力なく倒れ込む。
「姫!!!
な、何を馬鹿なことを!
許さん……許さんぞぉ!!
それは貴様が選んだ答えだ!
後悔しても知らんからな!!」
怒りに身を任せ、ガリルメイジはサクラの首を掻き切った――
……はずだった。
次の瞬間、サクラの身体は黒い霧に包まれ、
キングガリルの元へと吸い込まれていく。
「なっ……!?
どういうことだ?! 確かに殺したはず!」
「ね、言ったでしょ。
それはサクラじゃない。」
「サクラは今頃、僕の部屋のタンスの中でスヤスヤ寝てるよ。」
「う、嘘だ!
偽物だとでもいうのか?!
私の探知魔法と嗅覚を舐めるな!
そいつは本物とまったく同じ匂いだった!
魔法でそんなことができる訳が――」
「魔法じゃない。僕の技能だ。」
ゆっくりと言葉を区切る。
「僕のユニークスキル
『模倣―擬態』は、模倣した対象の匂い、体重、身長、色、
小さな傷までも、すべて再現する。」
「まぁ、僕もさっき検証して知ったんだけどね。」
「たかだか鼻が利く程度で、君如きに見破れると思った?
君、自分で言ってたじゃないか。
探知魔法は“大体の場所”しか分からないって。」
「だから――
僕の部屋のソファで待機させてたサクラの模倣を、本物だと勘違いしたんだろ?」
(『完全顕現』状態では、顕現中の魔物の能力しか使えない。
でも、それはあくまで顕現した後の話だ)
(完全顕現する前、安全のために壁へ擬態させていた分身は、ずっと隠していた。
だから分身を呼び寄せ、眠っているサクラを模倣させた)
(僕は石橋を叩いて渡るタイプなんだよね)
「ユニークスキル……
そんな伝説上のスキルを……
貴方様が……?」
ガリルメイジは膝をつき、茫然とこちらを見上げている。
ゆっくりと歩み寄り、拳を構える。
「そんなの……僕が知りたいよ。」
振り抜いた拳が、
一撃でガリルメイジの息の根を止めた。
⸻
広場を見渡すと、戦いは終盤に差し掛かっていた。
最初は不意を突かれ、数的不利に陥った姫の部下たち。
しかし、指揮系統を立て直すと、五人一組の伍の陣を組み、
連携によってキングの部下を制圧していく。
それでも、個の力が強いキングの部下は手強く、
命尽きるその瞬間まで喰らいついていた。
あれほどいたガリルたちの中で、
今や立っている者の方が少ない。
その数――
キング側5、姫側55。
両軍合わせ、わずか60名ほど。
「我も混ぜてもらうぞ!」
割れた地面から一メートルほどの岩片を拾い、
後方の魔法部隊へ投擲する。
「ッグギャー!」
それだけで数名が沈む。
「キングが勝ったのだ!
流石、我らが王!
皆の者、あと少しだ! 踏ん張るのだ!!」
王の参戦により、キングの部下たちは士気を取り戻す。
「何っ?! 姫が……負けたのか?!
えぇい! 姫の仇|じゃ! 打てぇ!!」
初老のガリルが指揮を執り、
後方の魔法部隊が一斉に魔法を集中させてくる。
「グァァァァァーーー!!!」
逃げ場のない魔法の嵐が迫る――その瞬間。
耳をつんざくほどの咆哮を放った。
音に「衝撃波」を乗せたのだ。
音は波となって広がり、
人体基準で150デシベルを超えれば鼓膜は破れ、
85デシベルでも聴覚障害を引き起こす。
空中で魔法はすべて霧散した。
「あーあ……
これ、結構燃費悪いんだよね。
MP、使い切っちゃった。」
「ば……ばけもの……」
怯み効果も相まって、
姫の部下たちは完全に戦意を喪失した。
それが衝撃波の効果なのか、
恐怖によるものなのかは、もはや分からない。
そして――
一方的な虐殺が始まった。
「我らが王に……祝福を……」
最後まで生き残ったキングの部下は、
腹部に致命傷を負っており、もはや長くはない。
「その勇姿、誠に感服した。
ご苦労であった。」
「……あ、ありがたき……お言葉……」
その場に倒れ伏す。
総勢およそ五百名がいた戦場の中心に――
立っているのは、キングガリルただ一人だった。
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《一定の経験値を確認した為、レベルアップ致します。
Level6 → Level13》
《一定の種族経験値を確認した為、種族レベルが上がります。
種族:ナニカ Lv2 → Lv5》
《一定の条件を満たした為、称号を獲得致しました。
称号:ジェノサイド》
《称号:転生者 の効果により SP が多く付与されます》
《称号:ジャイアントキリング の効果により STP が多く付与されます》
《一定の経験値を確認した為、『キングガリル』がレベルアップ致します。
Level42 → Level47》
《一定の種族経験値を確認した為、『キングガリル』の種族レベルが上がります。
種族:キングガリル Lv7 → Lv9》
《称号:ジャイアントキリング の効果により
『キングガリル』に STP が多く付与されます》




