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第一章8話 ???? 花笑み

「……おい。何を、している」


低く抑えた声でそう告げ、僕はガリルメイジの腕を掴んだ。

思った以上に力が入っていたらしく、メイジの細い腕がきしむ。


「これは……姫が道中で拾われた“ニンゲン”の獲物でございます。特に育ちきっていない若い雌は美味と聞きますゆえ。王と姫の結婚式、その祝いとして生かして連れて参りました」


姫が楽しげに肩を揺らす。


「そうよ♡ せっかくの結婚式だもの。ご馳走がなきゃ始まらないでしょ?

珍しい匂いがしたから探してみたら、何人かいたのよ。今日は本当に運がいいわ。神に祝福されてるに違いないわねぇ」


姫はそう言って、悪びれもせず笑った。


「まぁ、遊んでたら何人かは壊れちゃったけど。あははっ、あの顔を思い出すと笑えちゃう♡」


ガリルメイジも同調するように、もう片方の手に持っていた“それ”を掲げた。


「この者など、泣き喚きながら命乞いをしておりましたぞ。頭を地に擦りつけて……実に、見苦しい」


そこにあったのは、

原形が分からないほど歪んだ――人の頭だった。


姫とメイジは顔を見合わせ、ケタケタと笑い声を上げる。


(……吐き気がする)


(言葉が通じるからって、どこかで“話が分かる相手”だと錯覚してた)


(違う。こいつらは魔物だ。生きるためじゃない。遊びで人を殺す)


一瞬、視界が赤く染まった。

殴りかかろうとして――ふと、縄で縛られた少女が目に入る。


(……ダメだ)


(今ここで暴れたら、この子は助からない)


少女はまだ幼い。中学生くらいだろう。

仲間を殺され、自分だけ生き残って、恐怖のど真ん中にいるはずなのに――

その目は、折れていなかった。


(……感情に任せるな)


(冷静になれ。助けられるのは、今ここでは僕だけだ)


僕はゆっくりと手を離し、王としての笑みを作った。


「……ははは。それはそれは。実に珍しい贈り物だ」


姫が嬉しそうに身を乗り出す。


「気に入った?」


「うむ。人間という種を見るのは初めてでな。

頂く前に、少し我が部屋で“観察”してみたい。よいか?」


「もちろんよ♡ あぁでも、式の前に殺しちゃダメよ?ダーリン♡」


「心得ている」


そう告げ、少女の方へ向き直る。


「そなた、我が部屋まで案内せよ。この娘は――我が運ぶ」


「承知致しました。王のため、新たに部屋をご用意しております。こちらへ」


少女に近づくと、びくりと身体を震わせた。

だが、ゆっくりと手を伸ばし、優しく手首に触れると――彼女は怯えながらも、こちらを見上げてきた。


(……大丈夫だ)


(今は、それだけでも伝わってくれ)


扉が閉まり、部屋に二人きりになる。


少女は必死に平静を装っているが、身体は小刻みに震えている。


(そりゃ怖いよな……外から見たら、僕はキングガリルなんだから)


(本当なら模倣を解いて安心させたい。でも、今はMPの無駄遣いはできない。)


やがて部屋へ辿り着くと

ゆっくりと縄を解き、道中で見つけていた洞窟の壁に咲くピンク色の花を差し出した。


少女は驚きながらも、恐る恐るそれを受け取る。


「……なんで?

あなた、さっきのやつらの仲間じゃないの?」


震える声。それでも、逃げずに話しかけてきた。

僕は静かに首を横に振る。


「……え?」


「……私の言葉、分かるの?」


僕は、ゆっくりと頷いた。


「え、すご……!

ガリル族って知能が高いって本にはあったけど、人間の言葉が分かるなんて……!」


声が大きくなり、慌てて彼女は自分の口を押さえる。


「あ、ご、ごめんなさい……私、魔物図鑑とか好きで……」


落ち込む彼女の頭を、そっと撫でる。

少女は一瞬驚いた後、その手を拒まなかった。


「……優しい、魔物なんだね」


「私、サクラって言うの。

この花と同じ色……ふふ、よろしくね」


初めて女の子の笑顔を見た、その笑顔は愛嬌に溢れ、まるでその名の通り桜が咲いた様に可憐で穢れ等一つも知らない様なそれはとても...とても素敵な笑顔だった。


その後もサクラの話す事に対して身振り手振りで会話していくと、女の子は疲れが溜まりようやく安心できたのか眠ってしまった。


(……作戦を立てないと)


状況を整理する。

相手は姫と側近、そして外にいる数百の兵。


(正面からは無理だ)


(キングガリルの身体は強い。でも魔法耐性が低い)


(姫は……あれは、同格かそれ以上だ)


(完全模倣を解けば『天邪鬼』で対応できる。でも、多勢に無勢は無理)


(逃走も不可能。匂い追跡と探知魔法がある)


……詰んでいる。


(そもそも、僕は魔物だ)


(前世が人間だからって、助ける義理があるのか?

出会ったばかりの他人に、命を懸ける理由なんて――)


ふと、眠るサクラの顔を見る。


「でも、みちゃったんだ...この子の笑顔を、また見たいって思ったんだ。」


「理由なんてそれだけで良いじゃないか、僕の人生何の為に転生したのか全く覚えてもないけど。初めて感じたこの気持ち...命をかけるには十分な理由じゃないか!」


考える。何が1番の脅威なのか

・未知数の姫の力?

違う、1対1なら僕は負けない。

・魔法による脅威?

これも違う、模倣を解除すれば『天邪鬼』でどうとでもなる。

・敵の数?

そう、これだ。1対1なら負ける事はないが、面で襲い掛かられたら対処できず矢が一本掠っただけで死んでしまう...


「どうすれば.......いや、待てよ()()が違うんじゃないか?」


-別に()()()()()()()()()()()()()()じゃないか。


「そうか、何を勘違いしてたんだ。僕は今、()()()じゃない。」













ここは重要な分岐点だったので、1日考え込んでしまい昨日は投稿できませんでした泣

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― 新着の感想 ―
[良い点] 三人称の語りも一人称の思考の内側を見られるのも大好きなので楽しく読めました! 浮かれているところに冷や水をかける展開はまさに異世界に来たって感じでいいですね! 3人揃いも揃って残念な感じ、…
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