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【更新停止中】アクロス・ザ・ナギノクイント  作者: 亜空間会話(以下略)
2章 みゆきひらひらふるるよる
99/191

99話

 タスクが多すぎる……


 どうぞ。

 イベントはあと五日あるけど、三日後には学校が始まる。春休みはそう長くないから、遠い気がしていたけど終わりが迫ってきている。いまひとつ実感がなかった。


「どうしようかなー……」

「どうしたの」

「や、クラスでどうなるのかなって。中学のときと同じかな?」

「まあ、そうなんじゃない?」


 友達がいるようないないような、別に一人ぼっちではないけど、いつメンでつるんでどこかに出かけるわけでもない……学年が変わっただけで友達のメンツが変わるような感じだった。


 男女どちらに対してもドライだったからか、恋愛経験もない。よくよく考えてみれば、どちらに対してもこれという思いを持ったことがない気がする。潜性女性についてあれこれ調べたときには、性徴顕化よりも前に恋愛があってごたごたが起きた……なんてネタがいくつも転がっていた気がするけど、俺に関しては違うようだった。


「ゲーム友達作ったらいいんじゃない? いくらでもいそうだし」

「うん、それは考えてるけど。ほかの人がね……」

「他の人?」

「ゲームの中で仲良くしてる人、すごい濃いメンツだから」


 人気配信者のザイルとローペはふつう寄りだけど、ガタイがいいアーミールックの青年とか、麻袋をかぶったほぼ全裸の股間マンモスとか、相手にもいろいろ着せてくる痴女とか……男女どちらでも「こんな人と友達なの?」と言われそうな、やばい人ばかりだ。ファラさんはかろうじて大丈夫そうだけど、会おうとしたときに変装していると、まず見つけられないだろう。


「学校でゲームやってるーって堂々と言える人って、だいたい濃い人だと思うけど。まーでも、私の妹だからね。こんなにかわいいし、いけるいける!」

「んぅ……そうかなぁ」


 ベッドの隣に座って、ほっぺをもにもにされている。こういうスキンシップも、前よりずっと心地よく受け入れられていた。ちょっと身を乗り出して、額をくっつけ合う。


「ふふっ、かわいいぞー。自信持っていい、だいじょうぶ」

「ありがと、お姉ちゃん」


 不安はやわらかく溶けていった。

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