83話
お年玉くらい用意できるようにしないと……去年何やってたかなと思ったら、低レアさん最終章でした。毎日投稿はさすがに死んじゃうけど、もうちょっとペース上げたい。
どうぞ。
ログインしてすぐ、俺は初期装備の和装に着替えた。着慣れたはずの若草色の着流しは、ひさびさに目隠しをしていないこともあって、逆に新鮮に感じる。レオタードに目隠しという服装が異常すぎたのと、それから着流しに戻ったせいか、一部始終を見ていた人はすこしばかり困惑しているようだった。
ログアウトする前にパーティーを解散していたせいか、周りには特に誰も来ていない。連絡もないので、一人だけで狩りに出ることにした。トークンを集めるイベントはいくらでもやったことがあるが、何よりも数を重視するああいう行事は、今の戦闘スタイルだとやりにくいことこの上ない。
「新しい型でも作ろうかな……? 互換性あるやつ、あるみたいだし」
基本の型には上位互換・下位互換があるらしい、とは聞いていた。〈割鉈の型〉だと〈裁刀の型〉が上位にあり、〈十精の型〉だと〈三鳥の型〉が下位にあるそうだ。使い方を調節できないので、耐久度のアドバンテージはなくしてしまうが、殲滅力があるなら使ってみてもいいかもしれない。
かなりの頻度で通っているマーケットに向かってみると、かなりにぎわっていた。
「あら、ザクロちゃん」
「ファラさん。これってどういう感じのやつですか?」
「持ってる星霊と同じコスを着てると、スキルを追加してくれるらしいの。スキル自体はほかにも移せるみたいね……というわけで、星霊コスは出た瞬間飛ぶように売れてるわけ」
「先にゲットしといて、よかったみたいですね」
ネレイデスのコスチュームは、正直ほとんどネタ扱いというか付き合いで買っただけなのだが、半信半疑の未確認情報だったピュリィの言葉は真実だったようだ。
「何か手に入れたらこっちに連絡してね。マージンはもらうけど、最大限高く売れるようにしてあげる。それとね、野良のやつを倒すと、めちゃくちゃたくさんトークン落とすみたいよ」
「もしかして扇動してます? やりますけど」
ボスモンスター扱いの星霊は、倒すことで通常のモンスターとは少し違うものを落とす。彼らが作り上げた可変武装に近いものや特殊なコスチューム、召喚する契約を結んだ証であるオーブは、どれもレア枠らしかった。
「どれもそこそこ強いみたいね。そこそこっていうか、ボスクラスだから当然なんだけど……等級でいうと銀冠は当たり前で、金冠もいるみたいよ」
「ソロ討伐、してみたいですね……」
こういうことができる環境が整うと、どうしてもやってみたくなる。
「あ、そうだ。〈三鳥の型〉のセット、買いに来たんですけど」
「ちょうど出てるから、おごってあげる。お土産、期待してるわよ?」
これまたとんとん拍子に、〈三鳥の型〉はできあがった。




