表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
191/191

191話 第■真相・2

 では、これにて一旦更新停止とさせていただきます。


 どうぞ。

(ここでもNOVAはちょろいものだね、あっさり現実まで貫通されて架空の人物を受け入れてさえいる。ネットワーク上に何百も虚構人物がいるようだけど、本気で気付いていないらしい)


 ゲーム会社に出資する架空人物のアカウントをいくつか作り、商談をメタバース内で終わらせる現代人のやり方を使って、カバーストーリーの補強を助ける。裏面の到来は起こっていないようだが、どちらも「世界の消滅に巻き込まれて消える」という性質は変わらない。狙いを逸らせるのなら、作っておいて損はないだろう。


 現実世界への対処以上に、彼にはやることがあった。


 量子マーカーの独立は、良い面もあれば悪い面もある……それ自体に思考領域が設定されている場合、生命の核となって自律行動を始める可能性がある。その最たる例が「NPL=ノンパーソナライズド・ライヴギア」だった。


「反応はここか。すこし……厄介だね」


 ゲームプレイヤーの初期位置に近いということは、誰の目にも止まりやすいということである。じわりじわりと黒い液体があふれ出し、地面が陥没する。岩山の影に隠れているために何とかなっているが、情報秘匿には向かない。


(セデムの一種でないだけマシか。しかし……)


 液状化現象をもとにしたのであろうそれは、黒いスライムのような化け物だった。おそらくは液体のライヴギア、序盤から存在してはならない、災害そのものの能力である。幾筋もの光を撃ち出し、光の矢を大量に射かけて攻撃するが、ほとんどひるまない。


 汚泥のようなものを飛ばすNPLは、砂地を徐々に泥沼に変えていく。焦りからか反撃が遅れ、もっとも重要な股間に汚泥が命中する。強烈な臭気と白煙を上げながら、マンモスの牙を使ったペニスケースは折れ曲がった。


「くっ、しまった……!! このままでは……っ」

「これ使え!」


 どこからか、マンモスの牙が二本飛んできた。装着していたそれを引っこ抜き、スペアには少々小さいそれを尻に装着する――股間に牙、尻にも牙、前後不覚のマスキュリズムが顕現した瞬間に、男は回転を始める。たぎるエネルギーは黄金に輝き、まばゆい光で夜さえも照らす。


「なんだっ、金の……!?」

「シャイニー・ボールッッ!!!」


 黄金球からほとばしる光は矢に変わり、なだれのごとき圧倒的な数でNPLを撃ち抜いていく。ほとんど地面と同化し、地中に逃れようとしたコアは、牙の先端から放たれた矢で射貫かれて破損した。


「ふぅ……危なかったな」

「面白いなあ、あんた。服も着てないのに、刃が通りそうなところが見当たらねえや」


 ふ、と男は笑う。挑んでくる人間はいたが、勝てるつもりでいるものばかりだった。真の力を見ていなくても、倒せる可能性を感じるほど近しい能力数値ではない。


「お世話になってしまったね。君は?」


 見慣れた男の聞きなれた声を待った――そして。


「ああ、ゾードだ。そりゃ骨か? 初日から使える能力じゃねーだろ」

「ははは……僕は管理者側でね。バグ取りをしていたんだ」

「ほお。いろいろ大変だな」

「やりがいはあるさ。いろいろとね」


 男は気付いた。


(“ゾード”。やったぞ……遡逆と混濁、両方の性質を持ったミームが誕生する世界! そして、もっとも確実な未来が存在する世界!!)


 自分とは血のつながらない彼の笑顔は、幾度も見たものと同じだ。


「僕は「スズコ」。低温で溶ける「錫」に、小児の「児」で錫児だ。よろしく」

「おもしれー名前だな。まあいいや、仕事の邪魔だったか? 俺は行くぜ」

「後でまたお礼をさせてくれ。世界が救われたお礼をね」

「大げさに言うなあ。デカいこと頼んじまうぞ?」


 何度も体験したはずの時間は、どうしようもなく熱い涙をこぼさせた。去り行く背中が、あのときの背中と重なる。


(あなたにも、あの人にも、これ以上の涙を流させはしない。泣くのは僕だけでいい……あんなに幼い涙なんて、いくら流したって惜しくはないのだから)


 男は、次の出力ポイントに移動した。

〈フォーガトン・ペイシェント〉

稼働用水:ブルーオーシャン

安定剤:ミゼラティアー

着色料:ハイダーポリューション

反応薬:テクスタール


 情報を食い、より密度の低いものを侵す環境改変ライヴギア。汚染環境内では状態異常やダメージがより活性化し、敵対者が失ったHPを使用者本人にチャージする。




 更新停止の理由なんですが、PVの低下以外にもその……ぶっちゃけると、スタレのオンパロス編が私のやろうとしてたストーリーとめっさかぶってまして。私がやる意味ないことはやんなくていいってスタンスなので、もっと面白いことをしたい。新作のウケが悪すぎたら、こっちに戻ってくる可能性がないとはいえない()次に投稿できるのは『クイド』のプロローグ、あるいは『真面目ちゃん』だと思います。あとXアカウント作ったんだけど使い方わからん(ネット音痴)。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ