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187話

 思ったよか不健全にできなかった……が、ラインは守れた気がする。


 どうぞ。

 冷たいシャワーを通って薬槽に浸かり、まとめた髪が濡れるのにも慣れたなぁ、とおかしな実感を通った。部分的に曇っているせいか日差しは弱め、気温も湿度もそれなりにあるから、プールに入るにはちょうどいい。


「はい、準備体操するでー。ちゃんと手ぇ伸ばして、当たらんようにしてな」


 切れ長の目に色白、陽の光に虹を返すうらやましいほどの黒髪。京美人と表現したくなるような体育教師の千櫻先生は、そういうと「うちはエセやでぇ」と微笑み返してくれる、ユーモアのある人だった。


「ほんなら、まずは基本の泳ぎやね。クロール、平泳ぎ、背泳ぎ……日本は水害多いから、っちゅうことで水泳が授業に入っとるんよ。せやから、体力消耗せぇへんやり方をまずやっていこな」


 よー見とってやー、とフォームを説明しながら泳ぎ、先生はプールから上がってきた。


「できるだーけバタバタせんほうが体力は温存できるんやけど、向き不向きもあるしな。ほんまにやるんやったら着衣水泳、体操服で泳いだ方がええし、みんなが着とる競泳水着ってタイム縮めるためのやつやから、ほんまに早なる方法やった方がええかもしらんわ」


 本気でやりたい人は今からでも水泳部入ろな、と残して「ほなら泳いでいこかー」とみんなを促した。背の順に並ぶと真ん中やや前、ぜんぜん友達いないゾーンに来てしまった。ちょっと自信がなさそうな……確か志築さんという人と並んでプールに入り、まずはクロールで泳ぐ――が、息継ぎがめちゃくちゃなせいか鼻に水が入りまくって、鼻がすごく痛い。


「んーっ、ふんっっ」


 洗面所で鼻息をめっちゃ出すと、水以外に鼻水も出た。まだ順番が回ってこないトキノが、こっちを振り向いている。


「だいじょうぶ、かりなん……?」


 できるだけクロールやらない、と強めに宣言して、列に並び直す。


 自分を男子だと思っていたころも、水泳はそれなりに得意だったけど……やっぱり女子の方が浮力があるのか、すごく泳ぎやすかった。みちっとしたゴーグルの感触はやっぱり違和感があるけど、肌が水をなでる感触がとても心地よい。風よりもずっと重いのに、そこにしかない安心感があった。


 かなり泳いで、みんなの唇の色が紫っぽくなってきたところで「あとはてきとうにしとこかー」と先生が言った。とりあえずプールに入るだけ入って、プールサイドを掴みつつぷかぷかしながら、トキノと話すことにした。


「ん、そういえばなんだけどさ。なんでハイレグの下にスパッツ穿いてる人いるんだろ」

「ハイレグってけっこう自信ないと選べないんだけど、なんとなく周りに多いと自分もってなっちゃってね? でもやっぱ自信ないから、妥協点にする感じ」


 どう合わせるかは自由だし、とトキノは苦笑した。


「お腹周り二重にきゅっとして、でもラインのキレイさは見せて、みたいな感じかなー。かりなんは体で苦労しないから、あんまりそういうこと言っちゃだめだぞ」

「ん、うん」


 そういえば「スカートの下にジャージ」というコスチュームがあった記憶もある。自信はないけど可愛い特徴は保っておきたい、みたいな心理があるのかもしれない。


「しっかし、ほんとに白っていい感じに透けるんだなぁ。えちかわ」

「そんなに透けてる? 谷間とか、たしかに見えてるけど」


 胸のあたりにはパッドが入っている。けれどパッドの形がけっこう変則的なのと、白を真ん中に、青い細いラインと黒のサイドで引き締めているから、胸の谷間とおへそより少し上あたりは、肌が透けて見えている……らしい。自分では胸より下が見えないし、プールに姿見なんて置いていないから、ちゃんと見られなかった。


「そうだ、おっぱいって浮かぶんだよね? トキノもやってみない?」

「私!? 体おっきいから重いでしょ……」


 あおむけに水に浮かぼうとしたが、ちゃんと浮かない。先生が歩いてきて、苦笑しながらアドバイスをしてくれた。


「天海、泳ごうとしとるから沈むんやで。もっと力抜いて」

「あ、先生。どうやったら浮くんですか」

「せやなぁ。寝とるときみたいに……足動かそうとせん」

「こ、こう……?」


 へんに意識しているせいか、あんまりうまく行かなかった。


「天海は、よぉ馴染んどってよかったわ。体がおかしい、おっぱい重ぉて動けんて、誰もかれも言うもんやから。水泳はどうや、やりにくないか?」

「ん、ジャンプする感覚は変わりましたけど……そんなに? 水泳は得意な方だし」

 ほうかぁ、と先生は微笑んだ。


 ゲームでの水泳はだいたいクソ要素かバグまみれ、スキル枠を持っていったり水着強制だったりと、あまり好きではなかった。


「はー……ゲームより楽しいかも、水泳」

「かりなんもそういうこと言うんだ?」


 ふんにゃり笑うトキノといっしょにプールから上がったあたりで、体育の授業が終わった。

 ずいぶん前にすり抜けた水着マックちゃんをようやっと覚醒5に持って行って初育成、無人島シナリオで初めてのUD4に到達できました。ゲーム下手くそマンだから昨日のチヨちゃんUE9がギリギリ上限くらいか……? とか思ってたら大幅更新してくるのすごい。これがメジロかぁ……

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