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【更新停止中】アクロス・ザ・ナギノクイント  作者: 亜空間会話(以下略)
2章 みゆきひらひらふるるよる
126/191

126話

 母が入院してる間の家族の世話&スタレ&新作書いてて、あんまし時間が確保できませんでした。十日空くのはさすがにまずい……次の話は決まってるので、がんばります。


 どうぞ。

 イベントが片付いて、俺たちは広場の隅っこに集まっていた。


「そこそこ楽しめたな。PKはちっとばかしお休みだったが……」

「あ、ちゃんとおとなしくしてたんですね」


 自分なりの強さ、そして斬り合える相手を探し続けているゾードだけど、さすがにイベント中はおとなしくしていたらしい。


「そこでやっちまうとつまんねぇタイミングがあるんだよ。ほかに考えることが多いと、やってる方もやられてる方も気が入らないんでな」


 手当たり次第に襲撃していた人とは思えないほど、合理的で理性的な言葉だった。何か心境の変化でもあったのかと思ったけど、そうでもなさそうだ。


「そんで? お前らはどうだったんだよ」

「私は、星霊(アスト)三体目が仲間になりましたよ」

「すこし忙しかったが、股間はこの通り元気だ」

「俺らも、野良に混ぜてもらっていろいろやってきましたよ」


 全員がいつも通りの遊び方をしていて、とくに変化は起きていないようだった。


「次のアップデートで、ギルドシステムが来るらしいぜ。いっちょ組んどかねーか?」

「いいですねー? 籍置いとける場所、ちょうど欲しかったですしねー」


 ローペが言ったことにも一理ある。だいたいどんなゲームにも「ギルドバフ」というものがあって、とりあえず入っておくのは大事だ。なんなら、そのバフを利用するためだけにソロプレイヤーが設立する、交流なしの「ソロギルド」なんかもある。


「悪くはないが、僕は参加できないな」

「股間に何かあるんですか?」


 冗談のつもりで言ってみると「いや」と真面目な調子の声が返ってきた。


「僕はこれでもNPCでね。パーティーを組むまでは許可されているんだが、ギルドには加入できない」

「なんか……えらく機械的に言うなあ」

「君たちはもう知ってるだろ?」

「ありゃ茶番だったのか、錫児」


 人間の意識の一部を利用して動かす「モノ」――スタート地点付近にいくらでもいる機械系モンスターは、そういう兵器の成れの果てらしい、というのは聞いていた。ああやって真相が明かされた場面にいた錫児さんが、その当事者だったと言われると……ゲームの設定なのに、奇妙な寒気を感じた。


「まあ、そういうことだ。手が空いていれば手伝いはできるよ」

「……いつもは何をしてるんですか?」


 すっと股間の象牙が持ち上がり、「しーっ」のジェスチャーが口を塞ぐように、ちょうど麻袋の顔あたりにぱさりと当たった。そのまま何も言わず、錫児さんは歩いていく。ブーメランパンツで強調される筋肉質なお尻が、ゆっくりと遠ざかっていった。


 自分でも下手だと思うくらいの声音で、できるだけ話題を元に戻す。


「えっと、ザイルとローペはいいんだよね?」

「ザクロさんも?」

「ソロじゃ限界あるけど、いつも野良ってわけにはいかないからね」

「んじゃあ、話は決まりだな」


 なんとなく頭数が欲しいときに組む、それ以外のときは各自で活動する。いつも通りのノリで遊べるギルドがあれば、とてもありがたい。


「ひと段落ついたな。ザクロ、なんか準備することあるか?」

「武器がもうちょっとで作れそうです」

「けっこう長いこと待ってんだからよ、つまんねぇ戦いにすんなよ」

「そっちも、強くなってるんですよね?」


 食前酒のように、あえて挑発する。やれやれと言わんばかりに、ザイルとローペ兄妹も去っていった。


「ペースは落ちたが、お前に負けてるつもりはないぜ。それはそれとして、手札を見せるってわけにはいかないけどな」

「そうなりますよね!」


 戦う前に、こうして話すのも楽しい。


「手助けが必要そうなら言えよ? そのくらいはしてやる」

「そのときは、お願いします」


 拳をがっと合わせて、俺たちはそれぞれの目的地に歩いて行った。

 股間とケツで語る錫児さん。書いてていちばんたのしい。

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