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【更新停止中】アクロス・ザ・ナギノクイント  作者: 亜空間会話(以下略)
2章 みゆきひらひらふるるよる
120/191

120話

 前やってた「詰まったら視点変える」をやることにしました。一般プレイヤーのお話ぜんぜんやってないし……


 どうぞ。

 イベント予告に合わせてログインしたメンツは、いつもの顔ぶれだった。どうやっても住民が利用しているようには見えないベンチに、五人ほどが座っている。噴水広場を通りがかるプレイヤーは多く、横のつながりがあるものは情報交換もする。こういう目立つ場所にいることには、それなりにメリットもあった。


 さっと見回した「たどん」は、「ヴェンとD’arCとオルルとライブル……」と数えて、首をかしげた。


「今日ディートおらんの?」

「リア友とメシ行くって言っとったわ」

「それはしゃーない。リアル大事よ」

「ほんそれ。ちょい火力下がるけど、ママエアロ」


 ゲームとメタバースが限りなく近付いた昨今、メタバースである〈NOVA〉と、その下部ステージになるオンラインゲームに昼夜を問わず入り浸っている人間は少なくない。早期リタイアした中高年やパートナーに先立たれた壮年以降の人々、若年層からは引きこもりやニートも多くいるが……彼らに共通した認識がひとつあるとすれば、「リアルは何より大事」だろう。


 年齢が上がれば上がるほど、現実への復帰は難しくなる。だからこそ、現実の比重が大きいメンバーはより現実にいるべきだと考えられており、復帰以前に、依存させないことを前提にしたアドバイスが為される。


星霊(アスト)が降りてくるんだって?」

「そうそれ、今までは手順クソめんどかったじゃん。シュウイ平原出るだけでいいのは、マジ助かる」

「相性で狙えるの誰かなぁ。データにあったの誰だっけ」

「ウンディーネとユニコーンとサラマンダー、オリキャラっぽいのは〈カイリ〉〈トモガラ〉〈ロ・ザイ〉やね。青主力ばっかやさけ、サラマンダーか〈ロ・ザイ〉がええわ」


 別キャラを作る気満々のオルルは、いつものように関西弁丸出しで言った。属性相性でのダメージ増加/減衰値は20%である。耐性のない属性だと100%がそのまま通るが、同属性だとダメージは80%になる……モンスターは術師タイプでも物理ステータスが高いため、属性相性が悪い術師タイプ同士の戦いでは、どうしてもプレイヤーが不利になりがちだ。


「物理欲しいんだよね……〈カイリ〉、ダメかな」

「フルアタで物理やるんは自殺行為やで。連結でやれそうやったら狙う、っちゅうんでアカンか?」

「あぁ、確かに。だいたい周回した方が効率いいし」

「だねぇ。回れないのがいちばん問題だった」


 仲間にした星霊(アスト)が多ければ多いほど、新しいスキルを手に入れたり、既存の特技を使いやすくなったりといったオプションが得られる。これまでライブラリ・アースに行かなければ戦うチャンスすらなかったが、その制限は消えた。


「おっ、メッセ入った! 人足りないくらい出まくってるって!」

「ええなぁ、行こか」


 オルルの出した岩石が力場を発生し、五人を捉えて即席の乗り物を構成した。


「こんまま突っ込むさけ、得物出しといてや」

「おぅけぃー」


 ぐん、と猛烈な加速が全員を襲った。

 メンバーの名前は全員「きたない/よごれてる」モチーフ。オチは決まってるから時間かけずに抜け出してぇ。

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