119話
一話書き終わったらほかの文章を書いて……ってやってるのでぜんぜん進まない。あと『レジェンドオブレガシー』がぜんぜんクリアできない。なんやねんあれ……
どうぞ。
ひたすらに鋭い一撃が、喰い合うようにぶつかった。
意識するより前に体が動き、お互いに紙同士がぶつかっているはずなのに、エフェクトの火花が散る。思考する間を挟めば、それだけで首を獲られかねない攻防だ。
袈裟に逆袈裟をつなげる膂力、そして指使いの繊細さのバランス。特技ひとつを差し込む隙間があれば、それだけで誇りになろうかというほどの、目にもとまらぬ剣劇。相手の戦法は、何も説明することがないほどシンプルだった。ひたすらに早く、どこまでも正確な剣さばき――ただそれだけだ。
「早い……!!」
聞こえるのは、秒間にいくつあるかも数えきれない激突と、かがり火の燃える音だけだ。時間が経つごとに洗練されていく死闘の中で、思考はすうっと研ぎ澄まされていた。
バナコ、ミザリアと続く中で「トウバ」という国名、これがおそらく和風の技名を擁する紙のライヴギアの起源なのだろう。符術の起源もそこで、同じようにして「人の意識で紙を動かす」技術が実用化されたようだが、この武人の技術はそこから少し外れている。
「こむすめが、これほどにつかえるとは」
「刀を持った敵なら、いくらでも斬ってきましたから」
刀のモデリングは歴史が長いせいかガチ勢が山ほどおり、それに加えて剣術のモーションキャプチャーもモデル志願者がかなり多いようで、VRゲームでの「刀を持ったモンスター」はかなり多彩だ。おおまかに人型なら、バランス計算をした上で異形の剣術をシミュレーションして生み出すこともできる。ものすごくおおげさな言い方をすると、ゲームの歴史すべてが俺に味方している、と言ってもいい状態だ。
「おまえも、おのれをうりとばしたいくさぐるいか」
「そこまで壊れてはいないつもりです」
ブレイブの記録を閲覧したときに検証済みだが、やはり、意識をステラノードあたりへ保存して転写する技術は広く知られているようだった。慰労金は出るし、この人のように未来で戦いたいという狂人もいる。
「マーレスは、どうなったんですか?」
「そらにねがはっておらぬなら、しりぞいたのだろうよ。あのおんなどもがなにかしかけをしておらねばのはなしだがな」
空に根が張る、という表現にはまったく聞き覚えがなかった。あの水面は何だったのか、とわずかに意識が逸れた瞬間に、重い一撃が手元の近くをぶっ叩く。
「かんがえごとはあとにせい。しるかぎり、すべてきかせてやる」
「お礼は、先にお支払いします」
「たのしませてもらうぞ」
刀の妖光が、一段と強くなった。




