117話
ちょっとnoteと新作に集中してました。なお18話(ストーリーとしては三分の一以下)しか書けていない。
どうぞ。
木のエレベーター……というよりカラクリ仕掛けのような何かに乗って、地下に降りていく。実際の材質は分からないが、木造の家に似た匂いがして、地下に向かっていくにしては妙に落ち着くような雰囲気だった。
「昔の戦士は、そこまで強くなかったそうだ。ただ、どれだけ負けてもケガをしても、ちょっと時間が経つと蘇ってきたんだと」
「ふつうですね」
「普通か。業が深いもんだ」
「業……」
執念だろう、とサブロウザさんはつぶやく。
「何度も繰り返せば、とうてい歯が立たん敵にも勝てるだろうさ。真剣勝負にやり直しだなんて、ずいぶんと甘えたもんだが」
「生粋の戦士、というわけではありませんから……」
いろいろと聞いていて分かったのは、この世界の住人には何かしらの専門家がゴロゴロいて、志願者もその一種だと思われているらしい、ということだった。
じっさい戦ってばかりいるから、俺たちは戦闘のために作り出された人造人間だ、という認識自体は間違っていない。しかし、グランドクエストともいえる「星に残された謎の解明」は、手探りそのものだ。
「ま、なんだ。あんたらはよそ者だから、あんたらのルールもあるだろう。お互いに役に立てるようにしたいとこだな」
「歩み寄り、すっごく助かります」
この街を見ただろ、とサブロウザさんは小さく噴き出す。
からくりエレベーターを降りて、坑道のような場所に到着する。ロケーションはあまり気にせず、彼は楽しそうに語りを続けた。
「ご先祖様の本によれば、この街は火薬庫より危なっかしい場所だったそうだ。あっちこっちの国から人が集まってきて、全員がよそ者同士……ってな」
「敵を倒せたら、そのお話も詳しく聞かせてもらえませんか?」
「ああ、もちろん。あんたらは復活できるんだろう? 俺さえ生き残ってたら、何度だってここへ来てやってくれて構わん」
「えっと、はい……?」
かがり火の間隔がちょっと広くて、道は暗い。そのわりには、先にある空間はやたら明るく見えて、トンネルと出口のような目的地感があった。
「やつは陣を敷いていて、地面に書いた円の内側に入ったものしか攻撃しない。あ、陣の外側から攻撃されれば迎撃はするぞ」
「陣……」
坑道を抜けると、符術での照明が変に明るくて、目に痛かった。
「あれだ」
「……今度こそ!」
これまでの経験を思い出しつつ、俺は敵を見据えた。




