103話
アレですね、できる限り徹夜して書いた方がいいな……
どうぞ。
シュモクザメ頭の機械ワームは、かなりの速度でノイスと切り結んでいた。プレイヤーでも、こいつとまともに戦える人はそう多くないだろう。NPLはどれもめちゃくちゃ強かったけど、パーティーでも難しそうに思える。
『ははッ、あンときとは逆だなぁマイマスター? いくらでも撃っていいぜェ!』
「わかった、撃ちまくるからね!」
買い足しておいた紙を使って〈秘奥珠貝〉を作り、ライヴギアも〈三鳥の型〉に切り替え、ありったけの魔法を撃ち出す。いくら相手が固くても、かなりのダメージを稼げるはずだ――と思っていたら、相手も魔法を撃ってきた。
「えっ、なんで!?」
『こいつ、スリットに符を仕込んでやがるぜ! 複合型のライヴギアかもしれねェな?』
「ふ、複合型って……!?」
装甲の隙間から光が漏れて、曲射した緑色のビームが殺到する。魔法を避けながら、こっちも負けじと撃ちまくる。弾幕が交錯して、不思議に美しかった。
ライヴギアの種類は、志願者ひとりに対してひとつだけだ。これまで戦ってきたNPLもすべて、カテゴリは決まっていた。どう見ても機械だし、打ち合う音からしても金属同士にしか思えない。ゾードのチェーンソー剣と、俺の「割鉈の型」で打ち合ったときのそれとは、かなり違う……文字通り金属質な、甲高い音だ。
「もう少し様子見よう? もうちょっと限定されてるっぽく思えるんだ」
『様子見も何も、勝つ気だがね。えらく慎重じゃあねェの、らしくないぜマイマスター?』
バカをやるたびにたしなめられてるなー、と今さら自嘲する。
ちょっと無茶しすぎて勝てないことも、そこそこの頻度で起きている。でも、慎重になるには早い……ノイスのカタログスペックは、俺をはるかに超えているのだ。
「ごめん、そうだったかも」
『信用してくれよな。前のあんたよりは強いんだぜ』
ゆらりと揺れるいくつもの刃が、機械ワームの振るうカマを封じている。衝撃波もいくらか発生しているが、ノイスにはそれを殺す余裕さえあるようだった。わずかに光ったカマを、ノイスはすっと避ける。次の瞬間にやってきた緑の曲射ビームは、相殺しきれずにこちらをかすめた。
「今の、〈一刀隼風〉だ」
『機械が居合いなんて覚えてんのか、不思議だねェ』
発動することで、戦闘中に相手の受ける緑属性ダメージを二割増やす効果がある剣技――志願者と星霊が同じものとして扱われるのは新発見だけど、相手の正体にさらに近付けたような気がする。
「ライヴギアは……違う、そうだとしても」
ライヴギアには、スキルはセットできない。
形に武器としてのカテゴリが設定されているときは、本体もカテゴリに応じた特技が習得できる。だから刀カテゴリだった「割鉈の型」は、〈一刀隼風〉をはじめとした特技をいくつも習得させてくれていた。
「やっぱり、作ってるのかな……?」




