101話
夏休みの宿題と同じく「書けるまで寝ない」って方針でようやっと書けました。あと緑茶パワー。血糖値で眠くならないぶん、緑茶の方が起きるちから強いのでは……?
遅くなりましたが、どうぞ。
ログインしてすぐ、トークンの交換所に向かった。新設された街角の端末は、すこし遠くからでも操作できる。さっと操作すると、すぐにウィンドウが開いた。こういうものは、交換ラインナップを見てから行動するに限る――今回はかなり出遅れたけど、まだなんとか挽回できそうなところにいる。
「おっ、ザクロさん。ずいぶんソロってたけど、花びら貯まったのか?」
「あんまり。ザイルはどう? 殲滅力はこっちよりありそうだけど」
「まあね。一通り交換できる数は貯まったから、あいつの強化を進めてるよ」
「そっかー……さすがセミプロ」
言いつつ、交換できるものの一覧を見る。「浮き世の花びら」百枚を集めると、今回の目玉である〈サクヤヒメ〉が入手できるようだ。
「サクヤヒメ、緑属性ならかなり強いみたいだぜー。ちょっとバフの発動条件厳しいから、扱いづらいんだけどさ」
「なになに? バフがかかってからすぐ攻撃して、連鎖させていかないとダメ……かぁ。魔法系ならいけるんじゃない?」
「三秒で切れるのはちょっとなー。緑属性の魔法ってCTとディレイ長めだから、コンボ切れるんだよな」
「連撃がつながらないと実用性ない、か。使えるようになるまで、お預けだね」
あのムチなら少しは使えそうなのだが、属性が限定されていたりしたら一発アウトだ。ライブギアの攻撃はだいたい物理で、特技で属性がつく。そこの条件さえクリアすれば、今のままでもすごく強くなれそうだ。
「またNPLが湧いてるらしいから、暇あったらやっちまおうぜー。ソロでやんのも良さそうだけどね」
「しばらくはソロでやるつもり。いい石手に入ったら、ローペにあげるね」
「おっ、あんがとな! 助かるよー」
「運しだいだけどね?」
都合よく石のNPLに出会える気もしないので、花びら集めに精を出しつつ、倒せる敵はぜんぶ倒していく方針に決めた。
「それにしても、けっこういいものあるなぁ。コスも入ってるし」
「配布コス、性能いじれないらしいけどね……いや、ザクロさんのってだいたいそうだっけ?」
「ドロップ品なんだよね。進化するらしいし、安いうちに買えてよかった」
「ああ、星霊コスもあったんだっけ。あのレオタード?」
「そうそう」
「いや、強いんだろうけどさ……。マジで着るのか……」
初期配布だった若草色の着流しは〈イースタルローニン〉というコスチュームで、ちょっと回避性能が上がるくらいの低級品だ。
一方で、〈調弦の型〉のときに着ているミニ丈の浴衣は〈京豊花棚〉、〈柳尾の型〉のときは〈ネレイデスの戯れ〉で、どちらもドロップ品かつ上級のアイテムだった。ほとんど入手していないから分からないけど、コスチュームのランクは何段階かあるようで、課金アイテムで強化もできるらしい。
「目標ができたし……よし!」
「応援してるぞー。ゾードさんもたぎってるみたいだからさ、備えといた方がいいと思うなあ……わりとキてるな、あれは」
「ちょうど腕試ししなくちゃってタイミングだし、助かるなぁ」
「正気かよ……対人慣れしすぎじゃないか?」
人型の敵と戦える機会は、思ったよりも少ない。このゲームだと、そういう敵はだいたいが狂ったような性能をしていて、とてもじゃないがまともに相手をすることはできない。相手になるような人型の仮想敵となると、どうしてもプレイヤーになってしまうのだ。
「じゃ、そっちもがんばってね」
「お、おう……」
交換はさっと終えて、敵を探しに行くことにした。




