99.天級戦士団ヘリオサマナ
ある1人の恰幅がよく、体の大きな男が、その場の戦士や市民達に向かって叫んだ。
「私はヘリオサマナ副団長ジーダだ!その者は団長アリディア様の客人。悪き者ではない!皆、落ち着け!」
「ジーダ様…」「アリディア様の御客人……」
周囲の人達はジーダの言葉にざわつき出す。
「彼はアリディア様とは交流がある。それに、皆も知っているであろう。ミルズ王国で起きた改革の話を、彼らこそミルズ王国を救った、カルマリスタだ!」
「ミルズの悪しき王を失脚させ、王国軍を蹴散らしたというカルマリスタですか?」
「なんと……それは凄い御人だ…それにアリディア様のお知り合い…」
「だが、あの眼は…」
「大丈夫だ。彼らを恐れることはない。このヘリオサマナ副団長ジーダが保証する。」
「ジーダ様がそこまで仰られるなら何も言いますまい。」
「副団長様の保証に文句をつける者などおりません。」
ジーダの登場により、街の人達の反応は大きく変化し、カルマ達に向けられた畏怖の目はジーダへの信頼の眼差しに変わっていた。
「どうなってんだ…?」
「それだけヘリオサマナがこの国で力を持っているってことですよ。」
ジーダがカルマ達の元へ歩み寄ってくる。
「よく来た。団長からは話を聞いているよ。」
「あ、ああ…どうも。助かりました。」
「対したことはしていないさ。さぁ、私について来て。案内しよう。」
3人はジーダについていくと、大きな建物に到着した。
「もしかしてここが…」
「うん!私達ヘリオサマナの活動拠点だ。」
「でか……」
「まぁ今では規模も大きくなったからね。さ、こっちだよ。」
「そうだ。カルマ、悪いが、眼帯をつけてくれるか?」
「え?」
「あくまでこの中にいるのは戦士達だ。魔人との関係がないことは理解しているが、どうしても連想してしまう者も多いのでね。」
「まぁ、そりゃそうか。わかりました。」
「すまないね。」
建物の1階に入ると、ロビーのようになっており、剣士や魔術士と見られる人達が談笑したり、書類を読んだりしている。
戦士達はジーダに挨拶しつつも、カルマ達には冷たい視線を送る。
ロビーを抜けると長い廊下になっていて、廊下は片側がガラス張りになっており、綺麗に整えられた中庭が見えている。
「なんか俺たち、歓迎されてないですか?」
「ん?ああ…戦士達ね。
戦士っていうのは実力主義の世界だからね……。
君達みたいに若くて名の知れた戦士を認めたくないのかも知れないね。気を悪くしたなら謝るよ。」
「いや、少し気になっただけで、大丈夫です。」
「どわーー!」
廊下の向こうから、派手な格好をした女が走ってくる。
「君がカルマ君だね!へー!天級剣士ダグラスの弟さんなんだよね!!すごいなぁ!
あっ!女の子もいるんだ!へー!よろしくね!」
その女はカルマ達一行にはしゃぎながら声をかけた。
「ちょっとジーナ、落ち着け。彼らも困っているだろう?」
「あはは、すみません副団長。思ってたより可愛い子達だったから楽しくなっちゃって」
「すまないね。彼女はジーナと言ってヘリオサマナの上級戦士なんだけど。少し度が過ぎるところがあってね。」
「へへへ、私はジーナ・アラモ・パドリアス!よろしくね!」
「ども、カルマ・ミラ・フィーランです…」
「ハウロスです。」「カミルだ。」
「また時間ある時にゆっくり話そうね!ばいば〜い!」
ジーナはそういうと、廊下を走り去っていく。
「……」
「じゃあ行こうか。」




