98.到着ルードミリシオン
さらに少しの時間走ると、ランダロス達は足を止める。
「ついたのか?」
「コロラド連邦領はもう少し先だが。我らはこれ以上先には進めぬ。ここからは歩いていくといい。」
「ありがとう本当に助かったよ。ランダロス。」
カルマはランダロスにお礼を言う。
ハウロスとカミルもベルベストタイガーの体を撫でており、ベルベストタイガーもハウロスとカミルに甘えるように顔を擦り付けている。
「ははは、ありがとうな。お前達。」
「こちらこそ礼を言う。気をつけて進むが良い。
カルマ、ハウロス、カミル。短い時間だったが、良い時間だった。」
「ランダロス!近くに寄ったらまた話でもしに来るよ。」
「ああ、その時は聞こう。お前達の旅の話を」
ランダロスは3人を見て、にっこりと笑った。
「またな〜!」
「また会おう。小さい戦士達よ。」
3人は山へと戻るランダロス達を見送った。
「アリア...言葉を交わすというのはいいものだな。君とももう少し話がしたかったよ」
「じゃあ、行きましょうか。」
「うん!」
3人は山越えは困難とされるベルベスト山脈をベルベストタイガーのおかげで1ヶ月をかからず越えて、目の前に広がるコロラド連邦領、ルードミリシオンに向けて歩き出した。
「ボス、本当に眼帯をつけないまま街へ入りますか?」
「やばいかな?」
「ちょっとした騒ぎになりそうですが…」
「まあでも、なるようになるよ。」
「幸い、ルードミリシオンは入国に審査がない国だそうなので、入れないってことはないでしょうが…」
そんな話をしているうちに、ルードミリシオンの目の前まで来た。
「でかいな..」
「この門をくぐればコロラド連邦領か..」
3人はルードミリシオンへ足を踏み入れる。
ルードミリシオンという国はカストリアやミルズと比べても大きく栄えており、多くの高層の建物に整備された道、そして、戦士や商人が行き交う、活気ある街だった。
3人はルードミリシオンに入り、周りを見渡しながら歩く。
「ヘリオサマナの本部はどこでしょうか?」
「んー、どこだろうね。」
「ひ……緋眼……」
街の住民が1人、カルマの目を見て声を上げる。
「ボス……」
「いいよ。先を急ごう。」
「緋眼の魔人め!我らは中級戦士団ミシェルノケン、私が討伐してやる!」
市民を無視して進もうとするカルマの前にどこから湧いたのか、中級の戦士がカルマに向かって剣を抜き叫び出す。
「緋眼の魔人だって!?」「逃げなきゃ……」
周囲の市民達もカルマを恐れ始める。
「ごめん…やっぱりややこしいことになっちゃった…」
「どうします?」
「ここであの戦士と戦っても、完全に悪者だよね…」
「私が斬ってやろうか?」
「いや、やめて…それよりここを離れよう。」
「落ち着け!君達!!」
(今度は何だ……?)




