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5周目の人生で異世界を救った話  作者: MINMI
二章 ミルズ王国 動乱編
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ルードミリシオンへ

 

「よし、では下山する。下りは更に早いので捕まっておけ。」


ランダロス達ベルベストタイガーが、白銀の斜面に一歩踏み出した瞬間、世界が一気に動き出す。雪を蹴るたび、粉雪が舞い上がり、冷たい空気が肺の奥まで流れ込んだ。

 ランダロスが言うように、下りの道のりは更に早く、険しいものだった。

 岩肌をとびこえ、直角の岩壁を走り、深い雪をものともせず走り抜ける。



「ランドロスはなぜ人間の言葉を話せるの?」


「……500年も昔のことだが、アリアという召喚術士がいた。

彼女は我を含む各地の魔獣と契約していた大召喚術士だが、彼女は自らの利益の為に我らを召喚することはなかった。」


「じゃあ何のために召喚契約をしていたの?」


「……ふっ、我らと"友達"になりたかったそうだ。

そんな彼女は各魔獣と対話を行えるようになるために、それぞれの魔獣の言語を覚えようとしていた。」


「そんなことできるの?」


「無理だな。だが、彼女は諦めなかった。何度も何度も我らの声を聞こうとしていた。

我はそんな彼女の思いに応えようと思い始めた。

それから数十年、人間語を練習し話せるようになった。各種族の魔獣の言葉に比べれば、人間の言葉など、単調で簡単だ。」


「まぁ、人間語を話せるようになった頃、アリアは死んでしまったが……」


「そんな……」


「わはは、そんな暗い話でもない。

そもそも人間の寿命など我からすれば、ほんの僅かなものだ。それにもう500年も前の話だしな。」


「でもこうしてランダロスと話ができるのも、そのアリアって人のおかげなんだね。」

 

「まぁ、そういうことだ。そう意味では、人間の言葉を覚えたことは悪くはなかったのかもな。

こうして、人間の小僧に昔話を聞かせることができた。」


「ふふっ、そうだね。」



 そんな話をしているうちに、麓の街が目の前に広がってきた。ベルベスト山を越え、コロラド連邦領が近づいてきたのだ。


「ボス、もうすぐですよ!」

「うん!」



さらに少しの時間走ると、ランダロス達は足を止める。

「ついたのか?」


「コロラド連邦領はもう少し先だが。我らはこれ以上先には進めぬ。ここからは歩いていくといい。」


「ありがとう本当に助かったよ。ランダロス。」

 カルマはランダロスにお礼を言う。

 

 ハウロスとカミルもベルベストタイガーの体を撫でており、ベルベストタイガーもハウロスとカミルに甘えるように顔を擦り付けている。


「ははは、ありがとうな。お前達。」


「こちらこそ礼を言う。気をつけて進むが良い。

カルマ、ハウロス、カミル。短い時間だったが、良い時間だった。」


「ランダロス!近くに寄ったらまた立ち寄るよ」


「ああ、その時は聞かせてくれ、お前達の旅の話を」


ランダロスは3人を見て、にっこりと笑った。


「またな〜!」


「また会おう。小さい戦士達よ。」


 3人は山へと戻るランダロス達を見送った。


「アリア...言葉を交わすというのはいいものだな。君とももう少し話がしたかったよ」


 

______


「じゃあ、行きましょうか。」

「うん!」


 3人は山越えは困難とされるベルベスト山脈をベルベストタイガーのおかげで1ヶ月をかからず越えて、目の前に広がるコロラド連邦領、ルードミリシオンに向けて歩き出した。

 

 カルマは生まれ育ったカストリアを旅立ち、ラダの森でゲド族の少女カミルに出会い、ミルズ王国ではバランという少年のために、悪き王を打ち倒し、彼の母親を救った。

そして、ようやく目的地であるルードミリシオンに辿り着こうとしている。

 だが、カルマの戦士としての物語はまだこれからだ。スタートラインに立ったに過ぎないのだ。

 カルマはこのルードミリシオンにて戦士として生活して行くこととなる。



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