古代の魔獣
ランダロスは一度、洞穴へ戻り、3m近くある大きなベルベストタイガーを2体連れて戻ってくる。
「でか...」
「我らでお前達を山の向こう側まで送り届けてやろう。」
カルマ達は巨大な三体の魔獣を前に呆気に取られ、呆然と立ち尽くす。
それは、当然の反応と言える。巨大な魔獣が人の言葉を話し、自分達に協力してくれるというのだ。そうなる事を誰が想像しただろうか。
「では、行くぞ!」
「うわっ!」
ランダロスはカルマを咥え放り投げると、自分の背中に乗せる。
「すげぇ。これでいくの?」
後ろを振り向くと、ハウロスとカミルもそれぞれベルベストタイガーの背に乗っている。
カミルは不思議そうにベルベストタイガーの背中を叩いている。
ハウロスは未だ呆気に取られた顔をしている。
「では、行くぞぉ!」
「ガアァ!」「ガフゥ!」
3人を乗せた三体は勢い良く雪の上を駆け上がっていく。
頭上に流れる雲を次々に追い越し、深い雪を物ともせず雪山を駆け上がって行く。
「早えぇ。」
「これならすぐに山頂までいけそうですね。」
「なぁ。ランダロス」
「なんだ?」
「言語を話せるのはランドロスだけなの?」
「ああ、人間の言葉を話せるのは我だけだ。」
「ランドロスみたいな魔獣は見たことがないよ。」
「我はグランダムができる前から生きている古代の魔獣だからな。」
「え!?魔創神グランがこの大地を平定する前から?」
「そうだ。」
「凄いそんな魔獣がいたなんて……」
そんな話をしているうちに、周りの木々は無くなり、ただただ白銀の雪の斜面と、澄んだ青空だけが視界に残る。
「さぁ、もうすぐ山頂だぞ?」
「え!もう?」
「我らにとってはこの山は庭のようなものだからな。」
3人と3体はベルベスト山の山頂へ辿りつく。
カルマ達はそれと同時に目の前に広がる絶景に言葉が出なかった。
遠くまで広がる大地に地平線。手が届きそうなほどに近い青空。先程まで、頭上に見えていた雲は、気づけば眼下へと移っていた。山の麓には街や森が見えている。
そのベルベスト山山頂からの景色は、言葉を失うほど雄大で、同時に自分の存在が小さく、そして確かにここにあることを静かに教えてくれた。
「あれがコロラド連邦だ。」
ランダロスが示す先には、建物が密集した街が見えている。
「街がちっさい…」
「これは絶景ですね…ボス」
「うん。凄いね。これだけでも来た価値はあっただろ?」
「本当に素晴らしいな。」
驚く3人に続くように、三体のベルベストタイガー達を遠吠えのようにその景色に向かって吠えている。




