92.消息不明
三体のベルベストタイガーは洞窟に入っていき、巨大なベルベストタイガーはゆっくりと大きな歩幅で歩いてきている。
「どうする……?」
「あんなの勝てないですよね…」
「まて……こっちに向かってきていないぞ?」
巨大なベルベストタイガーはカルマ達の方ではなく丘の上の方へ向かって歩いていく。
カルマ達は身構えながらその様子をまだ傍観する。
(音を立てちゃいけない。ただ待つんだ…)
カルマ達から少し離れた丘の上で巨大なベルベストタイガーは足を止める。
「……?」
「ヴァガァァ!!!」
大きな咆哮と共に、巨大なベルベストタイガーは地面に向かって前足を何度も叩きつける。
すると、地面が揺れ動き、周囲の雪が崩れ始め大きな崩壊を始める。
「やばい!!雪崩を起こしやがった!」
「くそぉぉ!」
瞬く間にカルマ達は大量の雪に飲み込まれ、目の前が真っ白になる。
カルマが目が覚めると、全身が凍えるよう寒く、体の上に雪が乗っており身動きが取れない。
一体どれくらいの時間が経っただろうか。
何とか、魔術で手から炎を出し、雪から這い上がる。
周りを見渡していると、前日に出発した洞穴がある。
雪崩と一緒に随分と降りてきてしまったようだ。
「ハウロス、カミル?」
周りを見渡しながら二人を探すと、すぐ近くの雪から布生地が出ているのを見つける。
カルマは慌てて雪を掻き分けると、ハウロスが意識を失っていた。
「息はしてるな……」
カルマはハウロスを背負い洞穴の中に座らせる。
魔術で焚き火を作っていると、ハウロスが目を覚ます。
「ボス……?」
「よかった。ハウロス、ここで体を温めといて!」
カルマはそういうと洞穴から出て行こうとする。
「ボス、どこへ?」
「カミルが見つかってないんだ。探してくる。」
「ボス……」
カルマは雪の中、雪崩の跡を辿ってカミルを探す。
幸い降雪は強くない。
「カミル…どこだ?」
周辺を探したが、カミルは見つからなかった。
「くそっ!しょうがない。あんまり魔力を使いすぎことはしたくないけど…」
カルマは周囲の地面に向かって両手を向ける。
「広範囲炎獄!」
カルマの魔術によって周辺の地面に炎が上がり雪を溶かしていく。
カルマはカミルを探すため、魔術を駆使し雪を溶かしながら斜面を登っていく。




