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5周目の人生で異世界を救った話  作者: MINMI
一章 平和の国カストリア編
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兄ダグラスの帰還


 ある日、カルマにとって胸が跳ねる知らせが届いた。

 兄ダグラスが、久しぶりに帰ってくるという。


「よし、兄さんが帰るまでに使える魔術を増やすぞ!」


 小さな拳を握りしめ、カルマは勢いよく家を飛び出した。


 兄に褒めてもらいたい。

 驚かせたい。

 追いつきたい。


 その想いだけで、足取りは軽かった。



 それから約一ヶ月後の夜。


 家族で食事を囲んでいたその時だった。


 ——バンッ!!


 扉が勢いよく開く。


「ただいま戻りました!」


「兄さん!!」


 カルマは椅子を蹴るように立ち上がった。


 戸口に立っていたのは、屈強な戦士の姿。

 高い背、厚い胸板、鎧の隙間からのぞく鍛え抜かれた筋肉。


 それでもカルマにとっては、ただの“兄”だった。


「おお、カルマ……大きくなったな」


 低くて優しい声。

 カルマは迷わず飛びついた。


「兄さんお帰りなさい!僕ね、話したいこといっぱいあるんだ!」


「はは、待て待て。あとでちゃんと時間を取る」


 大きな手が、くしゃりと頭を撫でる。


「カルマ、兄さんは疲れてるんだ。また後にしなさい」


 父の声に、カルマは名残惜しそうに席へ戻った。


 ダグラスは荷を下ろし、両親の前に立つ。


「父さん、母さん。ただいま戻りました」


「よく帰ったな。ゆっくり休め」


「お湯を用意するわね」


「ありがとうございます、母さん」


 昔から変わらない光景。

 ダグラスは両親に敬語を使う。


 不思議に思ったことはある。

 けれどカルマにとって、それは“いつものこと”だった。



 食事の後。


 居間で魔導書を読んでいると、ダグラスが入ってくる。


「待たせたな。少し外に出るか?」


 カルマの顔が一瞬で輝いた。


「うん!!」



 町外れの草原。

 夜風が気持ちいい。


「魔術を使えるようになったんだってな?」


「うん!いっぱい練習したんだ!」


「兄さんに見せてくれるか?」


「もちろん!」


 カルマは草原の中央へ駆け出す。


「いくよ!」


 手をかざす。


 ちり、と火花が散る。


 続けて炎の球が放たれ、氷の鞭が空を裂き、地面が白く凍りつく。


 小さな体から、次々と初級魔術が放たれていく。


「どう!? まだ他にもできるよ!」


 ダグラスは言葉を失った。


 初級魔術——確かに難度は高くない。

 だがそれは“魔術士にとっては”だ。


 七歳の子供が、独学で、複数属性を操るなど。


(……規格外だ)


 胸の奥が、熱くなる。

 誇りと、そして微かな焦り。


「……すごいな、カルマ」


「ほんと!? 頑張ったんだよ!」


「さすが俺の弟だ。将来、とんでもない魔術士になるぞ」


 カルマは満面の笑みを浮かべる。


「ねえ兄さんは魔術使えないんだよね?」


「ああ。俺は剣だけだ。魔力はほとんど無い」


「兄弟なのに不思議だね」


「あ、ああ……そうだな」


 一瞬だけ。


 ダグラスの視線が揺れた。


 夜風が草を鳴らす。


 カルマは気づかない。

 その言葉が、兄の胸をどれだけ締めつけたかを。

〈頭の中の整理用 メモ〉

ダグラス・ミラ・フィーラン

= カルマの兄で有名な剣士。

カルマの兄だが魔術は扱えない。

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― 新着の感想 ―
ここまで読ませていただきましたm(_ _)m 読み違えてなければ、恐らく今はまだ2周目の人生なのだと思います 1周目で家出の末命を落とし、2周目でも左目が赤いという共通した特徴を引き継いだ状態で転生…
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