76.ラミの覚悟
〈ラミ回想(ラミ視点)〉
「隊長、ドルドス陛下は国の事を考え国政を行っているのでしょうか。
ゴードン様とは大きく違う、このやり方に私は……」
「ラミ、ゴードン様がドルドス様をお選びになられたのは事実だ。
ならばドルドス様の手腕はゴードン様もお認めになられてのことだ。私達は武力でこの国を守るミルズの剣だ。余計なことは考える必要はない。」
「はい……」
そう答えるガーディスの顔はまるで自分に言い聞かせているようにラミには見えた。
だが、迷うことはない。
私はは幼い頃、故郷の国で戦争に巻き込まれ、危険なところを戦士だったガーディス様に助けられた。
両親を亡くし、独りだった私に手を差し伸べてくれた。
「ラミ、君は膨大な魔力とそれを操るコントロールを持っている。その力で私を助けてくれ。」
〈回想終了〉
「私はあの方の優しい手に私は救われた。
だから、私には関係ない。例え彼の進む道が正しいものじゃなかったとしても……!」
ラミの刀がより一層、増殖を始める。
しかしその狙いはカミルやクレディアではなく、無造作かつ広範囲に広がっている。
カミルは何かを感じ取る。
「この気配……!魔力暴走だ!」
ラミはカミルと同じように生まれつき魔力量が異常に多かった。
だが、カミルと違ったのは魔力コントロールの技術に長けており、暴走することなく使いこなすことができた。
しかし今、ラミは自身の多量の魔力を自らの意思で解放させたのだ。
「逃げようにもすでに扉はあの刀の向こう側よ」
カミルとクレディアにすでに逃げ場はなかった。
「なら、あの刀の隙間を縫って攻撃を当て、奴の意識を刈り取るしかない。」
「あの数の刀を!?」
「やるしかない……」
「くそっ!」
カミルは弓を力強くひき、クレディアは氷の矢を出現させ、狙いを定める。
ラミの刀が部屋の全てを埋めようとする時、カミルとクレディアはその矢を放つ……




