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5周目の人生で異世界を救った話  作者: MINMI
二章 ミルズ王国 動乱編
70/144

最強の盾

_______


 ハウロスは膝から崩れ落ちる。


「はは、あっけなかったね〜」


「勝ったと思った瞬間に隙が生まれる……」


「……?」


 廊下に散らばった魔鋼の欠片が、かすかに震えた。


 次の瞬間。


 無数の刃が地面から跳ね上がり、グロウスの体を内側から貫く。


「……がっ!?」


 血が飛び散る。


「へっ……これで、おあいこだ……」


 ハウロスは荒く息をつく。


「触れていなくても変形ができたのか……?」


「どうした?余裕な口調が消えてるぜ。

 魔鋼は魔力が届く範囲なら直接触れなくても操れる。俺は生まれつき魔力制御が得意でな……三メートル圏内なら自在だ。」


「……なるほど。面白い。」


 怒りはある。だが、目は冷えている。


 グロウスは体に刺さった魔鋼を一本ずつ抜き捨てる。


「だが、甘い。」


 踏み込み。


 殺気が一段階、重くなる。


 ハウロスは肩を押さえながら立ち上がり、周囲に魔力を巡らせる。


 複数の魔鋼が宙に浮かび、槍のように伸びる。


「うぉおお!」


 突撃。


 だが――


 グロウスの矛が唸る。


 一閃。


 二閃。


 三閃。


 空間ごと薙ぐような軌道で、すべてが断たれる。


 魔鋼は粉塵となって崩れ落ちた。


(やっぱり正面突破じゃ無理か……!)


 気づけば目前。


 矛が振り上がる。


(ここまでか……)


「おらぁぁ!」


 突如、横から爆風のような衝撃。


 巨大な盾を構えた男が、グロウスに体当たりをかます。


「なんだ!?」


「あんたは……確か」


「がはは!俺はエクスプロドのローグベルト!

 団長命令で助けに来てやったぞ!」


「おい前見ろ前!」


 ハウロスの叫びと同時に、グロウスが矛を振り下ろす。


 ローグベルトは咄嗟に盾を構える。


「ま、待て!そいつの矛は――」


 ガギィィィン!!!


 凄まじい金属音。


 だが。


 盾は、斬れない。


「……なぜだ?」


 グロウスの眉が初めて動く。


「ん?何を驚いてる。」


「そいつの矛は何でも切断する応徳剣術だ!その盾は何なんだよ!」


「ふっふっふ。」


 ローグベルトが胸を張る。


「これはなぁ――

 約五十年前、“最強のタンク”と呼ばれた戦士デグルの盾だ。」


(デグル……フリーの天級戦士。あらゆる任務に呼ばれた防御特化の英雄……)


「最強の盾、か。」


 グロウスが小さく呟く。


「がはは!フレアローズが緋衣の十魔を倒せたのも、あの人がいたからだ!」


(うるせぇなこのおっさん……)


 だが。


 ハウロスは立ち上がる。


 血で濡れた肩を押さえ、剣を再構築する。


(盾で受け、俺が刺す)


 視線が合う。


 ローグベルトがにやりと笑う。


「行くぞ、若造。」


「ああ。」


 最強の矛と最強の盾。


 そして魔鋼の変幻。


 廊下に再び火花が散る。


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