弓と杖
カミルはミルズ三傑のラミと向かい合う。
既にカミルの体は傷だらけで満身創痍である。
だが、カミルもラミを相手に攻撃を与えられずにいた。
(この子…人並外れた反応速度で一向に捕まえられない。)
….
「くそ……うつ手がないな。」
その時だった。ラミに向かって大きな炎の球が向かう。
「火炎爆発」
ラミは増殖した刀で炎の玉を打ち消す。
クレディアが空に浮き、ラミに向かって杖を構えている。
「何者……?」
「あなたがあのカルマって子の仲間ね。加勢するわ。」
「君は確か…カルマにやられて伸びていた…」
「うるさいわね!あの時はちょっと油断しただけよ。」
「だが、どういうことだ?話を聞く限り、君達は王国側のはずだが…」
「団長の命令だから仕方ないでしょう?」
クレディアはそう言いながら空を移動し、カミルの近くへと降り立つ。
….
「お互い困ったボスを持ったと言う事だな。」
カミルはクレディアと共にラミに向かって構える。
「何人集まろうと、私には勝てないわよ。」
ラミは刀を増殖させながらカミルとクレディアに襲いかかる。
「なんなのよ、これ!
氷の大壁」
クレディアは大きな氷の盾を出し、ラミの攻撃を防ぐ。
カミルはその隙をついて、ラミの近くまで刀を掻い潜り近づいていた。
「手数が分散したおかげで楽になったな。」
「くっ……」
カミルは至近距離で2本の矢を放つ。
カミルの弓を引く素早い動作よりも早く、ラミは自身の刀の刀身を伸ばし、自分の体をぐるぐると巻いていきラミを完全に覆う。
カミルの矢はすっぽりと覆われた刀身にはじかれる。
「そんなこともできるのか……」
「離れな!」
クレディアは上空から防御体勢のラミに向かって杖を構える。
「中級魔術 熱風」
灼熱の熱風が刀の防壁を包み込む。
「くそっ!」
ラミは刀を元の形に戻し、熱風の中から飛び出す。
そこを予想していたカミルが双刃弓を回転させながら斬りかかる。
ラミとカミルの接近戦での激しい撃ち合いが繰り広げられる。
「大地の突棘」
ラミがバックステップで一歩距離を置いた瞬間、クレディアの土魔術が地面から突き出し、ラミの体を傷つける。
「ぐ……」
(相性の悪い魔術士の方から倒さなければ……)
ラミは度々クレディアを狙い攻撃を仕掛けるが、そのたびにカミルの素早い近接攻撃が阻んだ。
徐々に、二人の連携がラミを追い詰めていく。
「あなた達侵略者に私は屈しない!」
「私たちは侵略者などではない!」
カミルは叫ぶ。
「君は感じないのか。この国の”違和感”に。
私たちはそれを正しに来ただけだ。」
「……!」
その言葉に、ラミの動きが一瞬だけ止まる。
――違和感。
胸の奥に沈めていた感情が、微かに揺らいだ。
あの日、ガーディスと交わした言葉が脳裏をよぎる。
この国は、本当に正しい方向へ進んでいるのか――




