筆頭剣士の謀反
「ユバルバはその後、ありもしない罪を着せられ、処刑されそうになった。
王宮から逃げ出したのは、ドルドスが真実を知る彼を消そうとしたからだ。」
「……」
「ガーディス。最後に一つ聞く。
先王ゴードンの死――本当に自然なものだったのか?」
「!? ……まさか……」
「ユバルバが魔導符を作らされたのは、
先王ゴードンが亡くなるより前だ……」
沈黙。
ガーディスの拳が、わなわなと震える。
食いしばった歯の隙間から、低い息が漏れた。
「カルマ! 外に兵が!」
ダースが身体を起こし、焦った声を上げる。
直後――
扉が乱暴に開かれる音。
武装した兵士達が次々と室内庭園へ雪崩れ込んでくる。
「王国軍か……!」
そのとき。
ガーディスが一歩、前に出た。
「……?」
抜刀。
王国軍とカルマ達の間に立ちはだかる。
「なにしてるんだ、お前?」
「お前達、先へ進め。」
「……!!」
「何を言っている?」
ガーディスは振り返らない。
その剣先は、かつての仲間へと向けられている。
兵士達も動揺する。
「こいつらの相手は私がする。」
「裏切る気か!?」
「この数、二百はいるぞ!」
ガーディスは静かに言った。
「カルマ……と言ったな。
お前の言葉が、なぜか胸に刺さった。」
わずかに目を伏せる。
「私はゴードン様に絶対の忠誠を誓っていた。
あの方が選んだ後継なら、疑う余地などないと思っていた。」
拳が強く握られる。
「だが……心のどこかで、ずっと思っていた。
なぜ、この男なのだと。」
そして、振り向く。
「カルマ、ダース。頼む。
この国を救ってくれ。」
「だけど……!」
「いけぇぇぇぇぇ!!」
咆哮。
次の瞬間、ガーディスは兵士の群れへと突撃する。
刃と刃がぶつかる音が庭園に響き渡る。
「行くぞ、カルマ!」
「ああ!」
傷ついた身体を引きずりながら、
カルマとダースは走り出す。
背後で、金属音と怒号が重なり合う。
振り返らない。
振り返れば、足が止まると分かっているから。
室内庭園の出口へと、二人は駆け抜けた。




