共闘
「今のは悪くなかったぞ。」
「……!?」
振り返ったカルマの視界に、頬から血を流すガーディスの姿があった。
落ちていた剣を握り、静かに立っている。
どうやら斬撃が当たる瞬間、近くの剣へ移動して回避したらしい。
「……っくそ!」
限界が近い。カルマは膝をつく。
「これで終わりだ。」
ガーディスが目前に立ち、剣を振り上げる。
その瞬間――
轟音とともに、大きく開け放たれた窓を突き破り、巨大な岩石が庭園へ飛び込んできた。
「!?」
「なんだ?」
土煙の中、岩の上に立ち上がる影。
「よう。随分と楽しそうじゃねぇか。」
エクスプロドのダースだった。
ダースは軽く肩を回しながら、カルマに近づき手を差し出す。
「どういうつもりだ?」
「行き違いがあってな。
こいつら、依頼は“家出した王族の子の確保・保護”って話だったんだとよ。
……どう見ても、保護って雰囲気じゃねぇよな?」
ダースは舌打ちする。
「俺も腹が立ってんのよ。」
カルマはその手を取り、立ち上がる。
「まぁいい。
こいつ……ミルズ三傑筆頭剣士ガーディスだろ?
よく一人で挑んだな。」
「逃げるわけないだろ……
俺はいずれ、こいつより強い戦士になる。」
ダースは口元を歪める。
「同感だ。だが今はまだその時じゃねぇ。
死ぬには早すぎる。共闘だ。」
「助太刀か……何人いようが変わらん。」
ガーディスの声は揺れない。
「随分な自信だなぁ?」
「でもダース、君、室内じゃ無能だろ?大丈夫なのか?」
「無能言うな。
この庭園、見た目より土が厚い。問題ねぇ。」
「行くぞ!」
二人が同時に踏み込む。
わずかに、ガーディスの視線が鋭くなる。
「大地操制…!」
ダースが手を向けると、足元の土が盛り上がり、ガーディスの足を拘束する。
「よし!」
「魔剣フリージア!」
カルマが剣に冷気を纏わせ、斬りかかる。
だが。
ガーディスの姿が消える。
「ダメだ!こいつは三本の剣の位置に瞬間移動できる!」
「そんなの反則だろ!」
「なら物量だ!」
ダースが大量の土塊と岩石を一斉に放つ。
「火炎爆発!」
カルマの魔術が重なり、爆炎と土砂が一帯を飲み込む。
しかし。
「天旋剣!」
空間を縫うようにガーディスが移動する。
瞬間移動と高速移動を繰り返し、超高速の斬撃が土も炎も切り裂いていく。
気づけば――
ダースの背後。
「はや……っすぎるだろ!」
振り下ろされる刃。
だが。
横から氷の斬撃が走る。
カルマだ。
ガーディスは即座に移動し、回避。
「くそ!」
「悪いな。助かった。」
ガーディスはカルマを見る。
(……慣れてきているな。私の動きに。)
カルマの呼吸は荒いが、目は死んでいない。
「ダース、ちょっといいか。」
カルマが小声で何かを告げる。
ダースの目がニヤリと細まる。




