筆頭剣士ガーディス
場面は変わる。
宮内庭園。
カルマはミルズ三傑筆頭剣士ガーディスと対峙し、剣を構えている。
ガーディスもまた、背の三本のうち一本を抜き、静かに構えた。
「広範囲凍結」
踏み込むと同時に放たれた中級魔術が、ガーディスの足元を凍らせる。氷は太腿まで一気に這い上がり、その動きを封じた。
「魔術剣士か……」
身動きの取れないガーディスへ、カルマは魔剣フレイアを振り上げ迫る。
「悪く思うなよ。あんたが相当ヤバい相手だってことくらい、わかってる。」
炎を纏った連撃がガーディスに叩き込まれる。
固定された体勢のまま、ガーディスは剣一本でそれを受け続ける。
だが――
カルマが大きく振り抜いた一撃で、ガーディスの剣は弾き飛ばされ、地面に突き刺さった。
「もらった!」
振り下ろされた炎の刃。
「……?」
しかし、そこにいたはずのガーディスの姿が消えている。
次の瞬間。
背後から気配。
「なに!?」
地面に刺さった剣を手に、ガーディスが振りかぶる。
豪快な一閃。
カルマは咄嗟に炎の剣で受けるが、凄まじい衝撃に吹き飛ばされ、木へ叩きつけられる。
(今のはおかしい……不自然だ。)
ガーディスの足を覆っていた氷は、そのままの形で地面に残っている。砕けてもいない。
まるで本体だけが抜け落ちたように。
カルマは立ち上がり、剣を構える。
その瞬間、ガーディスが一本の剣を投げ放つ。
「!!」
カルマはそれを弾く。
弾かれた剣は宙で回転する。
刹那――目の前にいたガーディスが消え、次の瞬間、宙に浮いた剣を掴んでいる。
「なっ……」
一閃。
カルマの肩が裂け、血が噴き出す。
「がはっ……」
膝をつくカルマ。
「ミルズ王宮に侵入した罪、軽くはないぞ。」
「……お前の技……まさか、剣から剣への瞬間移動か?」
「ふっ、察しがいいな。
私の応徳剣術は“武具転移”。三本の剣、そのいずれかの位置へ移動できる。」
ガーディスは三本の剣を地面に突き立て、瞬時に位置を入れ替えてみせる。
「さすがに……とんでもないな。けど……」
カルマは肩を押さえながら、ゆっくりと立ち上がる。
「……まだやるのか?」
「あたりまえだ。」
血に濡れたまま、剣を握り直す。
「お前を倒して、バランを母親の元へ連れていく。」
「なぜそこまでする?」
一瞬の沈黙。
カルマは真っ直ぐにガーディスを見据える。
「なぜかって?
――俺が戦士だからだ!」




