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5周目の人生で異世界を救った話  作者: MINMI
二章 ミルズ王国 動乱編
56/136

カミルと火の魔獣


 ……。


 カミルは顎を触りながら考え込んでいたが、どうやら決めたらしい。

「わかった。私はこれにする。」


「え!?」


 カミルが拾い上げたのは召喚術の魔導書だった。


「なんで……」


「私は戦闘中に魔術を扱うなど、器用なことはできないからな。召喚獣なら召喚さえすれば意思を持って動いてくれるだろう?」


「それはそうかもだけど…」


「それで、契約とはどうするんだ?」


「……。契約の方法は簡単。契約の意思を示した魔獣に対して、この魔法陣を書いた魔導符を貼って、魔力を込めるだけ。」


「これを魔獣の体に貼り付けて魔力を込めればいいんだな。」


 カルマはカミルに魔法陣の書かれた魔導符を渡す。


「魔獣は見つけてくればいいのか?」


「まあ、その方法が一つ。俺も召喚術士のことは詳しくないけど、目当ての魔獣に会いに行くことも多いらしいね。あと、もう一つの方法が契約召喚。」


「契約召喚?」


「契約の為に未契約の魔獣を召喚するらしいんだけど、特定の魔獣を呼び出すことはできないから、何が出てくるかわからないリスクがある。」


「それならわざわざ探す必要はないな。今できるか?」


「え!?いまやるの?何が出るかわからないんだよ?」


「いつやったって当たるか外れるかはわからんだろう。」


「まぁ、そうだけど…」


 カルマは渋々、地面に大きな紙を広げ、魔導書を見ながら魔法陣を書いていく。


「これで…いいかな。」


「どうやるんだ?」


「カミルはこの魔法陣に両手をつけるだけでいいよ。」


「こうか?」


 カミルが魔法陣に手をつけると、カミルの体の魔力が吸われていき、魔法陣が光はじめる。


「勝手に発動するのか。これはいいな。」


 魔法陣の光が大きくなり、光の柱が立つ。


 ……!

 魔法陣から煙が上がり、煙の中で何かが動いている。


「キューッ!」


 そこには鼠にしては大きく、猫にしては小さい、そんな魔獣が一匹動いていた。

 その魔獣は背中に炎を纏っている。


「これは…?」


「魔獣には詳しくないけど、火属性の小獣かな?」


「そうか……」


 カミルはそういうと、契約の魔導符を持ち、その小さな魔獣に近づける。


「ちょっ!カミル?契約する気?」


「ああ、そうだ。」


「もう少し戦闘とかに役立ちそうな魔獣がいるかもよ?」


「だが、この魔獣は敵意がないし、契約にはうってつけだろう?」


「まあ、契約はできそうだけど…」


「いいさ。とりあえずは魔力を消費することが目的だからな。また、必要になったら他も契約すればいいさ。」


「カミルがいいんなら……」


「助かったよ。ありがとう。」


 カミルはそういうと魔導符をその魔獣に貼り付け。手を添える。

 すると、カミルの魔力が魔導符に吸われていき、魔獣に召喚の魔法陣が刻まれる。


「これで……いいみたいだな。」


「キュー!」



 魔獣も心なしか喜んでいるように見える。


「よろしくな。」

 カミルは魔獣を撫でながら、微笑みかける。



「ボス!」


 カミルの召喚魔術の習得が終わった頃、ハウロスがカルマを探して戻ってくる。


「どうしたの?」


「ちょっと動きがありまして、少しいいですか?」


「うん、いいけど?」


カルマとカミルはハウロスに呼ばれるまま、宿に一度戻る。


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