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5周目の人生で異世界を救った話  作者: MINMI
二章 ミルズ王国 動乱編
53/136

闇商店


 翌日、カルマはハウロスに教えてもらった商店に行くことにした。頭から頭巾を被り、衛兵に見つからないよう注意を払って路地裏を進む。


 ハウロスに言われた場所まで到着すると、そこには既に廃業したと見られる古びた喫茶店があった。


「ここ……?」


 カルマがガタついた扉を引っ張ると鍵がかかっておらず、恐る恐る中に入る。


「すみませーん。ん?」


中は人が住んでいる気配がなかったが、奥に地下へと降りる階段があることに気づく。


 カルマはゆっくりとその階段を降りる。

階段を恐る恐る降りると、カルマはその光景に驚いた。


 そこには天井が高く、入口や一階部分の大きさとは裏腹に広いスペースが確保されており、四方の壁には床から天井までびっしりと魔導書が並んでいたのだ。


「すごい……」


カストリアに魔導商店はなかったので、カルマはノーリエの家にある魔導書のほぼ全てに目を通していた。

この商店にはその何倍、何十倍もの魔導書があるのだ。


「なかなかのもんじゃろう。魔導書の数でいえば他国の一般的な魔導商店よりも多いぞ。」


 カルマが驚いていると、老人が本棚の奥から姿を現す。


「あなたはここのお店の人?」


「ああ、そうじゃ。この商店を営んでいる。ユバルバじゃ。ここは事情ある者が集まる裏の商店、お主がどんな人物かは聞かん。何時間でも見ていくといい。」


「いいんですか!」


「ああ。ええよ。」


 見た目はフードを被った不気味な老人であったが、カルマはユバルバの言葉に目を輝かせた。


 そしてカルマは片っ端から本を読む。


___


 それから数時間が経った。カルマは魔導書を読むことに集中しすぎてしまったと反省する。


 読んだ本の中から自分の魔術の向上に必要な魔導書と、カミルに合う魔導書を合計7冊ほどピックアップし、ユバルバに声をかける。


「これを買っていってもいいですか?」


「もちろんじゃ。毎度どうも。」


 カルマは購入した7冊を抱え、今日のところは帰宅する。

「ユバルバさんどうもありがとう。明日か明後日か、近いうちにまた来ます。」


「ああ、待っておるよ。」



___


 カルマは魔導書を抱え地上へ出る。

宿へ帰ろうと歩き出すと路地の向こう側から人影が見える。


「あのすみません!」


「!!」


カルマは声をかけられたことに驚き、慌ててフードで顔を隠し様子を伺う。


 その人物は衛兵などではなく、頭から頭巾を被った女性であった。


「その眼帯...あなたがカルマ殿ですか?」


「え?どうして俺を?」


 カルマはしまったと思った。その女性は衛兵には見えなかったので安易に反応してしまったが、ミルズの関係者である可能性は十分にあると考えた。


「あなたに内密にお話があります。」


「あなたはだれ?」


 カルマは警戒しながら問いかける。


「昨日あなたが少年を助ける為に、衛兵と戦士に狙われそれを退けたことは知っています。

そんなあなたに頼みがあるのです。

安心してください。私はあなたの味方です。」


「味方……?」


 

___


 その頃、宿屋では__


「ボス遅いな。大丈夫かな?」


「ハウロス、お前が紹介した商店というのは大丈夫なんだろうな?」


「ミルズの兵の息がかかってないのは確かだよ。」


「それも数年前の話だろう?」


 ガチャッ


 そんな話をしていると、カルマが扉を開け部屋に戻る。


「ボス!」


「ごめん、遅くなった。」


「なにかあったんです?」


「いや、魔導書を読み漁ってて遅くなったんだけど、ちょっと進展もあってね。」


「なんだ。話してみろ。」


カルマは部屋に着くやいなやハウロスとカミルに追求される。


「いや、魔導商店をでたらとある人に話しかけられてさ。」

 カルマは今日起こった出来事を振り返り2人に話し始める。


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