大地の応徳魔術
カルマはバランのもとへ駆け寄る。
「バラン、大丈夫か?」
「うん……大丈夫。」
「でも、あいつら何だったんだ。」
「きっと王宮から依頼された戦士だよ。」
「バランを狙って……?」
胸の奥が熱くなる。
カルマの知る戦士は、いつだって守る側にいた。
依頼とはいえ、子供を狙うなど——。
「おい。俺の仲間をやったのはお前か?」
低い声。
カルマははっと振り返る。
背後から若い男が歩いてくる。
倒した二人の仲間——そう直感した。
カルマは剣を向ける。
「バラン……下がって。」
「子供……? お前がやったのか?」
「そうだ。子供を襲うやつに容赦なんかいらないだろ?」
「そうか。なら団長として、お前は倒さないとな。」
男が手をかざす。
次の瞬間、カルマの足元の地面が歪み、棘のように突き上がった。
「……っ!」
横へ跳ぶ。
(土魔術……?)
男の周囲の地面が隆起する。
手を振るうと、それは蛇のようにうねりながら襲いかかってきた。
「魔剣術 炎 抜ノ型 炎閃斬」
炎の斬撃が土の奔流を断ち切る。
「その土魔術……応徳魔術か?」
「ああ。俺の〈大地操制〉は、魔力の届く範囲の大地を自在に操る。
……お前も応徳の使い手だな?」
「ああ、そうだ。」
剣に炎を灯す。
(増強……いや、属性付与か。)
「名前は?」
「カルマ・ミラ・フィーラン。」
「カルマか。俺は戦士団エクスプロド団長、ダース。
悪いな——お前は俺に勝てねえ。」
ダースが両手を広げる。
地面が震えた。
「何だ……?」
「俺の魔術は屋外じゃ最強だ。」
両掌が打ち合わさる。
周囲の土砂が一斉に巻き上がり、カルマへと押し寄せる。
四方から迫る土の壁。
カルマはすぐさまバランのもとへ走る。
逃げ場はない。
「くっ……!」
土砂の大波が二人を呑み込み、視界が茶色に閉ざされた。
轟音とともに、土煙が立ちこめる。
——その物量は圧倒的だった。
大地そのものを武器とする力。
屋外で最強という言葉も、誇張ではない。




