魔術士クレディア
壁に打ちつけられたローグベルトは、全身を霜に覆われたまま壁にもたれ、意識を失った。
「ふぅ……」
カルマが息をついた、その瞬間。
女魔術士クレディアが杖を構え、ふわりと宙に浮く。
「ずいぶん余裕ね。」
杖に魔力が集まり、先端から炎が噴き上がる。
「あれは中級魔術の……」
「火炎放射」
噴き出した炎が一直線にカルマへ襲いかかる。
カルマは後方へ跳び、紙一重でかわす。
「多数氷矢」
すでにクレディアは次の魔術を展開していた。
周囲に無数の氷の矢が生まれ、次の瞬間、雨のように放たれる。
「氷の壁」
地面から氷の壁を立ち上げる。
だが氷矢は容赦なく突き刺さり、壁を削り、砕いていく。
「そんな初級魔術の盾じゃ、あなた……串刺しよ?」
壁の陰からカルマが飛び出す。
一気に距離を詰める。
「魔剣フレイア」
剣に炎が灯る。
「大地の突棘」
地面から次々と円錐状の棘が突き上がり、進路を阻む。
(中級を連発……この女、上級に近い)
カルマは炎の剣で土の棘を斬り払う。だが距離が詰まらない。
「くそっ……」
脳裏にフィルスとの修行がよぎる。
カルマはクレディアへ手を向けた。
「火花」
小さな火花が複数、散るように放たれる。
「いまさらそんな魔術で……氷の大壁」
巨大な氷の盾が展開され、火花は呑み込まれる。
「……!?」
その背後。
カルマはすでに回り込んでいた。
「格下だと思った?」
「っ……!」
炎を纏った剣が振り抜かれる。
クレディアは炎の盾をずらして防ごうとするが、間に合わない。
衝撃とともに地面へ叩きつけられる。
カルマは剣を構えたまま静かに言う。
「自分より上の魔術士でも、強い剣士でも——俺は負けない。
それが、魔術剣士だ。」




