表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5周目の人生で異世界を救った話  作者: MINMI
一章 平和の国カストリア編
32/144

母の想い


 カルマは、母のその言葉に驚いた。


 なぜならカルマは、父と母の前で「国を出たい」と言ったこともなければ、そんな素振りを見せた覚えもなかったからだ。


「母さん……なんで?」


「私はあなたのお母さんよ? あなたの考えていることなんて、顔を見ればすぐにわかるわ。」


 カルマは知っていた。

 母親とは、いつだって子供のことを一番に考えている存在だと。


 思い返せば、ティニエはカルマのすることを一度も否定したことがない。


 町の変わり者と言われるノーリエの家に入り浸っていた時も。

 街中で眼帯を外してしまった時も。


 いつもカルマを信じ、尊重してくれていた。


 ――だからこそ。


 今回は、行けない。

 行ってはならない。


「母さん……でも……」


「カルマ……あなた、お父さんやお母さんのためにって思ってるでしょう?」


「……!? ……うん」


「あのね。そうやって考えてくれるのは嬉しい。けれど、それはね……お母さんのためにはなっていないのよ。」


「えっ?」


「ねぇカルマ。私の幸せって何だと思う?」


「……わからない。」


「あなたが成長して、幸せになることよ。」


 ティニエは、そっとカルマを抱き寄せる。


「だからね。あなたが自分の道を決めて進むことを、お父さんも私も止めたりはしない。」


「母さん……」


 ティニエはカルマの両肩に手を置き、まっすぐに目を合わせた。


「カルマ・ミラ・フィーラン。あなたは戦士ダグラスの弟で、私たちの最愛の息子。

 それは、離れていても絶対に変わらない。

 寂しくはなるわ。でも、あなたが健やかでいてくれるなら……それでいいの。」


 カルマは、もしかしたら自分は思い違いをしていたのかもしれないと思った。


 前世の自分は、母に冷たく当たってしまった。

 けれど――もしかしたら、あの母はそれすらも理解し、尊重してくれていたのではないか。


 だからあの時、穏やかに笑っていたのだろうか。


 後悔が消えることはない。

 それでも、胸の奥が少しだけ洗われた気がした。


「母さん……ありがとう。」


 ティニエは目に涙を浮かべながら、カルマを強く抱きしめた。


 その温もりを胸に刻みながら――


 カルマは、この国を出て戦士として旅立つことを決意した。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ