表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5周目の人生で異世界を救った話  作者: MINMI
一章 平和の国カストリア編
32/136

葛藤


そしてそれから平穏な日々がやってきた。


カルマにはそんな平和な日々が懐かしくすら思えた。

ダグラスが帰国してから、フィルスの修行、魔人軍の襲撃とカルマにとっては激動の日々だった。


ようやく訪れた平穏、だがなんだろう…

 なぜか心が落ち着かない。


「今もどこかで危険な目に遭っている人がいるのかな…」


___


 数日後、カルマはイリーナの修行に付き合った後、暇になったので久しぶりにノーリエの家に行くことにした。


「こんにちは〜」


「お、久しぶりだねぇ」


 魔人軍の襲撃があった後、一度安否の確認に来たが、ノーリエは何事もなかったかのように地下で読書をしていたのだそうだ。


 遊びに来たのはフィルスとラダの森に行く前以来だったので、本当に久しぶりのことだった。


 カルマはノーリエと一緒に魔導書を読んだりして過ごした。


「なんだか浮かない顔だね。」


「あーうん。たいしたことじゃないんだけどさ。」


「僕でいいなら話を聞くよ?」


 カルマは15歳になる前にこの国を出ることについて迷っているとノーリエに相談した。


「なぜ躊躇っているんだい?」


「いや、父さんと母さんは望まないだろうからさ。」


「そうか。君は優しいね。少しでも長く両親の元にいてあげたいんだ。でもね、きっと将来君が大人になって過去を振り返った時、数年間両親の近くで過ごしたことは結果的にはご両親にとってあまり大きなことではないと思うんだ。

だけど、君が数年早く旅に出るか出ないかは多分とても大きい。君はとても伸び盛りだからね。」


「……うん。確かにそうだね。ありがとう、ノーリエさん」


「うん。まぁよく考えてみるといいよ。」


___


 カルマはそれからも悩みながらも、踏み出せない日々を過ごしていた。


フィルスにダグラスにノーリエ、皆カルマのためには早めに出た方が良いという。否定的なのはイリーナくらいだ。

きっとカルマが国を出るのが寂しいのだろう。


 カルマ自身ももうすでにわかっていた。自分の為には年齢を待つ必要などないことを。

だが、脳裏をよぎるのは前世の記憶にあった母の表情…

もう、後悔したくないのだ。


 ・・・やはり今は家族と一緒にいよう。


___


 それからカルマはいつも通りの日々を過ごした。

それはそれで幸せな日々だった。


 ある日、カルマが居間でぼーっとしているとティニエがカルマに話しかける。


「カルマももう少しで12歳になるのね。」


「あーうん。そうだね。」


「時間が経つのは早いわね。」


「……うん。」


「カルマ」


「なに?」


何か考え事をしながら素っ気のない相槌を打つカルマの前にティリエは座る。


「あなた、この国を出なさい。」


「!?」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ