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5周目の人生で異世界を救った話  作者: MINMI
一章 平和の国カストリア編
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カストリア襲撃⑧

煙が晴れ、中からダグラスの姿が見える。

雷を直撃したにも関わらずそれでもなお立つダグラスの姿。


「確かに…。日々世界の情勢は変わっていく。だが、戦士には変わらないものがあるのだ!」

「なんだ?それは」


「各国に属しない戦士という職業は、世界の均衡を保ち、平和を実現するために存在している。それが俺たち戦士というものだ。」


「古いな、まるで50年前の老戦士と話しているようだ」


「……皮肉だな。」


「?」


「お前はここで倒す!」


 ダグラスは大剣をスサノーに向け振りおろす。

スサノーは手から電流のような魔力を放出し、その剣を防御している。


「ふ、力押しの一辺倒、芸がないな。」


「それはどうかな?」


 ダグラスがニヤリと笑みを浮かべると、スサノーの後ろにある煙の中からフィルスが神速を使い現れる。


「神速無斬!」


その超スピードのまま、スサノーの背中を切り裂く。


「がっ……」


 スサノーはよろけた後、バックステップで二人との距離を置く。


 そして超広範囲の放電を行う。


「ぐっ…近づけない…」


 ダグラスもフィルスも放電を防ぐのに手一杯である。


「天級剣士ダグラス、狂戦士フィルス、やはり侮れんな…だが、我々の目的はすでに達成している。

部下もかなり減ってしまったようだしな。

ここは退かせてもらおう」


「なっ貴様!まて!」


「いい。フィルス…あいつはまだ余力を残してる。

このまま戦ってもおそらく勝てん…」


 魔人スサノーの後ろに門のようなものが現れ、そこにスサノーが入ると、その姿は消え去った。


「奴の魔術か?」


「いや、各地の襲撃の時も奴らは突然現れ、消えたようにいなくなる。おそらくそういう魔術を持ったものがいるのだ。」


スサノーが入ったその門は扉を閉ざすと、まるで砂のように崩れ消えていく。


そして、それはカストリア国内各地で起こった。

魔獣や魔人達は、突如としてその姿を消したのである。


こうして、一旦はカストリアに魔人の脅威はなくなった。

街の建造物の多くと一部の人達に被害が出たが、

大部分は衛兵達によって素早い避難ができており、最悪は防げたと言っていいだろう。


___


 フィルスはカルマに向かって歩き出す。

(あ……)


「貴様はなぜここにいる?」

フィルスは激怒した表情でカルマ睨みつける。


「あ、いや…僕も役に立ちたくて…」


「貴様は修行したとはいえ、まだまだ非力な青二才だ!魔獣との戦闘は許可したが、魔人に遭遇していればタダでは済まなかったかもしれないのだぞ!」


「魔人…なら一人あったけど…」


「!?」


「カルマ、魔人に遭遇したのか?」


横で聞いていたダグラスが話に入ってくる。


「どんな奴だ」


「ラジャとかいう魔人…炎魔の配下とか言ってた」


「あの…変な術を使う魔人か」


「二人も戦ったの?」


「いや、雷魔と戦う前に絡んできたが無視してやった」


「……はぁ。」


「それで?カルマ、そいつはどうしたんだ。」


「とりあえず戦って逃げていったよ。」

「なに!?」


 (今日この国に来ていた魔人はおそらく全員上級以上……そして、あのラジャとかいう魔人は応徳魔術持ちだった…)


「まぁ、いい。お前をもう見てやることもないしな。」


「どういう意味?」


「合格だと言ったはずだ。お前の修行は終わり、私はこの国を発つ。」


「え!もう行っちゃうの?」


「ああ、私のやることは終わったからな。」


「昔からこういう奴なんだ。まぁ、一回うちに帰ろう。久しぶりに戻ってきたんだ少しくらいゆっくりしてもいいだろう?」


「……まぁ、そうだな。」




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― 新着の感想 ―
こちらからも読ませていただきました! 1話あたりの文量を抑え、過度な個性は人を選ぶ要素ともなるためかなるべく押し出さず、あくまでネット小説という媒体に合わせ丁寧に作り上げた印象があります。 最初、…
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