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5周目の人生で異世界を救った話  作者: MINMI
一章 平和の国カストリア編
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カストリア襲撃④

 大剣。

 身の丈に迫るほどの巨大な刃を、魔人は両手で持ち上げている。


(でかい剣……パワーはありそうだけど、あれじゃ速くは振れないはずだ)


 カルマは地を蹴った。


 小さな身体が弾丸のように前へ出る。

間合いに入る寸前、フレイアの炎が噴き上がった。


「はああっ!」


 火花を散らして斬り込む。


 魔人は迎え撃つように大剣を振る。


「――速い…!」


 重いはずの刃が、空気を裂く。

質量を感じさせない、鋭い風切り音。


 カルマは咄嗟に頭を沈め、すれ違うように回避する。


その瞬間――


 耳元を掠めた刃が、遅れて“重さ”を叩きつける。


 ゴウッ、と鈍い圧。

 遅れて押し寄せる質量の気配。


「……?」


 魔人は口角を上げた。


「どうした? その炎の剣の強さ、見せてみろよ」


 カルマは息を吐く。


(大丈夫。動きは見えてる。力勝負なら負けない)


 再び踏み込む。


 距離が縮まる。


 魔人は、先ほどまで両手で握っていた大剣を、今は片手で軽々と持っていた。


「……!?」


 振り下ろす。


 だが――


(重い……!?)


 剣が、振り抜けない。


 まるで刃の先に巨大な錘でもぶら下がったかのように、腕が引きずられる。


 その直後、衝撃が体を走る。


 弾き飛ばされたのはカルマだった。


「なっ……!?」


 炎を纏った一撃が、軽い木剣のように跳ね上げられる。




 魔人の大剣が地面を叩きつける。

土石が爆ぜ、衝撃波がカルマを吹き上げる。


 カルマは着地するが、強烈な違和感を覚える。


 地面に足首までめり込んでいる。


「動け……ない?」


 魔人が一歩、近づく。距離は三メートルほど。


「はっ……軽いな。お前も、その剣も」


「何をした……!」


 炎が、わずかに揺らぐ。


 地面が柔らかいわけじゃない。

足が重い。


(違う……地面じゃない。俺が重い……?)


 魔人はゆっくりと歩く。

焦りはない。逃がすつもりもない。


“届く距離”の中。


 その視線が、魔剣フレイアへ落ちる。


「その炎……応徳魔術か?」


「……だったらどうした!」


「おまえ、名前は?」


「カルマ・ミラ・フィーラン」


 魔人は笑う。


「そうか、カルマ。俺の名はグラヴィス」


炎の揺らめきを見下ろしながら。


「いずれ緋衣の十魔(ひえのじゅうま)になる者だ」


緋衣の十魔(ひえのじゅうま)……?」


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