敵の勢力
「配置については以上です。次に私の魔術について説明します。」
「補佐官さんの魔術?」
「はい。私の魔術はバルテミア国内に張り巡らせた私の魔力によって"魔力念話"が可能となります。」
「魔力念話?」
「はい。私の魔力を通じて皆様をこの本部に意思を繋げることが可能です。」
「国内であれば、エルレと意思疎通が可能ということ?」
「はいそうです。私の応徳魔術では戦力としてお役に立つことは叶いませんが、少しでも皆様の力になればと思います。」
「すごいな。そんな魔術もあるのか……」
補佐官のエルレが話し終えると、ゴンザレスが話し始める。
「では私の方からも、魔人軍について、協会にて把握している情報を伝えておく。
侵攻してくる魔人について…だが、魔人とは緋眼の魔人との契約により緋眼の魔人の魔力を与えられた人間であり、体の一部、頬や首、腕などに痣の様な紋様が浮き上がっているのが特徴だ。また、体からは陰鬱な魔力を放っている。
緋眼の魔人との契約により、身体にどの様な影響があるかは判明していないが、戦闘力は大きく底上げされる様で、幹部ではない配下の魔人であっても上級戦士と同等またはそれ以上の強さを持っている。」
「ただの配下の魔人ですら上級戦士以上…」
「また、これはよく知られていることだが、魔人軍の中でも最高幹部である緋衣の十魔は賢人ルドラ以降、倒すことのできた戦士はいない。その強さは戦士でいうところの界級の強さとされている。」
「界級……」
「そのため、バルテミア城と戦士協会本部にはそれぞれ2人以上の天級戦士を配置している。もし、緋衣の十魔が現れた場合は天級以上の戦士が対応することとする。もし、天級以外の者が緋衣の十魔の対峙した場合は戦わず、応援を要請してくれ。」
「逃げろ…ということですか?」
ゴンザレスの話にカルマは少し怪訝な顔で質問する。
「ああ、そうだ。無駄死にをする必要はない。特に君の様に未来ある戦士なら尚更な。」
「……」
「また、緋衣の十魔にはそれぞれ特従と呼ばれる2名の副官がいる。
特従も緋衣の十魔程ではないが危険な魔人で天級戦士以上の力を持っていると思っていい。」
ゴンザレスの話をその場の戦士や兵士達は様々な表情を浮かべて聞いている。頷きながら聞く者、対策案を模索し頭を抱える者、唾を飲み青ざめている者。
ゴンザレスは話を終えると、背筋をピンと伸ばし集まる戦士達を見つめる。
「最後になるが……、どうか皆さん、我らが国を、延いてはこの世界を、どうかよろしくお願いいたします。」
ゴンザレスは最後にそう話すと深く頭を下げた。
それに続いてエルレも深く頭を下げる。
気丈に見える彼女達も、きっとこの危機的状況に後がないのだ。
"この国を守る" カルマは彼女達のその姿を見て、そう思った。




