戦士協会会長ゴンザレス
「まだ侵攻は起こっていないようじゃな。間に合ってよかった。」
「ええ。アリディア殿自ら招集に応じていただけるとはありがたい限りです。」
アリディアが声をかけると、その中の1人の赤い髪の女が言葉を返す。
「あの人、誰?」
「あんた、ばかっ、あの方が、会長のゴンザレス様よ!」
カルマの不意の質問にリアが慌てた様子で答える。
「え…?ゴンザレス?あの人が?え?」
すると、ゴンザレスは表情を変えずにカルマの前へと移動する。
「私が戦士協会、会長のゴンザレスだ。私の名は戦士として強く生きる為、父が付けてくれた名だ。何か不明点があるか?」
「いや、特にないです。」
「ゴンザレス会長、すまないな。そやつはまだ戦士になりたてで礼儀がなっておらん。」
「いや、構いませんよ。彼もヘリオサマナの新人で?」
「いや、そやつはヘリオサマナではない。カルマリスタのカルマ・ミラ・フィーランじゃ。」
「カルマ・ミラ・フィーラン…そうか、君が…」
「……?」
「いや、すまない。ルードミリシオンの戦士登録官から話を聞いていてな。初登録で天級の依頼が来たのは久しぶりだったのでな。」
「天級…ですか?」
「ああ、却下したがな。」
「…………。」
「君は戦士に必要なものは何だと思う?」
「なんだろ。任務の遂行能力ですか?」
「違うな。」
「世の為人の為、的な?」
「それも違うな。あそこに食事処があるのがわかるか?」
「え…?あ、はい。」
ゴンザレスが指差す先には、一見普通の飲食店の店舗がある。
「あの食事処の主人は世の為、人の為の仕事をやっているのではないか?」
「あー…まぁ、はい。そうですね。」
「世の為人の為という心は必要だが、それは戦士に限ったことではない。」
「では、何が必要なんです?」
「"守る心"だ。戦士は市民、仲間、家族、世の人々を守る存在でなければならない。
戦士の階級とはその者が守る力を持ち、且つ、守る心を持っているかが基準になっている。
つまりは、階級の高い戦士程、多くの人々を守ることができる存在。人の希望だ。そしてそれは同時に人々を守る責任を持つということでもある。
だからこそ、天級の称号はそう簡単には渡すことはできない。」
「なるほどね。天級戦士は人々に希望を与える存在……。なんとなくわかります。俺の周りにも天級戦士がいますから。」
「ふっ、そうか。
確か君はダグラス・ミラ・フィーランの弟だったな。」
「はい。そうです。」
「彼も来ているぞ。」
「えっ!?兄さんが……?」
「今は私の元で魔人軍対策隊の隊長をやってもらっている。」
「魔人軍対策隊の隊長…兄さんは今どこにいますか?」
「さぁな。あいつはじっとしていられん性格のようだな。きっと街の警備にでも行っているだろうさ。避難が完了した町で何が起こるというのか…」
「ほう。もう避難も完了しておるのか。」
「すみせん。アリディア殿。話し込んでしまって。」
「いやいや。会長の戦士像の話、良いものじゃったよ。」
「なにをまた。アリディア殿こそ、人々を守る戦士そのものでしょう。
それで、アリディア殿。そちらの勢力を聞いても良いですか?」
「うむ。そちらに送っている天級・上級の戦士に加えて、わしと副団長ジェナの天級戦士が2名、上級戦士が7名、その中でもセブルス、エイミー、カルマは天級に近い実力者じゃ。」
「なるほど、この短時間でそれ程の戦士を。本当に助かります。どうぞ中へ、状況を伝えておきたいので。」
「うむ、各隊の隊長だけ同行せよ。他の者は待機じゃ。いつ侵攻が起きてもおかしくないからの。気を抜くでないぞ!」
「はっ!!」




