襲撃の予兆
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翌朝、カルマは眠い目をこすりながら、団長室へ向かう。
「失礼します。カルマです。」
「うむ。入れ。」
アリディアの声を聞き、カルマは入室する。
すると、そこには1年ぶりの仲間達、ハウロスとカミルの姿があった。
「あ!ハウロス!カミル!」
「ボス!」
「やぁ。久しぶりだな。」
お互いの顔を見た瞬間に彼らの顔には自然と笑みが溢れた。
久しぶりのはずなのに、懐かしさを感じることはなく、強烈な安心感が戻ってきた。
「ボス、少し背が伸びましたね。」
「そう?ハウロスもなんかデカくなった?」
「背は伸びてないですが、筋力はつきましたね。」
「カミルもずいぶん戦士らしい格好になったね。」
「まぁね。君も少し雰囲気が変わったな。」
「無茶な任務にばかり着いて行ってたからね。」
「カルマ、ヘリオサマナの任務が無茶とは言ってくれるのぉ。」
カルマたちの会話にアリディアが割って入る。
「あっ、いや、いい意味でです。」
「久しぶりの再会で話したいことはあると思うが、実はある問題が起きてな。」
「問題?」
「本当は今日はぬしたちカルマリスタの再集結をしてもらうために呼んだんじゃが、先程、戦士協会よりとある連絡があった。」
「何ですか?」
「中央国家バルテミアに魔人軍の襲撃の予兆あり。とのことじゃ。」
「バルテミアに魔人軍の襲撃ですか?」
「魔人軍が動き出したんですか?」
「ぬしら知らんのか。これまでに起こった襲撃で魔人軍はどこからか攻めてきた訳ではない。突然その国に現れたのじゃ。」
「えっ?」
「確かに…カストリアでも奴らは国璧の中に突然現れた。」
「魔獣は緋衣の十魔の1人[征魔]による召喚魔術だが、魔人軍の魔人や幹部達は緋眼の魔人の転移魔術によって現れたものだと考えられておる。」
「転移魔術…」
「それで、どうしてバルテミアが?」
「転移魔術には『基陣』が必要になる。」
「きじん?」
「基陣とは、転移先の基点となる魔法陣のことじゃ。言うなれば転移門の出口じゃな。」
「転移魔術を使うためにはその魔法陣が必要になるってことですか?」
「そうじゃ。そしてそれがバルテミア国内で発見された。残った魔力を追って、基陣を張った魔人を追跡したそうじゃが逃げられてしまったそうじゃ。」
「それじゃあ、襲撃は阻止できたんじゃ..。」
「いや、緋眼の魔人は何かの目的があってバルテミアを狙ったはずじゃ。そうやすやすと諦めまい。
それに、今回はたまたま基陣を見つけられたが、広いバルテミアの国内で魔法陣をもう一度張ることなど容易いじゃろうしな。」
「じゃあ……」
「近々、バルテミアに魔人軍の侵攻が起こるかもしれない…?」
「そういうことじゃ。しかも今回の魔法陣..どうやら相当の魔力を転移できる術式だったそうじゃ。緋衣の十魔が何人か現れるかもしれん。」
「それってやばいんじゃ…」
「ああ、相当まずい状況じゃな。緋衣の十魔は界級の戦士と同等とされている。」
「界級っていうと、天級より上…。」
「今、戦士に界級はいない…」
「そうじゃ、天級戦士単体じゃ緋衣の十魔には勝てん。
わしはこれから至急、本部にいる戦士で討伐隊を編成するための会議に行く。ぬしらはどうする?」
「もちろん」
「行きます!」
「当然。」
「うむ。ではついてまいれ行くぞ。」




