団長ガルム
「くそ……まだこれだけの力を…」
ジャックの幻影体達が、剣を構え、じりじりと距離を詰める。
カルマとサジは身を寄せ合いながら身構える。
「うちのが随分と迷惑をかけている様だ……」
扉が開き、巨大の男が、大きな剣を携えて入ってくる。
「誰だ?」
「あれは……」
その男は剣を抜くと、体から大量の電気が放電されるとともに、地面を蹴り、瞬時にジャックの元まで移動する。
大男の移動によって周囲には爆風の様な風と、大男の体から放電された電気が弾け飛び、周囲の幻影体が一気に霧散する。
大男はジャックの頭を掴み、持ち上げバチバチと電気が流れている。
「団長……なぜここに……」
「貴様の元にヘリオサマナの使節団が派遣されたと聞いてな。嫌な予感がしたのだ。貴様自分のしたことがわかっておろうな?」
「……」
「この馬鹿者がぁ!!」
大男はジャックを壁に打ちつける。ジャックは壁に頭をめり込ませている。
「君達、本当にすまなかったね。大丈夫かい?」
「おっさんは?」
「おい!馬鹿、お前知らないのか、この方はガルム・プラウドのガルム団長だ!」
「へー」
サジが慌てた様子でカルマにその男の正体を伝える。
「すぐにうちの回復術士隊を手配する。君達も怪我をしている。到着するまで休んでいてくれ。」
「よかったな。とりあえず敵対する訳じゃなさそうだ…。」
サジはひそひそとカルマに話しかける。
「ところで……
うちの支部長をここまで追い詰めたのは誰だい?」
「うっ……」
「俺だけど。」
カルマはガルムをまっすぐ見つめながら手を挙げる。
……
ガルムとカルマは睨み合い、緊張が走る。
「ふっ、わはははは!
君がか?これは面白い!ヘリオサマナにこんな少年がいたとは!」
「何がおかしいの?」
「わはは……あ、いや、これは失敬。
ジャックがそちらに敵対意識を持っていたことは気づいていたが、やつはうちの戦士の中でも手練れだ。
まさか、それを追い詰める戦士が、君みたいな少年だとは驚いてね。君、名前は?」
「カルマ・ミラ・フィーラン」
「フィーラン…そうか、君が……」
ガルムはカルマの名前を聞いて顔色を変える。
「おっさん。こいつのボスなんでしょ?この件どうするつもりなんだ。」
「おっ…おい!カルマ!すみませんガルム様、こいつはヘリオサマナの協力関係にある少年でして、礼儀がなっておらず……」
「いや気にするな。それに、少年の言い分の方が正しい。ヘリオサマナがこの支部への会談要請があったと連絡を受け、万が一のことを考え、急いで来てみたが間に合わなかった。申し訳ないと思っている。
この事は改めて私からアリディア殿へ連絡する。そう伝えてくれないか?」
「わかりました。」
ガルムはそう言うと、気を失っているジャックを掴み連れて行こうとする。
「そいつはどうするんだ?」
「うむ、まぁ何らか処分せねばならんだろうな。」
「そいつが失敗したっていう西の大国の襲撃事件について、その経緯よく調べた方がいいんじゃない?」
「……?どう言う意味だ。」
「いや、他にもまだ何か思惑がありそうだったから。」
ガルムはその言葉を聞いて、カルマを黙って見つめる。
「ふ…わかっているさ。そんなことは。」
ガルムはそう言うとジャックを連れ、部屋から出ていった。




