神の雷
カルマは雷を纏った剣を構え静止しながらも、目線ではジャックの動きを追う。
ジャックも警戒しながら、カルマを翻弄する様に移動を続ける。
(こいつ……何をする気だ……)
ジャックが自らの幻影体を煙の様に散らし姿を消す。
そして、視界の右側で、小さく煙のようなものが立ち込めた。その瞬間...
カルマはぴくりと反応すると、剣先を構え、地面を強く踏み込む。
...
ジャックは次の幻影体に映る為、別の場所へと移動する。そして、ジャックが次にその視界に光を当てた時には、ジャックはカルマの雷を帯びた剣に腹部を突かれ、壁に打ち付けられていた。
「なっ……何が起こった……」
「魔剣術 雷 突ノ型 神雷光」
カルマの足元には移動した跡が黒く焦げつき、煙が立っている。その形跡からも途轍もない速さで移動したことは明白である。
「が……がは」
ジャックは口から血を流す。
「急所は避けた。医者を呼んでやるから大人しくしてて。」
「...くそっ、がはっ。」
カルマが剣を引き抜くと、ジャックは糸の切れた人形のように崩れ落ち、その場に膝をつく。
「おまえ...ごときに..」
カルマは、ジャックを離れ、サジの元へ駆け寄る。
「カルマ…今の技は?見えなかったぞ?」
「ああ。新しい技だよ。」
「それより隊長とリアは大丈夫?」
「ああ。意識を失っているだけだ。問題ない。」
「それならよかった……うっ」
カルマは足を押さえうずくまる。
「お、おい、カルマ!どうした!」
「いや、大丈夫。まだ完全にものにした技じゃないから全力で使うと反動が来るんだ。」
「そ、そうか。とんでもない速さだったからな。立てるか?」
サジはカルマに手を差し伸べ、カルマは立ち上がる。
「それで、あいつが協議なんて最初からする気がなかったっていうのはどういう意味なんだ?」
サジはカルマがさっき話した内容について尋ねる。
「あいつは元々、ガルム・プラウド本部の人間で、それも幹部の一人だった。だけど、この支部に飛ばされてきた。」
「なぜ?」
「2年前に西の大国エルドリアで、魔人軍による召喚獣の襲撃事件っていうので、ヘマしたかららしいよ。」
「エルドリアの襲撃……それって確か、
エルドリアに本部を置くガルム・プラウドが事態を収束できずに、ヘリオサマナが介入し、魔獣達を鎮圧した…」
「そう。その時、ガルム・プラウドの幹部達は遠征中で、唯一本部に残っていたジャックが指揮にあたってた。」
「ガルム・プラウドは面目丸潰れだ。」
「だね。」
「確かに、その一件以降、俺たちヘリオサマナは、戦士団の中で最大規模を誇るガルム・プラウドと横並びで扱われるようになった。」
「ジャックはその責任を取らせれて本部から支部へ移動。」
「逆恨みってことか?」
「そういうこと。」
「逆恨みだぁ…?そんなんじゃねぇんだよ。そんなんじゃ……」
「……!?」「おまえ…」
意識を失っていたと思われていたジャックが、壁に手をつけながらよろめきながら立ち上がる。
「ふざけるなぁ!」
ジャックは残った力で大量の幻影体を出現させる。
「あいつ、まだやる気か..?」
カルマは痛む足を押さえながらも、剣を抜き、ジャックを睨みつける。




