兄として、戦士として
「そうだ次は剣を見てやろう。」
「剣はまだほとんどやってないんだけど」
「それでもいいさ。練習用の木剣を持ってきてくれ。」
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その後二人は話をしながら剣を打ち合う。
「そういえば兄さん、最近変な夢を見るんだ。」
「夢?」
カルマは不思議な夢の話をダグラスにした。
「それは回憶夢だな。」
「なにそれ」
「迷信だよ。何か大切ことを忘れている時には同じような情景の夢を繰り返し見ると言われている。」
「何か大切なことを忘れている?……んー心当たりないんだけどなぁ」
「そうか。大切なことかもしれないからな。よく考えてみるといい。」
「わかった!教えてくれてありがとう」
「隙あり!」
「わっ!」
カルマはダグラスに木剣で弾き飛ばされる。
「やっぱり兄さんは強いなぁ」
「いや、カルマは剣の筋も悪く無い。訓練すれば強くなるはずだ」
「本当!?」
「ああ、本当だ」
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剣の手合わせも終わり、2人は草原に座り込む。
「兄さんは戦士としてどんな仕事をしているの?」
「ん、俺は主に上級以上の任務を各地で受けている。魔獣の討伐とかな。」
「へー!兄さんはすごいなぁ」
「だが、俺の目的は別にある。」
「目的?」
「ああ、俺の目的は緋眼の魔人を倒すことだ。」
「緋眼……」
「緋眼の魔人はこれからも街や施設を配下の魔人や召喚魔獣で攻撃し、罪のない人の命を奪っていく。
そして神嶺様の封印が完全に解け、緋眼の魔人が全ての力を取り戻した時、この世界は破滅に向かってしまうだろう。今しかないのだ…」
ダグラスは拳を強く握り、カルマは俯いた。
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ダグラスは膝をついてカルマの目線に合わせる。
「カルマ、よく聞いてくれ。これまでその目のことで苦しみ悩んだだろう。だが、俺は確信した。その魔術や剣の才能・その赤い目、そしてこの俺、剣士ダグラスの弟に生まれたお前はきっとこの世界を救う運命を背負った子だ。
強くなれ。そして俺とともに緋眼の魔人を討ち果たしてくれ。」
カルマはその時、ローブの魔術師アリディアも同じことを言っていたことを思い出した。"強くなれ運命の子よ"と
カルマは緋眼の魔人の強さも憎しみも深くはわからないが、その魔人軍は今も多くの人を殺しこの世界を破滅へ導こうとしていることは知っている。
そして偉大な兄がそれを憂いているのだ、カルマも兄と共に戦いたいとそう思った。
それにこの目のせいで酷い目にあった、それはこれからもそれは付いてまわるだろう。それこそ緋眼の魔人を打ち滅ぼすまで……
〈頭の中の整理用 メモ〉
カルマの兄 ダグラスの目的は
緋眼の魔人と緋眼の魔人が率いる魔人軍を打ち倒すこと。




