時を超えて
それは、世界を救えなかった男にとって三度目のやり直しだった。
戦士ダグラスのいた世界は、ある一人の魔人によって崩壊した。
未来で世界を滅ぼした魔人——緋眼の魔人ヴォルトゲイト。
家族も、仲間も、すべて失った。
だからこそ彼は決めた。
この腐った世界を、根本から変えると。
彼はその魔人の“誕生の瞬間”を、この目で確かめるために——時を遡った。
辿り着いたのは、千年前の小さな村。
そこにいたのは、ただの青年だった。
人当たりがよく、誰にでも優しい、片目が赤い瞳の青年。
しかし、それは紛れもなく、未来の魔人と同じ顔立ちだった。
_______
その夜、空が裂けた。
黒い魔法陣から現れたのは、未来を破滅に追いやった見た魔人そのもの。
——“魔人ヴォルトゲイト”
村は壊れた。
人が死に、家が燃え、絶望が降り注ぐ。
そして村人たちは、震える青年を指差した。
同じ顔。
同じ赤い瞳。
おまえがやったんだ。
「違う……僕じゃない……」
だが、救いは来ない。
光と共に現れた世界の調停者、神麗シンセレーヌは告げる。
「緋眼の者よ……その因果、放置はできない。
貴方に輪廻転生の神罰を与える」
「本当に..僕じゃない...」
青年は理解もできぬまま、魂に呪いを刻まれ、その身を滅ぼされる。
《死ぬたびに百年の地獄を彷徨い、再び生まれ落ち続ける呪い》
終わることのない地獄の始まりだった。
ダグラスは見ていた。
幾度も戦場を越えてきた彼でさえ、目を逸らしたくなる光景だった。
止めなかった。
止められなかった。
なぜなら——
この出来事は“確定”している。
ここで彼が動けば、未来が消えるかもしれない。
世界が救われる可能性すら、消えるかもしれない。
だから彼は、ただ見ていた。
青年の絶叫も、涙も、神罰も。
やがてダグラスは理解する。
この呪われた魂は転生を繰り返し、
地獄を重ね、憎しみに染まり——
未来で“ヴォルトゲイト”になる。
だが同時に理解した。
その魂だけが、未来の魔人を倒せる唯一の存在でもあると。
救いと破滅が、同じ魂に結びついている。
「……ふざけるな」
決められた運命。
閉じた因果。
抗えば未来が消え、従えば世界が滅ぶ。
それでもダグラスは決めた。
何度失敗しても、
何度絶望を見ても、
その魂が、もう二度と絶望に呑まれない道を探し続けると。
必ず守る。この美しい世界を。
たとえ、その青年に憎まれる未来が待っていようとも。
はじめまして!MINMIと申します。
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"結末から組み立てる小説"を意識して書きました!
多くの伏線など考えた作品です。
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