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第1話 道筋


 モニターに映る図形をカチカチと小さな音をさせて操る。大きくしたり、見る方向を変えたり、一瞬にして3Dの世界が画面から飛び出してくる。


「君たち、なにしてるんだ? ここは君らの部署じゃないだろ?」


 ん? なんだろ、扉付近で室長がなにか言ってる。さっきから少し騒がしいなとは思ってたけど。


「あーあ」


 それに呼応するように、隣で三笠が大きなため息を吐いた。一体なにごと。


「なんだよ。うまくいかないのか?」

「違うよ。おまえ、気付いてないんか?」

「え? なにに?」


 三笠は再び大きく息を吐く。それから椅子の背もたれに上半身を預けて足をぐいっと延ばした。


「最近、女子社員がこのフロアに頻繁に出入りするようになったんだよ」

「へえ? なんで?」

「なんで? はああ……全く。あのな、老若合わせて女性たちのお目当てはおまえなんやっ」


 三笠は僕を指さした。おいおい、人を指さすなと教わらなかったか?


「また御冗談を。僕はここに配属されてもう2ヶ月以上経ってるんだよ? 今更そんなことが起こる……」

「この10日間で、激変したんだよっ! 冴えない奴は白鳥でしたってな。気付いてないとは言わせん!」

「あ……」

「あーあ。ついに知られてしまった。俺だけが知ってたのに。綾瀬光が超美形であることを。くそっ!」

「なに言ってんだよ……」


 今現在の僕は、毎日の睡眠がきちんととれている。だから、三笠の言う枯れた高野豆腐は、今やずっと上手い出汁に浸かった美味しい? 状態なのだ。


「俺はな、おまえを入社式で見初めたんだよ。艶々の肌、パッチリお目目。綺麗に成型された顔立ち。それが、月日が経つにつれ、おまえは目にクマを作って見る影もなくなった……。けどな、俺は……」


 長くなりそうだな。まあいいや。確かにこいつと初対面だった頃は、不眠症でもないから元気はつらつだった。

 初めの教育も大丈夫。現場研修、営業研修……この頃からかな眠れなくなったのは。そして、この部署に配属され、三笠と机を並べるようになってから酷い有様に……。ちっ、ほっとけ。


「おまえ、正直に言え。あの医者と暮らしてるのはわかってんだ。それだけならまだしも、もしかして、もっとすごいことしてんやないのか? 睡眠を餌にあんなことこんな……」

「されてないよ。もう……」


 ――――すごいことは……まだ。


 2週間前の夜。僕は天宮先生に電話した。そこで、先生から色々と僕の症状の現在地なんかの説明を受け、初めてこれからの道筋が朧気ながらも見えたんだ。


 そして、全く眠くならずに最後まで話を聞いた僕は、先生の提案を受ける決意をした。



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