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神子の恩返し  作者: 天天
『共通』パート
23/63

story5「ずっと一緒に」

 『兎のお姫様』。

 女物の服と小物の専門店で、雫たち行きつけの店。主に十代~二十代向けの商品がある若者の店。女にとって、服と言えばこの店、らしい。男にはさっぱり理解できないけど。

 うん。とりあえず、入ったはいいけど……。

「よく考えたら目立つな」

「なにがだ?」

「サンの神子服」

 他人から見たら、なにかのアニメを真似したコスプレにしか見えない。これはこれで別の意味で注目を浴びるんじゃないのか? そこまで考えてなかったな。

「私は気にしない」

 俺が気にするんだけど。

 まぁ仕方ない。付き合ってもらってるだけでもありがたいと思おう。サンは見た目小学生っぽいし。ちょっと羽目を外してる子供だと思われて終わりだろう。たぶん。

 さぁて。リボン売り場に到着。ここからは俺のセンスが問われる。あいつらをあっと言わせるような物を選ぼうじゃないか。

 ……みんな一緒に見える。

「サン。どれがいいと思う?」

「私が選んだら意味がないだろう」

「サンはノーカンな気がする」

「……なぜだ?」

「バレなきゃいい」

「真面目に探せ」

 怒られてしまった。

 そりゃ俺だって真面目に探したいよ。レナも「楽しみにしてます!」って言ってたし。でもだからこそ、変なものを選びたくないんだよ。失敗したくないんだよ。これで変なの選んでレナに微妙な目で見られたりしたら、俺はショックで立ち直れない。

 うぐぐ……女の子ってどういうのが好きなんだ? どんな色が好きなんだ? 模様は? デザインは? 可愛いやつ? どういうのが可愛いんだ? なにを境界線にして可愛いって思うんだ? シンプルイズベスト? シンプルってなにを境界線に……駄目だ。混乱してきた。

 ……これ、願いごと考えるのと同じぐらい難しくね?

「……お前は本当に優柔不断だな」

「……優柔不断は『優しい』って文字が入ってるんだぜ」

「優しい馬鹿だな」

 ひどい。馬鹿でも優しければいいじゃないか(馬鹿は否定しない)。

 それにしても……マジで種類多すぎるだろ。目がチカチカしてきた。

「……やっぱり、リボン一つでも、女にとっては大事なもんなのか?」

 今朝、雫がレナのリボンを決めるのに、すっげぇ時間かけてたからな。男には全然わからないけど、女にとっては装飾品一つが大事なもんなのか。これだけの種類があるリボンを見ると、そんな気がしてきた。

「……私にはよくわからない。人間の感情はな」

「またそれを言う。それ禁止な」

「なにがだ?」

「人間の感情はわからない、とかそういうの」

 サンはまだ、人間と神子の間に線引きをしているように感じる。だからあえて、人間の、とか言って距離を置こうとしてるんだ。

「さっきも言っただろ。神子も人間も同じだって」

「……みんながみんなお前のように思えるわけではないだろう。所詮、別の存在だ」

 ちょっとなにも言えなくなる。

 確かに、人間全員がそう思えるかはわからないけど……それでも。

「神子とか人間とかの前に、サンはサンだろ? だからわざわざ距離を置こうとするなよ」

 サン……神子たちにはそう思ってほしくない。そう思う。

「……お前は本当に変わっているな」

「それは俺にとっては褒め言葉だ」

「レナは黄色が好きだ」

 突然、サンがアドバイス。

「え?」

「レナは黄色が好きだ。後は自分で考えろ」

 おぉ……色のヒントはでかいぞ。ありがたい。なんでいきなりアドバイスくれたのかわからないけど、助かった。

 黄色か……と言っても、単純に黄色のリボンって発想じゃ駄目だろうな。雫と瑠璃に白い目で見られる。黄色という色に対して、俺のセンスをプラスしなきゃ……。

「……あ」

 一つのリボンが俺の目に止まった。

 黄色はもちろん、そのデザインに目を惹かれたんだ。俺の数少ない、母さんとの記憶の中から。可愛い……と思うけどな。

「……これにするか」

 うん。俺はこれ以上の物は選べない。これに決定だ。

「決まったのか?」

「ああ。買ってくるから先に外出ててくれ」

 レジに行くぐらいなら、別に男一人でもいいだろう。もう出るんだから、なんて思われても関係ないし。堂々と無駄に胸を張ってやる。

「……」

 レジに行く途中で、もう一つ、俺の目を惹く物があった。

 一つの髪留めだ。白に紅葉の模様が入った、シンプルな髪留め。

 なんとなく、なんとなくだけど。

 ……サンに似合いそうな気がした。



★☆★☆★☆



「ほい」

 みたらし団子が五本入ったパックをサンに手渡す。

「……今思えば、餌付けされたようで気に食わんな」

 口でそう言いながら、手はしっかりと出てるぞ。

 ウチに来てからお茶と一緒に食べるつもりなのか、今すぐには食べようとしないサン。顔は微妙に笑顔に見える。いつも厳しい顔のサンだから、微妙な笑顔も目立つ。

 機嫌良さそうだし……もう渡すか。

「あとこれもついでに」

「ん?」

「付き合ってくれたのと、アドバイスのお礼」

 『兎のお姫様』の紙袋を手渡す。それを上から下から見て、不思議そうにしているサン。

「なんだこれは?」

「五秒前に言ったけど」

「……報酬はみたらし団子をもらったぞ?」

「小さいことは気にするな」

 頭に?を浮かべながら、紙袋を開けるサン。中に入っていた物を見て、目を丸くする。

 さっきたまたま見つけた。紅葉模様が入った髪留めだ。

「……」

「いや、たまたま見つけて、サンに似合いそうだと思ったから」

「……」

「別にそんなに高いもんじゃないし」

「……」

「……あの、サン?」

 なにも言わない。じっと髪留めを見つめている。

 も、もしかして……気に入らなかった?

「……レナだけじゃなく、私にも手を出す気か?」

「ぶっ!?」

「冗談だ」

 サ、サンが冗談を言うとは……おもわず吹き出しちまった。

 本当に冗談だよな? サンが言うとマジにしか聞こえない。

「……誰かからなにかをもらうのは初めてだ」

 感慨深い表情で、髪留めを着けるサン。すぐに着けてくれるってことは、気に入らなかったってわけではないみたいで安心した。

 おぉ……やっぱり似合ってる。俺のセンスも捨てたもんじゃないな。

「よかったのかもしれないな」

「ん? なにが?」

「レナのために願ってくれたのが、天坂葉介、お前で」

「……」

 よくわからないけど、褒められているのはわかった。

 この空気なら言える。俺は一つの提案を申し出た。

「名前で呼んでくれ」

「ん?」

「苗字はいらない。葉介でいいから」

 フルネームで呼ばれることに、俺は違和感を感じていた。

 さっきの話じゃないけど、なんか距離を置かれてるみたいで嫌だったんだ。

 ちょっと出過ぎた申し出だったか? どうやって呼ぼうが個人の自由だし。なんて思ってたけど、サンは、

「わかった。葉介」

 笑いながら言った。

 微妙な、じゃない。普通の笑顔で。

 ……可愛いな。おい。

 いちおう言っておくけど、俺はロリコンじゃないぞ。


★☆★☆★☆



「ただいま~」

 夕方になって、やっとレナと瑠璃が帰ってきた。当たり前のように、雫も。まるでここが我が家のように。

「おかえり」

「小さい頃の葉介、可愛かったですね~。あ、今も可愛いですよ?」

 それって褒めてるの? 男としては微妙なんだけど。

 一緒に行かなくて正解だったな。現在進行形でそんな話されたら、俺は居心地の悪さ全開だっただろう。

「今はただのふぬけ顔でしょ?」

「え、えっと……格好良い?」

 雫の罵倒は相変わらず。そして瑠璃。疑問形で言わないでくれ。なんか虚しい。

「あ、先輩!」

 リビングでお茶を飲んでいたサンを見つけて、飛びついて抱きつくレナ。相変わらず仲が良いな。

「レナ。元気そうだな」

「元気ですよ~。私、今日から学校に行ったんです!」

「ああ。聞いている」

 学校での出来事を嬉しそうに語るレナ。それを、妹を見守る姉のように聞くサン。見た目はレナが姉でサンが妹だけど。

 ……改めて見ると、良いな。

 神子が普通に人間の家で、こうやって話をしている。嬉しそうに。楽しそうに。

 変わっていくといいな。神子の在り方。

「ところで、やけにいっぱい買ってきたな?」

 雫と瑠璃は大量のスーパー袋を持っている。中身はいろんな食材だ。

「ふっふっふ……今日はレナの編入祝いでパーティよ!」

「うん。いっぱい作る」

 瑠璃が珍しく張り切っている。料理は数少ない、瑠璃がメインとなれるものだからな。

「サンが来てるなら丁度よかったわね」

「……私は長居するつもりはない」

「駄目。強制拉致」

 ソファーの後ろから、サンを両手でホールドする雫。逃がさないようにするって言うか、たぶん、ただ抱きつきたいだけ。レナが戻ってきてから、サンが来る度に、雫はこんな感じだ。実際は歳上とはいえ、見た目可愛くて小さい女の子なんて、雫のストライクもいいところだ。こいつ、マジでハーレムでも作る気か?

「あれ? 先輩……そんな髪留めしてましたっけ?」

 サンの髪にある髪留めを見つけて、レナが質問する。さすがレナ。よく気がついてくれた。俺のセンスで選んだ髪留めだ。サンも気に入ってくれてる(と勝手に思ってる)。

「似合ってますね! 可愛いです!」

「……お節介な奴からもらっただけだ」

「お節介……ですか?」

 誰がお節介だ。



★☆★☆★☆



 テーブルにいろんな料理が出揃った。

 瑠璃が本当に張り切ってたからな。勝負エプロン着けてたし(本気で料理作るときのエプロン)。俺の好物。レナの好物。雫の好物。サンはさすがにわからなかったからないけど、なんと、瑠璃がみたらし団子を手作りした。瑠璃……お前、本当に良いお嫁さんになるぞ。

「よ~~し! 乾杯よ!」

「お前が仕切るの?」

「じゃああんたやる?」

「いや、いいや」

 おもわずツッコんだけど、別に仕切りたいわけじゃないし。雫にやらせればいいや。

「レナの編入を祝って……乾杯!」

「「「かんぱ~い!」」」

 カチン。とジュースが入ったコップが鳴る。さすがに未成年だから飲酒はしない。一回、親父のビールをこっそり舐めてみたことがあるけど、苦くて全く美味くなかった。ぶっちゃけ不味い。あんなものを美味そうに飲んでる大人の気持ちがわからない。

「やっぱり瑠璃の料理は美味しいですね~」

「瑠璃ちゃん。私のためだけにずっと料理を作ってくれない?」

「え?」

「なに言ってんのお前?」

 料理へと箸を伸ばしながら、どうでもいい会話をする。そのどうでもいい会話も、レナが戻ってきたからこそ、できることだ。

 ……レナが消えたのは、五ヶ月ぐらい前か。

 神子食いとの戦いのあと、鉄骨の下敷きになった俺を助けるために、レナは……瑠璃の俺を助けたいって願いを叶えて、消えた。

 それから二ヶ月ぐらい……俺は魂が抜けたみたいに生活してて、瑠璃と雫にはかなり心配をかけてたかもしれない。

 そしてゼウスが、レナと一緒にいたいっていう俺の願いを叶えてくれて……レナが人間として戻ってきて、さらに二ヶ月ぐらい経った。

 まさかレナと一緒に学校に行ける日が来るなんてな。

 ……やばい。なんかテンション上がってきた。

 今日は盛大に祝おうじゃないか!

「……美味しい」

 瑠璃が作ったみたらし団子を食べて、サンがにんまりとしている。

 にんまりって表現が、マジでぴったりな顔だ。やばい。写メ撮りたい。

「……って、すでに撮ってる奴がいたな」

「なによ?」

 俺の思考よりも先に、雫がカシャカシャと写メを連続撮りしていた。手が早い奴だ。早すぎて怖い。

「人間界は食べ物だけは美味しいよね。そこだけは褒めてあげるよ」

「なんで上から目線なんだよ。猫野郎が」

「僕は猫じゃない!?」

 このやり取りも何回目? 飽きてきたぞ。猫じゃないって言うけど、どっからどう見ても猫だし。喋って羽がある以外は。

「お兄ちゃん」

 料理もそれなりに減ってきたとき、瑠璃が俺に目で合図してきた。

 おぉ……忘れてた。あまりにも場の空気が楽しすぎて。

「レナ」

 俺は隠しておいた紙袋を取り出した。ちゃんとプレゼント用に包装してもらってる。

「なんですか? これ」

「朝約束しただろ? 俺のセンスでリボンを買ってやるって……まぁ編入祝いもかねて」

「……」

 レナは言葉さえなかったけど、顔は嬉しそうに綻ぶ。

「開けていいですか!」

「どうぞ」

 包装を丁寧に開けて、中からリボンを取り出すレナ。そのリボンを見て……。

「……あんた。なにこれ?」

「……」

 雫と瑠璃が俺をなんとも言えない目で見てきた。視線が痛い。

「俺のセンスで選んだリボン」

「なにこれ。をそのまま答えるんじゃないわよ。なんでこれを選んだのかってこと」

 あ、あれ? 俺、なんか責められてる?

 俺が選んだリボンは、薄い黄色のリボン。そしてその中に、タンポポの模様が散りばめられてる。俺は可愛いと思ったんだけど。

「る、瑠璃……俺はなにか駄目だったのか?」

「……えっと、少し子供っぽいかな?」

 ガーン。俺のセンスは子供っぽいってことか……。

「なんでこれを選んだのよ?」

 雫がもう一回聞いてきた。い、痛い……その視線で俺を殺す気か。

 うぐぐ……まぁ正直に答えるしかない。

「……か、母さんがタンポポ好きだったから……女の子はこういうのが好きなのかと思って……」

 死んだ母さんがタンポポを好きだった。よく俺に、タンポポの話をしてくれたんだ。どんな場所でも生えて成長する強い花だって。たまに、母さんにタンポポを摘んできてプレゼントしたこともある。俺はそれだけの理由で、このリボンに決めたんだけど……安易だったかな?

「……」

 レナがリボンと俺を交互に見てくる。

 だ、駄目だったかな? やっぱり。俺のセンスは女の子には通用しなかったのか……自分の駄目さにがっかりだ。穴があったら入りたい。

「ありがとうございます……嬉しいです……」

 そんな俺の自虐思考とは裏腹に、レナは嬉しそうに笑った。

「私、これ……大好きです。なんだかあったかい感じがして……」

 俺に気を遣ってる。わけではなさそうだ……これはもしかして、俺のさよなら勝ち?

「まぁ、葉介にしてはそこそこいいんじゃないの?」

「うん。子供っぽいけど、可愛いと思う」

 雫と瑠璃にも意外と高評価だったらしい。さっきはちょっと責められてる感じがしたからヒヤヒヤした……あー怖かった。

 俺はサンをちらっと振り返った。目で「ありがとう」と言った。サンから色のアドバイスをもらったおかげだからな。

「……」

 レナがリボンを見ながら……あ、あれ? 泣いてる?

「レ、レナ? どうしたんだ……」

 レナが泣くなんて……やっぱり、リボンが気に入らなかったのか?

「いえ……嬉しくて……」

「え?」

「今、ここに居れることが……本当に嬉しくて……」

 涙を流しながらも、レナは笑った。嬉し泣きってやつだ。

 今、ここに居れることが嬉しい。そんなレナの言葉を聞いて、俺も目の奥に熱いものを感じた。やばい。俺も泣きそう。

「私、あのまま消えなくてよかった。みんなと一緒にいれて、本当によかったです。消えたくない……今は本気でそう思えます」

「レナ……」

 消えたくない。

 前にレナが消えてしまうってときには、自分から言えなかった言葉だ。

 神子だから。神子の生き方だから。仕方がないって。

 でも、今は言える。

 レナはもう神子じゃない。人間だから。

 これは俺がレナを抱きしめる展開だろ。

「レナ。俺の胸に――」

「レナぁ!?」

 両手を開いてレナを受け入れようとしていた俺を弾き飛ばして、雫がレナに抱きついた。痛い。片手で弾かれたのに、なんでこんなに俺はダメージを負ってるんだ。

「私たちとレナはずっと一緒よ! もうどこにも行かせないわ!」

「……うん! そうだよ。レナさん」

 間に入るように、瑠璃もレナに抱きつく。俺も間に入りたいけど、入ったら雫に殺られるな。諦めよう。

「ずっと一緒にいるなんて、実際無理でしょ」

 鳥の唐揚げをパクパク食べながら。カールが生意気な口を聞く。

「お前、この感動的な場面でよくそんなことを言えるな?」

「だってそうだろ? 今一緒にいるからって、これから先もずっと一緒にいれるとは限らないじゃないか」

 まぁ、こいつの言ってることも間違ってはいない。

 今、俺たちはこの家で暮らしてる。同じ学校に通ってる。学校には共通する友達がいる。

 その全てが、この先ずっと続くとは限らない。

 いや、おそらく、続かないことのほうが多いと思う。

 それは仕方のないことで、それが世の中だ。

 でも……俺たちとレナは、

「……ずっと一緒に居れるだろ」

「なんでだよ?」

 忘れたのか? この猫は。

俺が願ったことを。

「だってそれが、俺の願いごとだからな」

 一緒に居たい。一緒に笑いたい。

 それが俺の願いごとだからな。

「……そうだな」

 サンも同意してきた。レナを優しい目で見つめながら。

「それがお前の……お前とレナの、最高の願いごとだからな」

「おう」

「本当に、お人好しな奴だ」

「それは俺にとって褒め言葉だぜ」

「馬鹿、とも言えるよね」

 それは俺にケンカを売ってると見ていいな? 俺は猫相手でも容赦しないぞ。尻尾を掴んで宙吊りにしながら髭を引っ張ってやる。

 カールの尻尾を掴んで宙吊りにしていると、瑠璃と雫に抱きつかれているレナと、目が合った。

 自然と笑い合う。

 ……そうだな。ずっと笑っていよう。

 それが俺の考えた……最高の願いごとだから。

「痛いじゃないか!?」

「いっでぇ!?」

 俺の手から脱出したカールが、素早く俺の顔面に飛びついて引っ掻いてきた。この野郎! もう許さん! 寝てばかりの黒猫は明日の朝食の材料にしてくれる!

 ドタバタと俺とカールの乱闘開始。ライオンは兎を狩るのにも全力を尽くす! それと同義だ!

 そんな俺の様子を見て。

 レナは笑っていた。

 レナが笑ってるのがなんだか嬉しくて、俺はちょっと大げさに暴れる。

 いつの間にか、全員が笑っていた。

 涙が出るほど、笑っていた。


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