episode eleven
まずは、この戦場みたいになっちまった店の空気をどうにかせねば。
いや、戦場の方がマシだ。
なにかしら解決法方がある場合が多いからな。
敵の殲滅。
戦略的撤退。
目眩まし等の使用。
増援の要請。
進路の変更。
航空支援の要請。
ドローンによる爆撃。
若しくは任務失敗による戦死。
戦死も立派な選択肢である。
選択としては最悪だがな。
で、この状況。
解決策がわかりましぇーん。
ジーザス。
こんな空気になるとは……迂闊だったな。
俺のミスだ。
とりあえず、これ。
パンパン!
はい注目。
おっと、エロい音じゃないよ?
手を打った音だ。
からの、
「みんな、どうしたの? 仲良くしてるみんなって可愛くて、俺は好きだな☆」
こてんと首を傾げたあと、にぱっと弾ける笑顔(笑)で星を飛ばす。
あざとry
いや、流石に無理だよな。
わかってた――
「「「「「「はうぅ! 執事様が仰るなら!!」」」」」」
――って言うのは嘘!
鼻くそっ!
丸めて!
ぽい捨って!
おいおいおいおいおい、マジかよコイツら。
改めてチョロいなおい。
コイツらってあれか?
うれしいんだけど、大丈夫かよ。
生物として別種なのか?
動物界
脊椎動物門
哺乳綱
霊長目
ヒト科
ヒト属
チョロ・サピエンス
因みに俺はエロ・サピエンス。
冗談です。
普通にシモ……ホモ・サピエンス。
ふう、全く。
勘弁してくれよな。
いちいちめんどくせえんだよ。
何でこんなこと、いちいち俺がせにゃならんのだ。
答え 俺が考え無しに行動したから。
はい、すみません。
原因は俺でしたね。
さっき『俺のミスだ』って言いましたね、はい。
ま、どうにか場を納めたから良しとしようぜ!
「お待たせしました、冬夜くん! お願いします!!」
っていう俺の安心は一瞬で消えました。
一難去ってまた一難たぁこの事だな!
泣きっ面に蜂ってか!
さっき逃げていった裕璃がこのタイミングでやっと戻ってきた。
ばっちりおめかしして。
さっきまで何時ものエプロン姿の店員さんだったのに!
ふ、ふふふふふ……
ああ、もういいよ!!
もう知らねえ!
ヤってやろうじゃねえか!
ノリとしては、
『ジョ○ョオ! 俺はもう、人間をやめるぞぉ!』
な感じで。
気合いとしては、
『僕はッ! 君が泣くまで殴るのを止めないッ!!』
くらい。
「ああ! 待ってたんだよ裕璃! さあ、おいで!」
プルプルしている裕璃を、ふわりとお姫様抱っこして、そのまま椅子に座った。
もちろん裕璃は、俺の膝の上に横向きに座ることになる。
「あ、あわわわわっ!」
「ふふ、裕璃。そんなに慌ててどうしたの? ほら、食べさせてあげるから……おっと、料理がないね。ごめんよ、おいしくてつい全部平らげてしまったんだ。ジュースで我慢してくれるかな? 口移しでもいいけど、どうする?」
ブレーキ、壊れました。
俺はもう、止まらない止まれない。
三千世界の果てまでも、突っ走ってみせませう。
私を導いてくれ。
嫌だよ、お前めんどくせえんだもん。
とか言われたらどうしようかね?
迷子?
迷子でちゅかー?
ぷぷぷ、迷子なんでちゅかー?
だっせえ! ぷぷぷ。
おっと、話がおかしな方向へ。
今は裕璃にジュースを飲ませるのが第一目標だ。
徹底的にねぶらなきゃ。
「どうするの? 口移し? 口移しだよね。わかった、ちょっと待ってね……ん、んちゅ、ん、ふ」
ジュースをストローで口に含み、そのまま腕の中の裕璃に口移しで飲ませる。
「はわわわ、ん! んん、ごくごく……んん! と、とうや……ん、んちゅ、ん、……あ……んふ……♡」
ぬろぉ、と裕璃の口の中に舌をいれ、口腔をねぶり、蹂躙する。
裕璃の舌に自分の舌を絡めてさらに激しく、されど優しく丁寧に弄ぶ。
二回、三回と繰り返すうちに、裕璃の緊張も次第に解け、積極的に絡ませてくるようになった。
「はあ、はあ……冬夜くん……♡」
つつぅ、と線を引きながら、互いの唇が離れた。
もうジュースは必要ない。
互いの唾液が甘すぎて、頭がくらくらしてきた。
これはヤバイ、脳内麻薬が出てきているか?
俺の抑えが利かなくなってきた。
こうなると、いよいよ止まらない。
絶倫の俺が果てるまで、はやして裕璃の体は持つだろうか……って、ダメダメ。
落ち着け俺ぇ、ふうふうどうどう。
ダメだ、もうバッキバキ。
何処とは言わないがな。
アカン、完全に臨戦態勢。
スイッチ入っちゃった。
「はあ……はあ……ヤバイ……ん、ちゅう……」
裕璃とディープキスを繰り返しながら、ふと周囲に視線を向けた。
「や、ヤバイやばいよ冬夜くん……」
「ふぇ、フェロモンが……」
「お、お兄ちゃんハアハア」
「裕璃さんいいなぁ……ん」
「ああ、冬夜くん冬夜くん……んく♡」
展開はやっ!
おお、なんということでしょう。
皆さん俺たちにアに当てられて、発情スイッチが入ってます。
目が血走っているところから、おそらく途中まではみんな仲良くってのを守ってたんじゃないでしょうか?
で、だんだんそれどころじゃなくなった、と。
なんだこの状況は。
胸の中には、発情して蕩けきった雌が一人。
辺りには、強烈な色香をふりまく女たち。
どいつもこいつもJCだ。
みんな未成年、俺もこっちじゃ未成年。
だけどここは異世界。
調べてみた感じ、俺が襲う分にはOK。
一体何を躊躇う必要があるんだろう?
ああ、もう、限界。
口許がどんどん歪んでいく。
さながらそれは、天使が堕ちていくようで。
視界が紅く染まってきた。
もう、だめ。
「据え膳食わぬは男の恥……だよな? ククク、いいぜお前ら、俺がまとめて……」
――食い散らかしてやるよ!!
くー決まったそこにしびれるあこがれる。
ネクタイをぐいっとおろし、シャツも胸元まではだけさせる。
ペロリと唇の端を舐め、獲物を探した。
手始めに裕璃からだ!
ふはははは、泣いてもぜってやめねえよ?
■□■□
……やっちまった。
比喩でも何でもねえ……
ヤっちまったよ。
クラス会って、大乱交パーリーじゃねえよな?
自室のベッドの上で身を起こしながら、俺は頭を抱えた。
事の顛末から述べると。
クラスメイト28人+妹+裕璃母。
裕璃のお母さんは、途中様子見で再び来たところを俺に捕食された。
で、計30名を美味しく頂きました。
まてまて。
これは違うんだ。
途中からの俺のテンションは、何かおかしいと思ってたんだ。
確かに犯したのは俺だ。
そこは認めるし、責任もとるつもり――ってか国がバックアップしてくれるっしょ。
てかむしろ感謝されてる?
反省はしていますが!! (後悔はない)
もちろん着弾回避はしてるけど。
……たぶん。
記憶には、着弾は回避したと思う。
で、こんなこと普段の俺ならありえないんすよ。
いやマジで。
普段、色々言ってるけどね?
俺だって普通の飲食店とかで事に及ぶつもりなんて、さらさら無かったわけよ。
ヤっちゃうことには、そこまで抵抗はないぜ?
むしろ抵抗はZERO。
合意の上ならヤりまくり。
父さんだって、遺書で和姦しろって言ってたし?
つか、あの親あっての俺だわな。
遺伝子とかばっちり受け継いでました。
受け継ぎたくないとか言ってごめんよ、パピー。
ただシチュエーションってもんがあるじゃん?
な?
とにかく。
普段の俺なら、あそこで犯したりしないワケ。
原因も判明したんすよ。
あれでした。
俺がうめーうめーって飲んでたジュース。
あれだったよ。
後から判明したんだけど。
あれね。
度数の高めなワイン、つまり酒だったんだと。
帰り際にオーナー、つまり裕璃母が教えてくれた。
加えてハンバーグ。
あれはすっぽん肉がふんだんに使われているそうだ。
あ、裕璃母は瑞希っていうらしい。
以降、オーナーか瑞希さんって呼ぶわ。
瑞希さんの秘蔵らしくて、冷蔵庫の奥に隠していたのを。
裕璃が高級なジュースと間違えて、俺のために出したのが原因だった。
瑞希さんが、値段を隠すためにラベルを剥いでいたのもまた一端だろう。
まあ、酒に飲まれた俺のせいでもあるんだがな。
ま、そんなワケで、キンキンに冷えたそいつをデカンタに入れて、俺に出され。
俺はそいつをパッカパッカがぶ飲みして。
気付いたら大惨事。
なまじっか記憶が残ってるのが、いっそう憎い。
どうやら俺に酒をたくさん飲ませると、理性を野性が越えるらしいな。
そして理性的ながら野性になるのか。
あぶねえオトコだなおい。
前世じゃ酒はやってなかったからな。
知らなかった。
最後は徐々に冷静になった俺が、みんなの服を着させて解散にしたのが10時半頃。
その時は冷静といえどもアルコールは残っていて、最高に気持ちよかったぜ位にしか考えていなかった。
俺バカ。
で、あのタクシーの運ちゃん呼んで家まで帰った。
風呂に入り、冬華も入れてやり、ついでとばかりにナニもナカに入れ、上がったのが12時前。
その後すぐ寝た。
で、現在に至る。
「ああ……マジかよ。……んっと頭いてえな」
水飲みたい。
リビングに降りて、水を飲んだ。
母さんは帰ってきてないな。
スマホを見る。
6時か。
あ~、学校か。
なんかどんな顔して行けばいいんだろうな?
はあぁ、まず冬華に会わす顔だよ。
うん、朝メシ用意して俺もう学校行こう。
コンビニで時間潰せばいいや。
帰りは図書館に寄って、本格的に法律調べるべ。
嗚呼、時間よ戻れ。
お願いだから、何とかなりますように。
追伸
妹の具合がナンバーワンでした。
次が咲樹です。
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