微動

　

お待ちください

このお召し物、あなたのお気に召しませんか？

わたしはあなたを想い

独り、はたはたと織った紅い羽織

一糸にさえ抜かずに込めるわたしの想い

燃えるように紅いその色は

脈々と流れる

わたしの中の深紅

あなたは

もう少しでわたしとひとつに

卑しいことなど考えておりません

ただただ、わたしはあなたが欲しいのです

他などなにも望みません

そのような瞳を向けないでください

人に気づかれてしまうでしょう？

微動すらしない

あなたの中の深紅

一糸に余すことなく染み込ませ

わたしは独り、はたはたと羽織を織るのです

もう少しで

わたしもあなたとひとつに