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第16章 揺らぐ未来

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6 「未来が揺らぐ」

 運命の女神は(マニューバ・ナイ)虚無を夢見る(トメアヴィジョン)──。

 より遠い未来を予知することができるスキルだ。


 代わりに、近い未来の予知『運命の女神(マニューバ・フ)の鐘が鳴る(ォーチュンベル)』よりも精度は落ちる。


(またこの光景だ)


 眼前に虹色の輝きが広がっていく。

 彼女はその光に飲みこまれ、溶け消える。


 そこから先は見えない。

 何度スキルを発動しても、エレクトラが予知できるのはここまでだった。


 つまり──ここで彼女の未来は終わる、ということだ。


(やはり未来は変わらないのか。わたしに待っているのは、破滅だけ──)


 絶望と失望を感じながら、エレクトラはもう一度、同じスキルを発動させた。

 ──今度は、虹色の輝きが現れなかった。


「なんだ……!?」


 エレクトラが眉を寄せる。


 その光景は、いつもとは違っていた。


 世界が黒く染まる。

 白く輝く無数の剣が現れ、その『黒』を切り裂いていく。

 さらに──、


「これは一体……!?」


 白と黒の二色に染まった世界を、天空から舞い降りた何かがまとめて吹き散らしていく。


 虹色の、光球。

 神々しくもあり、同時に禍々しくもある。


 そんな異様な印象があった。


 同時に、世界そのものが激しく震動する。

 揺らいでいる。


 ……未来というのは不確定なものだ。

 たとえば、ほんのちょっとした行動の変化で、本来なら死ぬはずだった人物が生きたり、あるいは恋で結ばれるはずの男女がすれ違ったり──。


 だが、世界そのものが大きく変化するのは初めて見る光景だった。


 何かが起こりつつあるかもしれない。

 今までとは違う──もしかしたら、世界の運命そのものが変わる何かが。


「未来が揺らぐ──」


 エレクトラは戸惑いを隠せなかった。


「今までになく、激しく……揺らぎ始めている……!?」


 やがて虹色の爆発がすべてを吹き飛ばし、世界はその輝きの中に溶け消えていく。

 さらにその先の未来の光景は、


「何も、ない……!?」


 完全なる虚無だった。

 彼女の存在だけでなく、世界そのものが消失している。


 エレクトラには、それ以上──何も読み取れなかった。


    ※


「そろそろ戻らないと……」


 ジャックの焦りは募っていた。


 先日の魔の者たちの大攻勢による影響で、ルーディロウム王国の交通機関には多大な影響が出ていた。

 彼もアドニス王国に戻れず、足止めを食った状態だ。


 無断欠勤した状態になっている会社のことが気になる。

 最愛の女性であるハンナや世話になっている社長、同僚たちのことが。


 ──神の力を持つ者として、魔と戦ってほしい。

 昨日のバネッサの言葉を思い出す。


「そんなこと言われてもな……」


 ジャックはため息交じりに往来を見つめた。


 今までにも、魔将やスキル保持者(ホルダー)のレヴィンと戦ってきた。

 それは身近な人間に危険が及んだからだ。


 だが、ここは見知らぬ土地である。

 守るべき相手などいない。


 できれば早く帰りたかった。

 自分のスキルが戦力になるとは分かっているが──やはり、自分はハルトのようには戦えない。




 滅ぼせ──。




 ふいに、声が聞こえた。


(なんだ、今のは?)


 自分の内側から湧き上がる、声。

 レヴィンと戦って以来、心のうちから時折聞こえてくる声だ。


 だが、それは昨日、『修復』のスキルを持つというセフィリアに治癒してもらったはず。


(どうして、またこの声が……?)


 不審に思いつつ、ジャックはどこへ行くともなく歩く。

 気づけば、ギルド本部の前まで来ていた。


(やっぱり俺には戦えない、ってハルトに言うか)


 迷いながら、歩を進める。


「──君は」


 本部から出てきた男が、ジャックの前で立ち止まった。


 身長二メティルを超えているだろうか。

 赤い全身甲冑を来た、屈強そうな戦士である。


「冒険者ギルドに何か用かな?」


「すみません、知り合いの冒険者に会いに来たんですが──」


 ハルトのことを告げると、戦士は思案顔になり、


「……彼なら仕事で違う場所にいる。よければ案内するが?」


「ああ、助かります」


 礼を言い、ジャックはルドルフと名乗った男についていく。


 案内されたのは本部から一区画ほど離れた空き地だった。

 茂みに囲まれた場所で、辺りにひと気はない。


「あの、ハルトはどこに?」


 たずねたジャックの眼前に槍の穂先が突きつけられる。


「えっ……!?」


「ハルト・リーヴァをおびき寄せる餌になってもらう」


 ルドルフが静かな、だが狂気を秘めた瞳でジャックを見据えた。

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