表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
絶対にダメージを受けないスキルをもらったので、冒険者として無双してみる  作者: 六志麻あさ @『死亡ルート確定の悪役貴族2』発売中!
第15章 大規模クエスト

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

147/224

6 「来るぞ」

 十三の地点に現れる予定の『黒幻洞(サイレーガ)』は、レーダーの測定によるといずれも脅威評価がSか、それ以上。

 つまり、少なくともクラスSの力を持つ魔の者が襲ってくることになる、


 まさしく大規模クエスト──。


 集まった冒険者たちは十三のチームに分かれ、それを迎撃することになった。


 俺はサロメやアリスと同じチームになった。

 ちなみにリリスとルカ、バルーガさんやアリィさんたち四人組は、それぞれ俺たちとは別のチームだ。


「同じ組だね。一緒にがんばろ、ハルトくんっ」


 サロメが俺の背後から抱きついててきた。


「う、うわっ……」


 突然のことに戸惑う俺。


 さっきの戦いでもそうだったけど、妙にくっつきたがるな、サロメ……。

 むにっ、むにっ、と豊かな胸の感触が背中にダイレクトに伝わってくる。


「アリスもよろしくね」


 サロメはなおも胸を押しつけながら、アリスに微笑む。


「は、はい、がんばります……ぅ」


 アリスの笑みはなぜか少しだけこわばっていた。


「そうそう、アリスもがんばってアピールしないとねっ」


 サロメがけしかけた。


「えっ? ええっ!? が、が、がんばるっていうのは、その、冒険者としてクエストをがんばるって意味で……あわわわ、私は、そんな……」


 焦ったように両手を振るアリス。


「クエストはもちろんだけど、恋だってがんばらなきゃ。ね?」


 にっこり笑うサロメ。


「こ、こ、恋……っ!? わ、私は別に……そのぉ……」


 アリスがますます慌てたように両手を振りまくる。


 いや、話が妙な方向に飛んでるぞ?


「リリスもアリスも奥手なのは分かるけど、行くべきときは積極的に行かないとね。好きな人、取られちゃうよ?」


「……積極的に……」


 何かを考えこんでいるようなアリス。


「まあ、戦いの前にあんまりイチャつきすぎるのもアレだよね。気分を解そうと思ったんだけど、かえって余計なことしちゃったかな? ごめんね」


 サロメは苦笑を浮かべ、俺から離れた。


「終わったら、またボクとベタベタしようね、ハルトくんっ」


「……うう、やっぱり私ももっと積極的になったほうがいいんでしょうか……」


 アリスはアリスで何やら悩んでいるみたいだ。

 戦いの前だっていうのに、大丈夫だろうか。


 ともあれ、俺たちはギルドが用意した魔導馬車に乗りこみ、割り当てられた担当区域へと向かった──。




 三時間後、俺たちはルーディロウム王都の北西地点にいた。


 周囲に広がる草原と湖。

 爽やかな風が気持ちいい。


 風光明媚な観光地といった趣きだった。

 もうすぐここが戦場になるなんて信じられないほど美しい風景だ。


「私の獲物を取るなよ」


 ルドルフさんが静かに告げた。


 冒険者の中で三強と称される『天槍』のルドルフ・ライガ──。

 この人も、俺たちと同じチームである。


 身長二メティルを超える巨躯に、炎のように赤い全身鎧(フルプレートアーマー)

 そして全身から放つ圧倒的な闘気。


 これ以上頼もしい味方はない。

 相変わらず無感情な顔だけど、その声には熱が籠もっている。


 他にランクSやランクAの冒険者数人を加え、総勢で十人。

 それが俺たちのチームの構成だった。


「魔の者は私が仕留める」


 ルドルフさんが力強く告げた。


 相対しているだけで、すさまじい威圧感を受ける。


 別に乱暴な感じの人には見えないし、むしろ知性的な印象すらある。

 なのに、とにかく強烈なプレッシャーを振りまいていた。


 まるで、研ぎ澄まされた刃みたいな人だ。


「来るぞ」


 ルドルフさんが空を見上げた。


 俺たちの頭上に小さな黒点が出現する。

 人間界と魔界を繋ぐ亜空間通路『黒幻洞(サイレーガ)』。


 その黒点は徐々に広がっていき──。

 稲妻とともに、魔族が地に降り立った。


 数は、全部で五体。


「あいつらは──」


 いずれも見覚えのあるシルエットだった。


 最強の代名詞たる魔獣──『竜』。


 ボロキレのようなフードとマントをまとい、白い仮面をつけた魔族──『空間食らい(Dイーター)』。


 四本の腕を持つ騎士──『四腕の冥戦士(ヘルズアーム)』。


 ローブ姿に巨大な杖を携えた魔導師──『秘術使い(ミスティック)』。


 身長十メティル超の巨躯と剛力、そして火炎系の魔法を操る鬼──『炎の大鬼(ブレイズサイクロプス)』。


「前に戦ったことがある奴らばかりだな」


 俺は、スキルを使うために集中を高めながら言った。


「私の獲物はあれだ。一人でやる」


 手にした槍で竜を指し示すルドルフさん。

 がちゃり、がちゃり、と赤い甲冑を鳴らしながら、無造作に竜へと歩み寄る。


 相手は最強の魔獣と呼ばれる竜だけど、ルドルフさんもランクS三強の一人。

 自信がありそうだし、任せてもいいだろう。


 だとすれば、俺たちの敵は残りの四体。

 いずれもクラスAの強敵だ。


 盾役の俺が一番前に、後方にサロメとアリスが構える。

 アイコンタクトすら必要なく、自然とそんな陣形になっていた。


 他の数人の冒険者たちは剣や魔法の杖を構え、魔族や魔獣を見据えている。

 積極的に打って出ず、まずは相手の出方をうかがう体勢か。

 と、


「人間……我らが糧……」


「怯え、恐怖し、絶望せよ……」


「その負の感情を我らは食らう……」


 魔族たちが昏い声で告げる。


「ひしゃげて潰れよ……」


 先制攻撃はDイーターだった。


歪曲圧搾弾(プレッシャーボム)……!」


 呪文とともに空間圧縮攻撃を放つ。


紫電矢(サンダーアロー)


 さらにミスティックの雷撃魔法も襲ってきた。


 クラスA魔族二体による同時魔法攻撃。

 並の冒険者なら、この二種の攻撃をさばくことすら困難だろう。


 だけど、今の俺には──。




 ──形態変化(アルター)


 ──反響万華鏡カレイドスコープシフト




「『護りの女神の紋章イルファリア・クレスト』だと……ぐあっ!?」


 響くDイーターの苦鳴。

 圧縮魔法を防御スキルで乱反射し、魔族にそっくりそのまま叩きつけてやったのだ。


銀色防盾殻(リアクトシェル)!」


 雷撃の方はアリスがあっさりと防ぐ。

 もはやクラスAの魔族程度では、どうあがいても俺たちの防御を破ることは困難だろう。

 と、


「っ……!? きゃあっ……!」


 弾けた衝撃波がアリスの体を跳ね飛ばした。

 防いだように見えたけど、威力を止めきれなかったのか……!?


「大丈夫か、アリス!」


 慌てて駆け寄る俺。


「ミスティックにこれほどの魔法能力はないはずですが……うう」


 とはいえ、攻撃の威力は防御呪文でほとんど消えていたらしく、アリスは軽い打ち身程度のようだ。


「立てるか、アリス?」


 俺は倒れた彼女を助け起こした。


「は、はい、平気です……きゃっ」


 ふらついたアリスが俺の胸元に倒れこんだ。

 慌てて支え直し、抱き合うような格好になる。


「あ……ハルト、さん……」


 顔を赤くしたアリスが俺を見つめていた。


 すぐ間近に彼女の顔がある。

 戦場であることすら一瞬忘れるほど、可憐な美貌が──。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
↑の☆☆☆☆☆評価欄↑をポチっと押して

★★★★★にしていただけると作者への応援となります!


執筆の励みになりますので、ぜひよろしくお願いします!




▼こちらの新作もよろしくです!▼



▼新作です! こちらもよろしくです~!▼
「攻撃されたら俺の勝ち!」悪役転生特典でスキルポイント9999を【カウンター】に極振り→あらゆる攻撃を跳ね返すチートスキルに超進化したので、反射無双します。

冴えないおっさん、雑魚ジョブ【荷物持ち】からEXジョブ【上位存在】に覚醒して最強になる。神も魔王も俺には逆らえない。俺を追放した美少女勇者パーティも土下座して謝ってきた。




▼書籍版全3巻発売中です! 画像をクリックすると紹介ページに飛べます!▼

5z61fbre6pmc14799ub49gi9abtx_112e_1d1_1xp_n464.jpg 97vvkze3cpsah98pb0fociarjk3q_48b_go_np_cmbv hkcbaxyk25ln7ijwcxc7e95vli4e_1e1o_1d0_1xq_rlkw

漫画版全3巻発売中です! 画像クリックで公式ページに飛びます。
8jyvem3h3hraippl7arljgsoic6m_15xf_qm_bx_d8k6
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ