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第四十一話 覇者、琥珀の果てを手繰り寄せる

※思ったより文字数増えて、また描写深いから刻んじゃった!!故に次の話が最終話だよ!!

終わる終わる詐欺してごめんねw(  '-' )っ)`-' )ゴメンテ

SIDE ショーン


水面が波を穿つように、時が空気へ解けていく。


そこに広がる暖かい気持ちを綻ばせたまま、ゆったりと。

尖った欠片を指で撫でるように、沈黙が揺らめいていた。


その心地よさが、瞼の裏へと伝ってきて。

この時がいつまでも続くと、甘く囁いてくる。


……けれど。

その安らぎの奥に、僅かに刺さった感覚の歪みが。

今にも砕けそうなほど、脆くて

――シルアの心に、小さな疼きを残す。


足裏から、抗うような地面の硬さが流れ込み。

刻々と、現実の存在が身体から甦ってくる。


胸に残った酔いを乱すように、微かに唇を噛むと。

口を――開いた。


「ていうか、エミレ。

 帰るって言ってたけど――」


表層から出た声が、妙に不自然で。

舌を、一節だけ、詰まらせる。


「帰り方、知ってるの?」


静寂のひだを、やわらかく潰したまま。

微かに愁いをはためかせて、ひっそりと。


シルアの視線は、エミレへと向けられる。


その目線を編むように。

エミレは、足先で地面を擦ると……

無邪気さを含めながら、瞳を凝らす。


「ん~、知らないけど……たぶん。」


吐息交じりの、小さな呟き。

その軽妙さが、尖った波紋を垂らしてきて。

エミレの睫毛に、虚ろな影を落とす。


――次の瞬間。


すたり、と。

小さな足音が、地面を剥ぐ。


理を蝕むような、愉悦を躍らせながら。

空間の端へ――白い髪束を歩ませる。


その動きに侵されるように。

だんだんと、空間の輪郭が滲んできて……

宝石が錆びれたような、虚勢を曝け出してくる。


異質さを際立てるみたいに、ひとときの間。

風が、撓めく。


風圧が、鼓膜に耳鳴りを捺してきて。

エミレが、襞を均すような、吐息を漏らす。


刹那。

掌が――掲げられた。


千切れるような叫びをあげて、空間が軋む。

臨場感が、背中を通して、冷気を嬲ってきて。

シルアの全身に、戦慄を犇めかせる。


鼻先に、鉄の削げたような無機質さが漂い。

動悸が、激しく慄く。


(……もしかして、エミレは呪印(シジル)を!?)


視線が一瞬だけ、シルアを掠める。


その瞳には――。

冷徹さを誇るような、虚空が巣籠っていた。


そして。

唇が、唱える。


創無(クレア・ニイ)――」


感情を裂き省いたような、淡々とした声。


蒼さを捥ぐ勢いのまま、懇ろに。

存在の無いものが、徐々に、蕾を芽吹かせていく。


虚空の彩やかさが、脈を績むたびに。

空間の淵が、黒く共鳴してきて――

暁鐘の幻覚を、意識の奥へ焚き捺してくる。


その中心で、儚い指先が震えて、空気を千切る。

冷気が、皮膚を空欄のように、朧げにしていく。


けれど。


「だめ。」


小さく、けれど芯の通った声が、断ち切る。


エミレの手が――止まる。


虚空の華が、萎れていく。

空間が、息を吹き返していく。


焦燥感に充ちた面持ちで、ただ。

包むように、エミレを縫い止めようと。


シルアが――いた。


「なんで?

 私、寝てる間に全回復したから、出しても問題ないってば」


薔薇の礼服を、繭で覆い廻らすように。

彼女の視線に、静かな反論の色が宿る。


その眼差しが、あまりにも鋭く着飾っていて

――ぬいぐるみの糸がはち切れるような、危うさが潜んでいたから。


シルアの心に、深く、罅が縛られる。


「そういう問題じゃなくて。

 君が呪印を使って、もしもあの時みたいなことが起きたら、僕は、もう……」


言葉の果てが、悪夢の襞を疼かせてきて。

だんだんと、瞼の裏に――

あの光景が、捲られていく。


無軌道に放たれた攻撃。

空気を吸うごとに荒ぶる呼気。

歪み果てた腕。

身体中に這いずり回った、赤黒い痣。


そして。

彼女が零した――ひとすじの涙。


そのひとつひとつが。

軌跡をなぞって、シルアの胸に、錆を垂らしてくる。


「……シルア少年。」


宥めるような声色。

柔らかくて、暖かくて……なのに、どこか遠い。

シルアの瞳が、大きく拓く。


視線が、交わる。


シルアの目に、映りこんだのは。

紅蓮の縁に、弱さを見せてくれた瞳。


それでも。

その真髄には、幹のような逞しさが通っていた。


「私は、エミレであると同時に――」


「しがなき覇者なんだよ?」


どこか、哀愁が漂っているのに。

声を紡いだ翅は、しなやかに彩を潤ませていて。

あまりにも――凛としていたから。


シルアは、思わず、息を呑む。


意味を識ろうと、弦を手探りで探す。

でも、その繭の色を捉える前に……

指の感覚が、抜け落ちていく。


(エミレは、『エミレ』でもあって――

 『しがなき覇者』でも、ある……?)


その響きが、造られた鎧みたいなのに。

どうしようもなく……命が潤んでいて。


今まで触れてきたどの詞よりも、そこに、在った。


未知のものが、胸に宿りかかる。

けれど、その葉が、蛹を結う前に――


「それに……もう、()()から。」


エミレが、視線を散らせてしまう。

髪束を貫いたような、名残惜しさを残して。


掴みかけた感触が、シルアの指先からじわじわと褪せていく。

不完全な脆さを霞めるような、幼さを滲ませたまま。

零れていく喪失感が、鼓膜の中に敷き並べられてしまう。


残ったのは、エミレの言葉と、ほつれた繭の欠片だけ。


でも、その余韻が、曖昧さを掬うように。

シルアの心の皹に、蕩けた琥珀を咲かせてくる。


未熟でいいと、突き飛ばされたようで……

どこか柔らかな、刺繍が描かれていくような感覚。


足裏から、理性を帯びた硬さが、広がっていくのに。

不思議と、求めていたもののように、心に染みわたっていく。


嚙みついた酔いさえも、その明瞭さに混じっている気がして。

ひと呼吸、肺を膨らませていくと。

一歩、踏み出す覚悟を、シルアの唇に灯していく。


「……来るって、なにが?」


透き通った声が、空間に落ち着きを含ませてきて。

シルアの眼差しから、張り詰めた力が、ふっと和らいでいく。


そこに、幻想を断ち切られたような寂しさはなくて。

誓いを貫くような、力強さが心に降り積もる。


風が渦を巻いて、髪を波立たせる。

予感を知らせるような聡さを孕んで、頬を撫でていく。


(まだ、力も、心も、エミレを守るためには、足りてない。

 でも、だからこそ――僕は、踏み出したいんだ。)


そんな想いを、救い上げるように。


――うつろ夢が、醒めたようだな。


そこに在るようで、そこにいない。

不確かな声が、意識の中で彷徨う。


心の内壁に憑かれるような、気味の悪さが、全身に這い付いてきて。

シルアの記憶を、馴らしてくる。


(この声は、さっきの……?)


――ならば、もう役目はない。

  出ていくがいい。


けれど、その声色には、通告の傲慢さはなく。

その先に、僅かな祝福を装飾した安心感が佇んでいた。


反響していた声が、古船の亡霊のように、だんだんと。

白く、輝きを帯びて、心の奥へと失せていく。


その気配に合わせて――。


「ふふふーん!!

 ほら、聞いてごらんなさい!シルアッ!!

 これで……帰れるでしょ?」


エミレが、得意げな顔を弾ませながら、

ひょいと、手を差し伸べてくる。


無垢な仕草に宿った、その明るさが、あまりにもいつもどおりで。

シルアの指先に、現実への橋が架けられていく。


湧いた想いが、地に浸透して、心の底を支えてくれる。

その現実味に、呼吸が整えられて、全身が緩んでいく。


「うん、帰ろう……!!」


(きっと、リュドエールルとレシャミリアとも、現実で――)


くすぐったい頼もしさを、頬に溜めて……

エミレの手に握った直後。


空間が、ぐにゃりと歪む。


天井も、地面も、壁も。

否応なしに熔けて、混ざっていく。


時空の狭間で、感覚さえも朧げになって。

時を刻む針すらも、忌避するような不快さが、全身を駆け巡る。


音が遠のいていく。

僅かに漏れた呼気さえも、水に沈んでいくようで。


視界の色が、絵の具に立った光みたいに、淡くなる。

形も輪郭も、ほろほろと解けて、意識を途切れさせていく。


(これじゃあ、帰るというより、消えてしまいそう……?)


胸の奥が、ひゅんと小さく縮む。

足元の硬さに、全身が取り込まれる。


それでも。

鼓動に紡がれた栞が、泉を織るみたいに。

指先だけが、確かに重ねられていて。

大丈夫だと、囁いてくる。


――バチッ。


神話の中で、泡沫が綴じられるように。

空間が――閉ざされた。

ご覧いただき、読んでくださりありがとうございます(*ᴗ͈ˬᴗ͈)⁾⁾⁾

ルアンでっす(๑•̀ω•́ฅ)☆


今話は短いのに濃いてな感じなんですけど〜

エミレたんやっ!!エミレがおるんだ!!

って改めて思えたから満足感高いよねー!

(* ˘꒳˘)⁾⁾ウンウンまじそれなーww((


今話はお久しぶりの三人称視点だけど、どうかな??

没入感とか変わった?


実はね、割とここ何話かは三人称と一人称混ざってたからさ!思ったより変えてはいないんだけども!!

やはりさ、君たちに感じて欲しいっていうのを重点にこういうところは綴るのを心がけているのさ!


複雑に絡まって世界を構成している糸を解きほぐして

君たちの心に寄り添えるようなぬいぐるみを結うことがルアンの本望であり、綴り手の本職だからね。


...えへへ、かっこいいこといっちゃった(*ノ>ᴗ<)テヘッ♡


あそうそう!だからさ、そういえば!!(忘れてたっw

ショーンが戻ってきたので、みなさん言ってあげますよ!!


ショーン!おかえりいいいいヾ(ˊᗜˋ*)フリフリ


ま、あやつも満足そうにしてたし、命の危険も回避できたし、ルアンは開放感に満ち溢れてますわヽ(`・ω・´)ゞシュタッ!


...課題には縛られているけど()


多分、8月課題のせいで、あんまり出せないわよ...覚悟しとてね(T ^ T)ワタシハワルクナイ


そしてね!!

次こそ!!ドウア国前編完結するから!!

多分、14か16日に出せると思うわよ♪

描写を色々吟味しなければいけないのでねφ(-Ò。Ó-”)ツヅル


そしてね、あの例の出来事もはい!

おかげさまでなんとかദ്ദി ˉ͈̀꒳ˉ͈́ ) NICE!

本当に待っててくれてありがとう╰(*´︶`*)╯♡


じゃ、ワタシはあやつらを際立たせる描写のために!!

ルアンはもうお暇しますわよ〜


3500PV達成しててルアンびっくり!!

あとがきにポイントも本当にてんきゅいー(((* ॑꒳ ॑* ≡ * ॑꒳ ॑* )))ワクワク


じゃ、お盆の人が多いかな?お盆の人は休むんだぞ!!

ルアンと同じく忙しい人は、気負いすぎず、無理せずに!!


読んでくれてありがと!

またねっ(*ˊᵕˋ*)੭ ੈ

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